今まさに旬の2人・田中圭さんと中村倫也さん主演ドラマ『不協和音 炎の刑事 VS 氷の検事』。
炎の熱血漢刑事と氷の冷徹検事が難事件を解決していくストーリーですが、実は2人は21年前に生き別れた兄弟。
彼らの父親は、自白強要で冤罪事件を生んだ大八木宏邦(おおやぎ・ひろくに)だったのです!
久世橋事件(ドラマでは幸北橋事件)の真犯人とは誰なのか?
当記事では『不協和音 炎の刑事 VS 氷の検事』の原作のあらすじをネタバレしてまとめています。
もくじ
『不協和音 炎の刑事 VS 氷の検事』とは?
タイトル | 不協和音 炎の刑事VS氷の刑事 |
---|---|
放送日 | 2020年3月15日 |
放送時間 | 後9:00~11:05 |
放送局 | テレビ朝日系 |
『不協和音 炎の刑事 VS 氷の検事』とは、2020年3月15日に放送されるスペシャルドラマ。
第一線を走る俳優・田中圭さんと中村倫也さんが初の本格共演!
熱血新米刑事と冷徹エリート検事の対照的な兄弟を演じます。
会えば喧嘩ばかりの2人は、ことあるごとに衝突。
今も父を慕う祐介に対し、真佐人は否定的な態度を取るなど対照的。
しかし事件解決の際には、暴走しがちで壁にぶつかる祐介に、洞察力が鋭い真佐人が重要なヒントを与えるなどコンビネーションは絶妙!
ぶつかり合いながらも、力をあわせて難事件を解決していきます。
30歳を過ぎて月島東署刑事課に配属された新米刑事・川上祐介(田中圭)は、妻殺しの被疑者と目される病院経営者・城崎知也(岡部たかし)を取り調べることに。勾留期限が迫る中、一緒に取り調べを担当した警視庁捜査一課の警部補・小寺順平(杉本哲太)がついに自白を取るが、担当弁護士の宇都宮実桜(趣里)は「大八木捜査法で自白させたのでは?」と、祐介に食ってかかる。実桜が口にした“大八木捜査法”とはほかでもない、刑事だった祐介の父・大八木宏邦(丸山智己)を揶揄する言葉。実は祐介がまだ小学生だった頃、大八木は自白強要で冤罪を生んだ刑事として、世間から糾弾されることに…。しかも、大八木は真相を語ることなく、突然この世を去り、祐介は母方の祖母に引き取られて姓を変えていたのだった――。
やがて、城崎の事件は思わぬ転換期を迎える。担当検事が倒れた直後、城崎が起訴の決め手となる遺体遺棄現場を教えぬまま、黙秘に転じてしまったのだ。焦った祐介は必死に捜査を続行。だが努力もむなしく、城崎は不起訴になってしまう。しかも、その判断を下した後任検事の名前を聞いた祐介はがく然とする。検事の名は唐沢真佐人(中村倫也)――なんと祐介の父が亡くなった後、高等検察庁の元検事長・唐沢洋太郎の養子となり、生き別れになってしまった弟だった!
祐介はすぐさま真佐人のもとへ押しかけ、なぜ城崎を不起訴にしたのか追及する。だが、真佐人は弁解録取書を読んで取り調べに問題があると判断した、と冷たく一蹴。結局、“21年ぶりの再会”は物別れに終わる最悪なものになってしまい…!?
しかし、真佐人には考えがあった。水面下で動いていた真佐人はやがて、城崎の事件に新たな一石を投じることに! そんな中、祐介は連続ボヤ事件との関連が疑われる、大企業の倉庫放火事件を捜査。社長・丸山与四郎(木下ほうか)の圧力を受けて、警察上層部も捜査に本腰を入れたことで、祐介と真佐人は再び同じ事件に向き合うことになる。真逆ともいえるやり方を貫き、時に対立しながらも、共に調べを進めていく祐介と真佐人。だが、事件の全貌は容易にあぶり出すことができないほど複雑で…!?引用元: ドラマスペシャル「不協和音」公式HP
『不協和音 炎の刑事 VS 氷の検事』原作とは?
