田中圭さんと中村倫也のw主演ドラマ『不協和音 炎の刑事VS氷の検事』。
氷の検事・真佐人(中村倫也)と炎の刑事・祐介(田中圭)は実は兄弟で、不当な自白強要で冤罪を生んだ刑事の息子として世間にさらされ、21年前に別々の家庭にひきとられた過去がありました。
2人の父親・大八木宏邦(おおやぎ・ひろくに)は、本当に自白強要をしたのでしょうか?
当記事では、スペシャルドラマ『不協和音』の
についてまとめています。
もくじ
『不協和音 炎の刑事VS氷の検事』とは?
タイトル | 不協和音 炎の刑事VS氷の刑事 |
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放送日 | 2020年3月15日 |
放送時間 | 後9:00~11:05 |
放送局 | テレビ朝日系 |
30歳を過ぎて新米刑事の兄・川上祐介(田中圭)。
東大出のエリート検事の弟・唐沢真佐人(中村倫也)。
21年ぶりに再会した兄弟が、正反対の性格ながらも、互いに共鳴しあって難事件を解決していきます。
ドラマの鍵となるのが、2人の父親が21年前に起こした“自白強要事件”。
30歳を過ぎて月島東署刑事課に配属された新米刑事・川上祐介(田中圭)は、妻殺しの被疑者と目される病院経営者・城崎知也(岡部たかし)を取り調べることに。勾留期限が迫る中、一緒に取り調べを担当した警視庁捜査一課の警部補・小寺順平(杉本哲太)がついに自白を取るが、担当弁護士の宇都宮実桜(趣里)は「大八木捜査法で自白させたのでは?」と、祐介に食ってかかる。実桜が口にした“大八木捜査法”とはほかでもない、刑事だった祐介の父・大八木宏邦(丸山智己)を揶揄する言葉。実は祐介がまだ小学生だった頃、大八木は自白強要で冤罪を生んだ刑事として、世間から糾弾されることに…。しかも、大八木は真相を語ることなく、突然この世を去り、祐介は母方の祖母に引き取られて姓を変えていたのだった――。
やがて、城崎の事件は思わぬ転換期を迎える。担当検事が倒れた直後、城崎が起訴の決め手となる遺体遺棄現場を教えぬまま、黙秘に転じてしまったのだ。焦った祐介は必死に捜査を続行。だが努力もむなしく、城崎は不起訴になってしまう。しかも、その判断を下した後任検事の名前を聞いた祐介はがく然とする。検事の名は唐沢真佐人(中村倫也)――なんと祐介の父が亡くなった後、高等検察庁の元検事長・唐沢洋太郎の養子となり、生き別れになってしまった弟だった!
祐介はすぐさま真佐人のもとへ押しかけ、なぜ城崎を不起訴にしたのか追及する。だが、真佐人は弁解録取書を読んで取り調べに問題があると判断した、と冷たく一蹴。結局、“21年ぶりの再会”は物別れに終わる最悪なものになってしまい…!?
しかし、真佐人には考えがあった。水面下で動いていた真佐人はやがて、城崎の事件に新たな一石を投じることに! そんな中、祐介は連続ボヤ事件との関連が疑われる、大企業の倉庫放火事件を捜査。社長・丸山与四郎(木下ほうか)の圧力を受けて、警察上層部も捜査に本腰を入れたことで、祐介と真佐人は再び同じ事件に向き合うことになる。真逆ともいえるやり方を貫き、時に対立しながらも、共に調べを進めていく祐介と真佐人。だが、事件の全貌は容易にあぶり出すことができないほど複雑で…!?引用元: ドラマスペシャル「不協和音」公式HP
『不協和音 炎の刑事 VS 氷の検事』原作とは?