2009年に横溝正史ミステリー大賞/テレビ東京賞を受賞した作家大門氏の2016年に発刊された作品「不協和音」がドラマ化、ということですね。読み違えるところでした。
— おたま (@hsym11) October 16, 2019
ドラマまで原作は読まない(と思う)けど、ドラマ帯がついたら買っちゃいますね、うん、帯つけてください!#不協和音 #中村倫也 pic.twitter.com/g2AScSiea7
『不協和音 炎の刑事 VS 氷の検事』の原作は、社会派ミステリーの新旗手・大門剛明さんの小説「不協和音 京都、刑事と検事の事件手帳 」で今回が初映像化。
小説の構成は第一章~第五章に分かれています。
- 第一章 偶然と必然
- 第二章 箱師の鉄
- 第三章 英雄の偶像
- 第四章 右と左
- 第五章 発火点
ドラマでは以下の3つが放送されます。
『不協和音』主な登場人物
『不協和音』の主な登場人物をご紹介します。川上 祐介(かわかみ・ゆうすけ)(32):田中圭
川上祐介は、月島東署刑事課の刑事。
小学生だった頃、自白強要で冤罪を生んだ…と世間から叩かれた元刑事の父・大八木宏邦が突然死亡。
母方の祖母に引き取られて「川上」姓に改名。父への思慕の情を抱えたまま、高校卒業後はノンキャリの警察官に。
30歳を過ぎてから刑事課に所属した新米刑事。
もっと詳しく
分厚い胸板の肉体派で、熱い精神と優しい心を持つ。
不器用ながらも、担当する事件と一つ一つ真摯に向き合っていく。
そんな中、ある事件の捜査で、今やエリート検事となった生き別れの弟・唐沢真佐人(中村倫也)と再会。
真っ向からぶつかり合いながらも、同じ事件に挑んでいく。
唐沢真佐人(からさわ・まさと)(31):中村倫也
唐沢真佐人は、東京地検の検事。
祐介(田中圭)の生き別れの弟。
小学生の時に元刑事の父・大八木宏邦が冤罪事件でバッシングを受けて突然死亡。
父の友人だった高等検察庁の元検事長・唐沢洋太郎の養子となった。
その後、東京大学を卒業し、在学中に司法試験に合格して現職に。
もっと詳しく
エリートで知的で、とにかくインテリ臭が漂う男。
時に冷徹とも思える冷静沈着さで事件と向き合う。
ある事件の捜査で祐介と再会し、互いに衝突を繰り返しながらも、真相解明にまい進。
そんな中、実の父を今も崇拝する祐介に対し、父をけなすなど真逆な態度を取る。
宇都宮実桜(うつのみや・みお)(28):趣里
宇都宮実桜は、弁護士。
妻殺しの被疑者と目される病院経営者・城崎知也と、窃盗の常習犯である町田琉太の弁護人。
クライアントの権利を守ることに一生懸命で、川上祐介(田中圭)にも何かと食ってかかる。
祐介とは犬猿の仲で、「キャンキャン」と呼ばれてウザがられる。
優秀な人材と評判の唐沢真佐人(中村倫也)に興味を抱く。
『不協和音』原作ネタバレ➀
最初に、主人公の川上祐介と唐沢真佐人の21年ぶりの再会と彼らの父親が起こした冤罪事件を原作ネタバレします。兄弟の21年ぶりの再会
刑事・川上祐介(田中圭)と検事・唐沢真佐人(中村倫也)は、城崎早苗殺人事件の捜査で21年ぶりに再会します。
容疑者・城崎知也(岡部たかし)がなかなか口を割らず、警察は違法な手段で城崎の自白を取ります。
そのタイミングで担当検事が病気で倒れ、若い検事が担当になります。
その若い検事の名前が、唐沢真佐人(中村倫也)。
祐介はその名前を聞いた瞬間、殴られたような衝撃を受けます。
真佐人は、祐介が21年前に生き別れた実の弟だったから。
驚くべきことに、真佐人はどう見ても有罪な城崎を不起訴処分に。
文句アリアリな祐介は、真佐人のところへ怒鳴り込み&ついでに21年ぶりの再会。
祐介:「20年ぶりか」
真佐人:「21年ぶりですね」
久しぶりに会った真佐人は、小さい頃の面影はどこへやら、冷徹なエリート検事になっていました。
しかし真佐人は、祐介も見落としていた事件の2つの疑問点を鋭く指摘。
結果的にこの真佐人の一言のおかげで、警察は真相に辿りつくことになります。
父親が起こした冤罪事件
祐介と真佐人が生き別れになった理由は、父親・大八木宏邦が起こした自白強要による冤罪事件。
30年前、久世橋事件が起きました。
南区にある大山三郎兵衛という資産家の家に何者かが侵入し、包丁で大山を殺害。現金数千万を奪って逃走。
京都府警捜査一課のエース・大八木が、容疑者・西島茂の取り調べを担当。
西島は自白して無期懲役刑に。
ところが数年後、服役中の西島が取り調べの際に無理やり自白させられたと訴え、再審が開始され、新証拠から西島の無罪が証明されてしまいました。
大八木が積み上げてきたものは一瞬で崩壊し、他の事件でも冤罪を生んだのではないかとすさまじいバッシングを受けることに。
真犯人はいまだに不明。
元々肝臓に疾患があった大八木は入院してあっけなく死亡(病死)。
ドラマでは真相を語ることなく、突然この世を去ります(自殺)。
その後、祐介は母方の両親に、真佐人は父の友人で京都地検の唐沢洋太郎に引き取られました。
成長した祐介は今でも父の潔白を信じていますが、真佐人は父をけなす発言を多発します。
『不協和音』原作ネタバレ➁
次に、ドラマ『不協和音』で放送される原作の3つのエピソードをネタバレします。各章の最後に【事件の真相】を箇条書きでわかりやすくまとめています。
第一章:偶然と必然
・小説「不協和音」第一章。
★登場人物
・城崎知也(じょうざき・ともや)(46):岡部たかし
月島橋外科病院の経営者で医師。日常的に暴力を振るう城崎から逃げ、友人宅に身を隠していた妻・早苗を刺殺した容疑をかけられる。川上祐介と警視庁捜査一課の小寺順平から取り調べを受け、ついに自白するも、遺体遺棄現場を教えぬまま黙秘に転じてしまう。
引用元: 「不協和音」公式HP
・片桐寛市(かたぎり・かんいち)(33):古河耕史
検体集配会社のスタッフ。月島橋外科病院に出入りしている。返り血を浴びた医師・城崎知也を目撃した人物。
引用元: 「不協和音」公式HP
あらすじ
女性失踪事件の概要は、以下の通り。・住人の城崎早苗は元看護士で、夫のDVに耐えかねてここに非難していたという。
当然捜査本部は、夫の城崎知也(岡部たかし)に目を付けました。
城崎知也は、京都市内で「戻り橋外科」という医院を経営する医師。
猜疑心が強く、妻・早苗の浮気を疑っていたとのこと。
暴力は日常茶飯事で、「殺すぞ」とよく怒鳴っていたという。
ベテラン刑事の小寺順平(杉本哲太)は、早苗がマンションに夫婦2人で仲良く写っている写真を飾っていたと言って、まだ早苗に未練があった城崎の自白を取りました。
城崎は「私が殺しました。私は妻とよりを戻したかっただけなんだ!」と叫びました。
城崎の詳しい犯行自供内容は以下です。
・そこで怒鳴り合いになり、ナイフで刺し殺した。
・遺体を車で運び、山に埋めた。
・夜だったこともあり、遺体を埋めた場所は覚えていない。
祐介は調書を作りながら、小寺の自白職人ぶりに興奮が冷めませんでした。
しかし小寺が、マンションに夫婦の写真があったと言ったのは嘘でした。
祐介の心の声:虚偽で自白を取ることは違法だが自分の胸に留めておけばいい。
ところがその後、城崎は一転して口を閉ざしてしまいます。
あれから弁護士と接見して、何かを吹き込まれたに違いありません。
城崎の弁護士は、左京法律事務所の宇都宮美桜(趣里)という女性でした。
ルックスはまるで子供のようで、キャンキャンうるさい。
宇都宮:「自白を強要したんですね?大八木捜査法っていうんやってな」
その瞬間、祐介に目の前が白くなる感覚が襲ってきました。
祐介の心の声:何も知らない弁護士の言うことだ、気にするな。
そんな中、今回の事件の担当の杉野雅文検事が倒れたという知らせが入りました。
杉野検事は、自分が自白させた場合にも、警察が自白させたことにしてくれる検事で、刑事たちにとって非常に評判がいい検事だったのに……。
今回の事件の目撃者は、片桐寛一(古河耕史)という五十がらみの男。
片桐は検体を集配する会社の社員で、城崎の戻り橋外科によく出入りしていました。
事件当夜も医療機器の不具合をチェックしにやってきたところ、返り血を浴びた城崎を目撃したらしい(しかし肝心の遺体は見ていない)。
このまま、遺体なき殺人事件で起訴できるのか?
不安になる祐介ら捜査一課の面々。
そこへ京都地検横井副部長から不起訴になったという知らせが届きました。
なんでも杉野の後任の若い検事が、横井副部長を説得して不起訴を決めたとのこと!
その検事の名前は……唐沢真佐人(中村倫也)!
東大で在学中に司法試験に受かったエリートで、まだ31歳。
不起訴処分に納得がいかない祐介は、唐沢真佐人に会いに行きました。
実は唐沢真佐人は、祐介が21年前に生き別れた実の弟でした。
真佐人は、祐介に以下の2点の疑問を投げかけました。
・城崎は、早苗のマンションの鍵が開いていたというが、実際には鍵を強引に開けた跡があった。
不起訴になった城崎は釈放されましたが、なぜかそのタイミングで事件の日時に城崎のBMWをメゾン天神川近くで見たというタレコミが公衆電話から警察に通報されました。
小寺から祐介に電話がかかってきて、なんと目撃者の片桐を尾行するという。
(不起訴になった)城崎ならわかるが、なぜ(目撃者の)片桐を尾行する必要があるのか?