2009年に横溝正史ミステリー大賞/テレビ東京賞を受賞した作家大門氏の2016年に発刊された作品「不協和音」がドラマ化、ということですね。読み違えるところでした。
— おたま (@hsym11) October 16, 2019
ドラマまで原作は読まない(と思う)けど、ドラマ帯がついたら買っちゃいますね、うん、帯つけてください!#不協和音 #中村倫也 pic.twitter.com/g2AScSiea7
『不協和音 炎の刑事 VS 氷の検事』の原作は、社会派ミステリーの新旗手・大門剛明さんの小説「不協和音 京都、刑事と検事の事件手帳 」で今回が初映像化。
『不協和音』大八木宏邦の自白強要事件を原作ネタバレ
祐介(田中圭)と真佐人(中村倫也)の父・大八木宏邦の自白強要事件を原作ネタバレします。2人の父・大八木宏邦とは?
2人の父・大八木宏邦は、かつて京都府警の刑事でした。
数々の事件を解決し、時効寸前の事件を奇跡的に解決したこともありました。
幼い祐介にとって、そんな父・宏邦はヒーローでした。
学校で自慢して、余計なことを言うなと怒られたことも。
宏邦は、唐沢洋太郎という京都地検の検事と親しくしていました。
宏邦は「検事は刑事の五倍大変だ」と日頃から言っていましたが、祐介には刑事の仕事の方がよほど大変に思えました。
久世橋事件
祐介の絶対的な父親への信頼が揺らいだのは、一つの事件が原因でした。
久世橋事件は、今から30年前に起きた殺人事件。
南区にある大山三郎兵衛(おおやま・さぶろべえ)という資産家の邸宅に何者かが侵入し、包丁で大山を殺害。
現金数千万を奪って逃走しました。
現場には犯人のものと思われる体液とともに、28.5㎝の靴の痕跡が残っていました。
警察が疑いの目を向けたのは、常習の窃盗犯で服役経験のある西島茂。
金庫に残された汗と目撃証言から、逮捕に至りました。
西島の取り調べを担当したのが、京都府警捜査一課でエース的存在だった大八木宏邦警部補。
その結果、西島は拘留延長満了ギリギリになって自白。
公判では検事が有罪に持ち込み、無期懲役判決が下って西島は服役。
ところが8年後、大きく事態は変わります。
西島が弁護士を通して、あの事件は冤罪で自白を強要されたと訴えたのです。
金庫に残った汗の再鑑定で結果がくつがえり、西島は無罪に。
この事態は本来なら司法全体の責任なのですが、マスコミのターゲットになったのが大八木宏邦。
バッシングの嵐が吹き荒れ、大八木が今まで積み上げてきたものは地に堕ちました。
まさに、白が黒にくつがえる恐怖。
その後も、殺人事件の真犯人は不明のまま。
宏邦は、急に体調を悪化させて入院。
嘘のようにあっけなく死んでしまいました(実際には元々肝臓に病気があったらしい)。
いまだに京都府警で違法捜査まがいのことがあると、大八木捜査法と呼ばれます。
祐介と真佐人の過去:2人の姓が違う理由
父の死後、祐介は若くして死んだ母の両親に引き取られました。
ただし年金暮らしの祖父母に2人の子供を養う余裕はなく、弟の真佐人は子供がいない唐沢洋太郎夫婦に引き取られました。
現在の祐介が川上姓、真佐人が唐沢姓なのはこのためです。
21年ぶりの再会:真佐人は変わってしまった
祐介が刑事になりたいと思った動機は、自分が刑事として事件の真相を探りたかったから。
そんな中、祐介と真佐人は21年ぶりに再会。
真佐人は、子供の頃とすっかり変わってしまっていました。
幼少期の真佐人は、祐介より父親を尊敬していて、絶対に刑事になると鼻息を荒くしていました。
しかし再会した真佐人は冷徹なエリート検事になっていました(東大出で司法試験に在学中に合格)。
父親の事件の反動で、検事を目指したのだろうか?