祐介は、よく理由がわからないまま、小寺の車で片桐を尾行しました。
片桐のカローラは、山中ではなくむしろ京都市内の中心部に向かっていきます。
小寺は、驚くべき事実を口にしました。
城崎が釈放されたタイミングで事件の日時に城崎のBMWをメゾン天神川近くで見たというタレコミをしたのは、片桐だったのです。
その後祐介と小寺は、メゾン天神川の近くの公衆電話で2度目のタレコミをした片桐を逮捕しました。
片桐が中村文子の恋人だったなら、この事件は整理できます。
城崎は確かに妻殺しの犯人ですが、背後にもう一人犯人(片桐)がいたのです。
・殺された城崎早苗は当時「戻り橋外科」の看護師で、5年前の彼女のミスで中村文子は胃がんと誤診された(責任者は夫の城崎)。
・その結果、中村文子は死亡。
・片桐は、5年前にセキュリティ会社を辞めて検体集配の会社に再就職して復讐の機会をうかがっていた。
・片桐は、早苗の居場所を書いたメモを残して、城崎が早苗を殺すように仕向けた。
・片桐は、城崎がマンションに着く前に鍵も開けておいた。
・片桐がこのタイミングでタレコミをしたのは、何が何でも警察に城崎を捕まえさせるため。
事件は完全な決着を見ました。
早苗の遺体と凶器が見つかり、ナイフには城崎の指紋が付着。
死体遺棄の件で不起訴になった城崎は、改めて殺人罪で逮捕されました。
祐介は、小寺とともに片桐の取り調べにあたりました。
片桐は、マンションにメモを置いたとき、城崎が妻を殺すことを予見していました。
城崎は妻が家出したのは友人にそそのかされたからだと信じていて、その怒りがねじ曲がって妻への暴力に向かうことは容易に想像できたから。
だから事件の日、城崎より先回りしてマンションの鍵を開けておいたのです。
しかし片桐は、最初から復讐を考えていたわけではありませんでした。
城崎たちが中村文子の死を軽視する発言をした時に、許せない気持ちがこみ上げたのです。
片桐の罪は、殺人教唆・幇助といった感じですが、
直接殺した犯人の城崎が片桐の存在を知らないのですからその罪に問えるかは疑問です。
後日談。
祐介は、真佐人が背後にいる犯人(片桐)をあぶり出すためにわざと不起訴にしたことを知ります。
真佐人はあの時、メモとマンションの鍵のことについて触れました。
つまり真佐人は、既に真実にたどり着いていたのです!
あの不起訴事件は保身などとは程遠い、極めて攻撃的な一手だったのです。
そして真佐人は、手柄は小寺に譲ったのです。
第四章:右と左
小説「不協和音」第四章 右と左
★登場人物
・町田琉太(まちだ・りゅうた)(21):小野寺晃良
フリーター。窃盗の常習犯。少年院から出所するも、すぐにまた盗みを働き、月島東署佃川交番の巡査長・加藤博行に現場を押さえられる。自分のことを何かと気にかけてくれる加藤に対して、反抗的な態度を取り続ける。
引用元: 「不協和音」公式HP
・加藤博行(かとう・ひろゆき)(58):生瀬勝久
月島東署佃川交番の巡査長。面倒見がよく、人情にあふれた人物。川上祐介も佃川交番にいた時代から世話になっており、尊敬している。窃盗の常習犯・町田琉太の更生を心から願っており、自分の家でご飯を食べさせるなど、まるで父親のように愛情を注ぎながら、静かに、かつ注意深く見守っている。だが、その情の深さがやがて仇となり…!?
引用元: 「不協和音」公式HP
・加藤美喜江(かとう・みきえ)(59):多岐川裕美
月島東署佃川交番に勤務する巡査長・加藤博行の妻。愛情深くて朗らかな女性。夫が気にかけている窃盗の常習犯・町田琉太の更生を願い、共に面倒を見る。
引用元: 「不協和音」公式HP
あらすじ
今回の死亡事故の概要は以下の通り。・黄色い軽自動車が電柱に正面衝突して大破、運転手の町田琉太(小野寺晃良)・18歳は死亡。
・制限時速30キロのところを、事故を起こした車は100キロ超えで走っていたようだ。
その後、町田が事故を起こす直前に、万引きの件で加藤博行(生瀬勝久)に取り調べを受けていたことが判明。
町田は、調書を取られている最中に逃げ出したとのこと。
問題は、加藤が無茶な追い方をしたのかどうか?
加藤は、40年も交番一筋でやっている巡査長。
仕事バカというか真面目な気質で、そんな無茶な追跡をするとは考えにくい。
となると、町田が勝手に暴走してぶつかったということなのか?
そんな中、不良グループが衝撃の証言をします。
・事故現場についた加藤はすぐに119番通報することなく、トドメを刺しに車の中に入った。
話を聞いた真佐人は「加藤は怪しい」と一言。
不良グループの証言など当てにならないと判断した祐介は「どこがだよ」と反論。
真佐人は、無職の町田が万引き程度で逃走する理由がないと思っていました。
職場や学校がないのだからどこに通報されたとて、困るわけではないから。
事件から一週間が経過。
祐介は、証言をした不良グループが問題ばかり起こして信用ならないことを突き止めます。
彼らはテキトーな証言をして、警察に嫌がらせをすることが目的だったようです。
実桜(趣里)は、町田の車についていたドラレコ(ドライブレコーダー)を調べてはどうか?と提案。
ドラレコの映像を見れば、あの日加藤が無茶な追跡をしたのかどうか、わかるはずだから。
しかし町田の車のドラレコは故障して再生不可能な状態でした。
祐介は、町田を取り調べた加藤に会いに行きました。
加藤は「私がもっと町田くんの気持ちをわかってあげてれば……」と形だけの同情ではない重い言葉を吐きました。
加藤によると、町田が盗んだのはアダルト商品だったとのこと。
これは真佐人の疑問を解消する回答でした。
単なる万引きなら逃げるのはおかしいが、盗んだものがアダルト商品なら話は別です。
加藤は「ひょっとして君は……大八木警部補の息子さんか?」と驚くべき質問を祐介に投げかけてきました。
祐介は動揺のあまり小刻みに震え、加藤は「やはりそうなんだね」と確信を得ました。
小寺は気づきかけていたし、知りながら黙っていた人もいたのかもしれない。
しかしはっきりと言葉に出して聞かれたのは、警察に入って14年目で初めてでした。
加藤が「あの人が冤罪を作り出すなんて有り得ない。何かの間違いだ。私が保証するよ」と言って、祐介の目から次から次へと涙が溢れました。
そうだ!父があんなことをするはずがない!わかってくれる人はわかってくれる!
祐介は「誰もわかってくれなかったんです!」と言って泣き崩れました。
祐介は、しばらく加藤から父の昔話を聞かされました。
知らないことが多かったけれど、加藤の話す父の像は祐介が思い描いていたものと同じでした。
いつの間にか、加藤への疑いは消えていました。
実際真佐人の疑問は2つも解消されたのです。
あとは加藤が無茶な追跡をしたかどうかですが、祐介には加藤がそんなことをする人間に思えませんでした。
翌日の非番の日、祐介は西島の家の近くをウロついていました。
西島とは、祐介の父が自白強要で冤罪事件を起こした被害者です。
そこへ亡くなった町田の両親から警察が無茶な追跡をしていなかったか調べてほしいと依頼を受けた実桜から電話がかかってきました。
「ドラレコを一緒に見てください」
あの大破した状態からドラレコのデータを取り出すことができたのか?
実桜が言ったドラレコとは、町田の車のものではありませんでした。
たまた事故現場の近くに遭遇した会社員の車のドラレコです。
祐介はこの映像に違和感を覚えました。
町田は、片手運転でもう一方の手をポケットに入れていたのです。
必死で逃げているのに、なぜ片手運転だったのか?
追ってきた加藤の車は無謀追跡などしておらず、これで加藤への疑いは晴れました。
そこへ真佐人から電話がかかってきました。
「話は聞いたぞアニキ、もういい加減にするんだな」
なんと実桜が、祐介が西島をストーキングしていることを真佐人にバラしていたのです。
真佐人が「それとドラレコの映像見たよ」と言うと、「(加藤がクロという)思惑が外れたようだな」と祐介。
しかし真佐人は「思ったとおり……だ」と信じられない発言。
真佐人:「アニキもドラレコを見たんだろう?ならわかるはずだ。このまま加藤をみすみす野に放つつもりか」
祐介は、もう一度ドラレコの映像を見て、町田の部分を引き延ばしました。
すると町田のポケットに、太いペンのような黒いものが入っていました。
祐介は加藤のところに行き、事件の真相を話しました。
・町田は以前不良グループから抜けるために、そのリーダーを警察に密告した。
・それが仲間にバレて、もうすぐリーダーが出所してくる。
・だから護身用に拳銃が欲しくて、加藤から拳銃を奪った。
・町田が片手で運転していた理由は、もう一方の手でポケットの拳銃を押さえて銃口を自分の体とは逆方向に向けていたから。
・加藤は、事故後、町田の車を開けて拳銃を取り返した。
加藤は「よくわかったもんだ」とあきらめにも似た笑みを浮かべました。
祐介が真相に辿りつけたのは、真佐人の助言もありますが、父親が“打掛けハンドル”だったせいでハンドルの握り方に人一倍注意がいったから。
加藤は、拳銃を盗まれたことを認めた上で辞職。
祐介は加藤のことを考えると、どうしても父親のことを思い出してしまいます。
加藤は過ちを犯した……父も魔が差したのだろうか?