今の真佐人には、からっとしたものがなく、ねちっこいいやしさがあります。
京都地検にいた真佐人の養父・唐沢洋太郎は、真佐人の利発さを見込んで引き取りました。
後に唐沢は最高検事になったというが、真佐人に天才検事になるために英才境域を施したのかもしれません。
「俺はいつか親父を超えてやる」
真佐人の夢は、総検事長になること。
ここでいう親父は、祐介と真佐人の父、大八木宏邦ではなく、元最高検検事、唐沢洋太郎のことであることは明白。
実の父のことは、真佐人にとっては邪魔な存在、あんな父親を持ったこと自体を汚点だと思っているのです。
祐介が、冤罪刑事・大八木宏邦の息子であることは現時点で職場の誰も気づいていません(小野寺だけは気づきかけたが)。
もし知られたとしても、自分は刑事として実績を積み重ねていく。
そして言われたい。
父はともあれ、息子は頑張っている。
オヤジさんも本当はいい刑事で、何かの間違いだったのだろうと。
そういう形で父の汚名をそそぎたい、真佐人のようにはなりたくない。
刑事と検事は共に正義を追うもので、協力関係のはず。
しかし現在の祐介と真佐人の間には、大きな距離があります。
別れてから21年、祐介と真佐人はいつのまにか真逆の道を進み始めたのでしょうか。
真佐人は父をけなすだけで真実を見ない?
真佐人は、父をけなすセリフをよく吐きます。
祐介:「誰かのことを言っているのか」
真佐人:「鈍感だな。大八木宏邦のことに決まっている」
祐介:「いくらお前が認めたくなくても、俺とお前は兄弟、その大八木邦宏の息子だ」
真佐人:「大八木?俺の父親は唐沢洋太郎だ」
これは自分と父のことを意味している似違いない、と思う祐介。
30年前、父は脅迫によって冤罪を生みだしました。
祐介にはそれがいまだに信じられない。
そういう英雄の偶像を崇拝すること、愛する者を綺麗なままにしておきたいという気持ちが全てを歪めて行くと真佐人は言いたいのです。
しかし真佐人の理屈がいつも正しいとは限りません。
父の事件には、裏に何か事情があったのではないか?
真佐人は父をけなすだけで、その真実を見つめようとしない。
真佐人も祐介と同じ気持ち?
再審無罪となった西島が住んでいるのは、宝ヶ池の女子大の近くの平屋建ての一軒家。
西島がここに住んでいるのを祐介が知ったのは8年前、左京区の交番に勤務していた時でした。
西島は事件があって南区のアパートからは立ち退いたが、慣れ親しんだ京都に住みたいということで、弁護士会に一軒家を紹介されたという。
西島はすでに75歳、頭髪は真っ白で薄い。
以前は恰幅が良かったらしいが、今は痩せて殺人事件で服役していたなど想像もつかないほど。
祐介は、今でも西島の家の周辺に行ってしまいます。
西島は、冤罪の被害にあった孤独な老人・余生をゆっくり送らせてあげるべき存在。
それどころか、父のせいで7年も服役したのです。
本来ならご迷惑をかけて申し訳ありませんでしたという気持ちで当然なのでしょうが、祐介にはそんな気持ちは微塵もありませんでした。
それどころか逆にこの老人を責めるきもちさえあります。
あなたは本当に冤罪だったのですか?と。
父と西島がいた取調室で、本当は何があったのか。
祐介は、西島の生活パターンを知るほど彼について調べ上げていました(ほぼストーカー)。
父が冤罪に陥れたことを謝るでもないし、あなたは本当に冤罪だったのですかと問いかけることもない
本当に意味のない行為に思えてきます。
それとも、今さら30年前の殺人事件のボロを出すことを期待しているのか?
加藤から「オヤジさんは冤罪刑事なんかじゃない」と言われた祐介は、西島の留守中に部屋の中に不法侵入しようとして彼の本心を探ろうとするが、西島が帰宅して思いとどまります。
そんな祐介の姿を真佐人が見ていました。
真佐人もまた、父の濡れ衣を晴らそうとしているのです。
『不協和音』大八木宏邦の自白強要事件の真相
原作では、久世橋事件の真相はまだ明らかになっていません。注目すべきポイントは以下の2点。
◎汗の再鑑定結果はなぜ覆ったのか。
8年前の汗の鑑定が間違っていたということでしょうか?
ドラマと原作の違いは以下の1点。
筆者が真犯人(黒幕)として怪しいと睨んでいるのは、当時の大八木の親友・唐沢洋太郎。
現在は、真佐人の義父で元最高検検事です。
親友だった2人の間に、とんでもない闇が発生していたのかもしれません。