真佐人は加藤をクズだと責めたが、それは父親への間接的な批判。
英雄の偶像というのか、いつまで幻想に浸っているのだと無言でなじっているようです。
いい加減目を覚まして現実を見ろと。
今回も真佐人の言うことが正しかったのです。
第五章:発火点
・小説「不協和音」第五章 発火点
★登場人物
・三津谷研太(みつや・けんた)(32):川島潤哉
川上祐介と唐沢真佐人が共に担当する連続放火事件の被疑者。無職。取り調べでは不遜な態度で、のらりくらりと話をそらし、なかなか犯行を認めようとしないが…。
引用元: 「不協和音」公式HP
・丸山 与四郎(まるやま・よしろう)(60):木下ほうか
大企業「丸山建業」の社長。何者かによって、会社の敷地内の倉庫に放火される。選民意識が非常に強く、鼻持ちならない男。政界進出も狙っている。放火事件の早期解決を望み、警察上層部や検察に圧力をかけ、異例の大掛かりな捜査をさせる。
引用元: 「不協和音」公式HP
・有村 秀人(ありむら・ひでと)(41):板倉チヒロ
月島東署刑事課の係長。川上祐介の上司。取り調べの経験値もあり、月島東署の署長・安田富夫の信頼も厚い。連続放火事件の被疑者・三津谷研太を取り調べる祐介に付き添うが…。
引用元: 「不協和音」公式HP
あらすじ
名の知れたゼネコン・丸山建材の廃工場が放火されました。幸い建築資材が少し燃えた程度で消化され、怪我人はナシ。
京都市内では、ここ1ヶ月で8件の放火事件が起こっていました。
丸山建材の社長・丸山与四郎(木下ほうか)は、小柄で小太り、繋がった眉毛からユーモラスな印象を与える男でした。
丸山はすでに廃工場は使用していませんでしたが、時々こっそり入って日本酒を飲んでたとのこと。
容疑者として取り調べられたのが、三津谷研太(日雇い労働者)。
火事現場から出てくるところを通行人(ホームレスの久保)が目撃していたのです。
さらに三津谷の部屋から、犯行に使ったと思われる灯油やライターなどが押収されました。
しかも、少年時代に放火で補導歴アリ。
上記の理由から、丸山廃工場の小火(ぼや)は三津谷で間違いありません。
問題は、三津谷が連続放火犯かどうか、です。
祐介(田中圭)は、三津谷が連続放火犯だと睨みます。
安田所長は「三津谷を必ず自白させろ」と祐介に命令。
初めて任された重要事件に意気込む祐介。
祐介は三津谷の取り調べを開始しますが、(丸山廃工場の小火を起こしたかどうかについて)三津谷はイエスともノーとも言わない。
しかし連続放火事件については「やってない」とはっきり否定。
そんな祐介に、私選弁護人の実桜(趣里)が以下の点を指摘。
確かにその点はおかしいのです。
しかし久保が正確な時間を記憶していたのかは定かではなく、材木に火が移るには時間もかかります。
実桜:「川上さんは、三津谷さんのことを何もわかってない」
しかし祐介はフンと鼻で笑いました、きちんと以下の情報を得ていたのです。
・三津谷はそんな父親にすがり、美術系のカルチャースクールに通ったが芽が出ず。
・父親は苦労がたたって死亡。
・三津谷は画家を自称して、アルバイトと日雇いの日々を送っている。
・つまり自分は絵の才能があると自惚れているだけのろくでなし。
実桜:「川上さんは何もわかっていません。三津谷さんの絵を見たことがあるんですか?」
祐介:「そんなものが事件と何の関係がある?」
実桜は、三津谷が描いた絵のデータが入ったUSBを祐介に渡して帰っていきました。
既に逮捕から16日が経過、祐介は安田所長から三津谷の自白が取れるかどうかについて迫られました。
祐介:「自分に最後まで任せてください」
安田:「まあ、唐沢検事もまだ自白させていないようだ。彼は有能と聞く。彼でも自白が取れないなら仕方ないともいえるが、何とかこっちが自白させたいもんだ」
祐介:「三津谷は必ず自白します」
安田:「ほお、そりゃ頼もしいな」
真佐人にだけは負けられない……と思う祐介。
理詰めで落そうとする真佐人に対し、自分は何ができるのか?
その時、実桜の「川上さんは、三津谷さんのことをわかっていない」の言葉を思い出しました。
亡くなった父親も、被疑者の口を割らすにはそいつのことをよく知る必要がある、と言っていました。
祐介は、実桜から渡されたUSBのフォルダに入った三津谷の絵を見ました。
油絵のモデルは、初老の男性。父親だろうか?
祐介は、再び三津谷を取り調べることに。
三津谷は、相変わらず連続放火はおろか、丸山建材に放火したことさえ吐きません。
祐介が絵のことについて触れると、三津谷は饒舌になりました(褒められることに飢えている印象)。
そして「あの検事は(絵を)全然わかってねえんだよ」と真佐人の悪口を重ねました。
しかし祐介が知る真佐人は、知識も絵心もあったはず。
祐介が「この絵のモデルはお父さんですか?仲が良かったのですか?」と質問した瞬間、三津谷の顔色が変化。
「そうじゃねえよ。クソ親父だ、親なら責任くらい果たせよ。死亡保険とかかけてから死ねよ」
三津谷のあまりにも勝手な言い草に、憤る祐介。
その後三津谷は「これはアートだよ」とうすら笑いを浮かべました。
『これ』が今回の放火事件のことだと聞いて、祐介は乗り出します。
三津谷:「今回俺がやった放火は、三津谷研太作、京都の火祭りなんだよ。未完に終わったけどな。死ねばいいんだよ」
祐介は三津谷の目にどす黒い物を感じ、やはり三津谷が連続放火班だと確信。
祐介:「本当なんですね、全てはあなたの犯行だったのですね」
ところが三津谷は「何てな、嘘だっての」とぷっと吹き出しました。
逆上した祐介は、三津谷の胸倉を掴んで「お前が全部火をつけたんだろうが!いい加減諦めろや!」と脅迫行為に出てしまいました。
その後、真佐人(中村倫也)から電話で「例の丸山廃工場に来い」と連絡がありました。
祐介が到着すると、真佐人は廃工場の金網をよじ登り始めました。
祐介も後に続きます。
祐介:「真佐人、お前はどう思うんだ?俺は三津谷の心の奥にはどうしようもない殺意があると感じた」
真佐人:「それは俺も感じた」
真佐人:「三津谷を取り調べるときに脅迫めいたことをしただろう?小うるさい女弁護士を喜ばせるつもりか」
祐介:「それについては俺の青さが出たってわけだ」
真佐人:「だいたい無能だから暴力に訴えて、あげくの果てには証拠を捏造して冤罪を引き起こす。家族にも迷惑をかけて冤罪刑事と永久に言われるんだ」
明らかに父のことを意識しての発言に、祐介は「もうやめろ」と制しました。
しかし真佐人はやめません。
真佐人:「いわゆる大八木捜査法ってやつだな、そっくりだ」
祐介の中で何かが切れる音がして、次の瞬間真佐人の顔面に拳を叩き込んでいました。
真佐人が叫び声とともに殴り掛かってきて、祐介も応戦。
互角の闘いの末、祐介のまぐれパンチが顎をかすめて真佐人は倒れました。
自力で起き上がった真佐人は「発火点だ」と言いました。
真佐人:「俺が調べた限り、この事件のポイントは発火点にある。だが三津谷の真意が兄貴には見えないんだ、だから落とせない」
真佐人が立ち去った後、祐介は「発火点」について考えるが何も思い浮かばない。
祐介はこの事件について改めて整理。
・しかし丸山廃工場以外の放火に関与している証拠はない(アリバイもないけど)。
その後、目撃者の久保が事件当夜、(三津谷以外に)もう1人帽子をかぶった人物を目撃していたことが判明。
この人物は、久保に気付くと逃げたとのこと。
しかしほぼ同時刻に2人が侵入したとは考えにくく、この証言はあまり役に立たなさそうに思えます。
そんな中、新たな放火事件が発生。
今回は死者1名で、その手口から連続放火犯の犯行に間違いありません。
その後40代の無職男が自首してきて、この放火事件と一連の放火事件は全て自分の犯行だと自供しました。
動機は社会に対する恨みで、死人が出たので慌てて自首してきたそうです。
となると、三津谷は冤罪なのか?
祐介は、がっくり肩を落としました。
しかし真佐人は「ここからが勝負だ」と信じられないセリフを吐きました。
今さら何を言ってる?
真佐人は「三津谷を落とせ、アニキ」と小さな声でささやきました。
しかし決して弱くはない、まるで殺人犯を自白させろと叱咤するような強いセリフでした。
真佐人の言葉には意味がある。
そして祐介は、ようやく真佐人の「発火点」の意味に辿り着くのでした。
自首してきた放火犯が認めたのは、最後の火事を含めて9件の火事だけでした。
つまり丸山廃工場の火事だけは認めていない。
祐介は、再び三津谷を取り調べます。
そして三津谷が丸山廃工場を放火したのがアート目的ではなく、亡き父親の復讐だったことを指摘しました。
事件の真相は、以下の通り。
・三津谷は、丸山社長が時々廃工場で酒を飲むことを知っていいて、あの日酒樽に致死量の青酸カリを入れた。
・しかし金網を乗り越えて逃げる際に、久保に顔を見られた。
・このままでは、酒樽を調べられたら計画はアウト。
・困った三津谷は、市内で起きている連続放火事件を利用することを思いついた。
・自宅に戻って帽子をかぶった三津谷は、盗んだ灯油を持って再度侵入し、火を付けた。
つまりこの事件は、放火事件ではなく殺人未遂だったのです。
結果的に三津谷は放火犯の犯行に見せかけましたが、実際は死刑になってもいいとさえ思っていました。
丸山社長は、三津谷の父親を酷い環境で働かせて過労死させました。
本当は父親を愛していた三津谷は、丸山に激しい憎悪をたぎらせていました。
真佐人が言った「発火点」とは、三津谷の怒りの源だったのです。
三津谷は犯行を認め、深い敬礼をして出ていきました。
しかし祐介は、これが自分の手柄とは思えません。
真佐人はいつから真実に気付いていたのだろうか?
実桜は「それにしてもええコンビやな」と祐介と真佐人のコンビネーションを褒めました。
「今回の事件も毒の入手経路とか解明できていない部分があったし、三津谷さんが開き直ればどうなっていたかわからへん。彼に自白させる必要があった。唐沢検事は三津谷さんの絵をこきおろして、川上さんは褒めた。それが最終的に三津谷さんの心を開かせ自首を生んだんや。絶妙のコンビプレイやんか」
祐介は、ふんと鼻を鳴らしました。
自分と真佐人が奏でていたのは、ハーモニーなどではなくあえて言えば不協和音だから。
祐介には、真佐人に聞きたいことがありました。
それは、なぜ真佐人が、祐介が西島をマークしていることを知っていたのか?
実桜が告げていないのであれば、真佐人が知っている理由は限られてきます。
真佐人のハンドルの握り方は典型的な打掛けハンドルで、父にそっくりでした。
そうか、やっとわかった。
真佐人も、父が起こした30年前の冤罪事件が信じられず、西島を追っていたのだ。
警察と検事、選んだ道は違っていても、最後の目的地は同じなのかもしれない。
祐介にとっての発火点は、父が職を辞したあの日。
いつか父の汚名をそそぎたい、ずっとその思いが燃えています。
祐介は「なあ、真佐人、お前もそう思うだろ」と小さくつぶやきました。
『不協和音』感想
久しぶりに面白い警察小説を読んだと思いました。21年ぶりに再会する正反対の性格の刑事と検事の兄弟の設定に加えて、事件解決までの緻密なストーリー展開。
祐介と真佐人が絶妙の不協和音で事件を解決する姿は、スリリングでエキサイティング!
最初から最後まで、退屈することなく読み終えました。
洞察力が半端ない真佐人(中村倫也)が事件のヒントを提示して、祐介(田中圭)は反発しながらも真っ直ぐ受け止める。
正反対の方向を向いているのは、実はお互いに信頼しているから。
たとえば「発火点」では真佐人は被疑者・川上の絵をこきおろし、祐介は逆に褒めました。
それが最終的に川上の心を開かせ、自白を引き出したのです。
真佐人が自白を引き出すことにこだわるのは、自白強要した父親の反動でしょう。
警察のちょっとした違法捜査も見逃しません(このあたりは素晴らしい)。
どう考えても有罪な被疑者を目の前にしている祐介からすれば、おいちょっと待てよとなるわけですが……。
21年前に2人の父親が起こした自白強要事件の真相は、まだ原作で明かされていません。
今回のスペシャルドラマでも明かされないと思いますので、今後シリーズ化、連ドラ化されるといいなと思っております。
まとめ
スペシャルドラマ『不協和音 炎の刑事 VS 氷の検事』を原作ネタバレしてまとめました。2人の対照的なキャラクターのぶつかりあいが面白く、難解な事件の真相も驚くべきものばかりです。