『冷たい熱帯魚』あらすじ結末ネタバレ!原作の事件とは違う結末に戦慄!

映画『冷たい熱帯魚』あらすじ結末ネタバレと感想!

原作は、埼玉県熊谷市周辺で発生した連続殺人事件「埼玉愛犬家連続殺人事件」。

でんでんさんの怪演が大きな話題を呼んだホラー映画です。

「ボディーを透明にする」という手口の猟奇的な殺人鬼はいかにして誕生したのでしょうか。

そして実際の事件とは違う戦慄の結末にも注目です。

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『冷たい熱帯魚』とは?



『冷たい熱帯魚』とは、2010年公開の園子温監督・脚本によるホラー映画。

日本史上最悪と言われた猟奇的殺人事件「埼玉愛犬家連続殺人事件」が原作となっています。

「埼玉愛犬家連続殺人事件」とは?
・1993年に埼玉県で愛犬家ら4人が相次ぎ失踪。

・2年後に共犯者でブリーダー仲間の男の証言で、ペットショップを経営する男女(関根元と風間博子)が逮捕された。

・「ボディーを透明にする」として、犬薬殺用の「硝酸ストリキニーネ」入りのカプセルを飲ませて殺害した後に遺体を解体・遺棄して証拠となる物証を残さない手口が、日本中を震撼させた事件。

・具体的には、骨と肉を切り離した後に細切れにした肉片は川に棄て、骨は廃油を注いだドラム缶で焼き、残った骨灰は近くの山林に棄てた。殺人においてもっとも雄弁な証拠になる死体を消滅させてしまうのだ。

原作との違い


映画『冷たい熱帯魚』と原作との違いは主に以下の3点。

・ペットショップではなく熱帯魚店。

・共犯者であるブリーダーが関根に脅されていた設定になっている(原作では風間死刑囚が冤罪でブリーダーが共犯者であった可能性も)。

・結末が違う。

実際の事件の結末は、共犯者のブリーダー仲間(Y)が関根と風間の犯行を裏付ける証言をして警察の証拠探しに協力。

関根と風間は逮捕されて事件は解決に向かいますが、Yは関根だけが殺人に関与して風間は死体損壊・遺棄だけしかしていないと言って、殺人に関しては風間は無実だという主張をしました。

関根と風間は互いに相手が主犯だと主張しましたが、裁判所は2人が同等の立場で共犯関係だったとして、2人に死刑判決を言い渡しました。

Yは、死体損壊・遺棄罪罪で懲役3年の刑罰。

関根は拘置所で病死、風間は今でも冤罪を訴え続けています。

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『冷たい熱帯魚』主な登場人物

『冷たい熱帯魚』の主な登場人物です。


・社本信行(しゃもと・のぶゆき):吹越満

『社本熱帯魚店』の店主。

気弱で思ったことを口にできない性格。

原作の共犯者でブリーダー仲間。


・村田幸雄:でんでん

熱帯魚店『アマゾンゴールド』の経営者。

『社本熱帯魚店』よりたくさんの魚が並び、ちょっとした水族館のよう。

原作の関根元(げん)死刑囚。


・村田愛子:黒沢あすか

村田の妻。

肌を露出した服装が多い。

原作の風間博子死刑囚。


・社本妙子:神楽坂恵

社本の後妻。

後妻ということで美津子に後ろめたさを感じている。


・社本美津子:梶原ひかり

社本の長女。

実母が3年前に亡くなり、まだ日が浅いうちに信行が妙子と再婚したことに腹を立てている。

妙子のことは母親とは認めておらず、暴力をふるうなど嫌っている。


・筒井高康:渡辺哲

村田の顧問弁護士。

強面の男で、幸雄に隠れて愛子と体の関係を持つ。


・オオクボヒロシ:裴ジョンミョン

筒井の部下で主に運転手。


・吉田アキオ:諏訪太朗

村田のビジネスパートナー。


・川尻進:坂田雅彦

刑事。吉田の失踪について調査する。

村田の周りで30人もの行方不明者が出ていることについても調査していて、信行に接触を図る。

『冷たい熱帯魚』原作ネタバレ

『冷たい熱帯魚』を原作ネタバレします。

気弱な男が村田に出会う


主人公・社本信行(吹越満)は、陰気で気弱な男。

死別した前妻の娘・美津子(梶原ひかり)と若い後妻・妙子(神楽坂恵)は折り合いが悪く、家庭はこれ以上ないほど冷え切って荒れているが、何も言えない日々。

CHECK!・社本の趣味はプラネタリウムで、家族3人で仲良く見に行く幻想を見る。


社本の煮え切らない態度は、遂に美津子の万引き事件を招く。

美津子はスーパーで多数の品を盗んだうえに反省の色もなく、店長は激怒。


窮地に陥った社本を救ってくれたのが、スーパーの店長と懇意にしていた村田幸雄(でんでん)。

村田のおかげで、美津子の万引きは今回限りで見逃してもらえることに。


村田は、大型熱帯魚店『アマゾンゴールド』の経営者だった。

村田は、美津子の更生のために店で住み込みで働かせると言い出し、美津子も快諾。


親切で面白い村田に、妙子と美津子もすぐに心を開いた。

こうして社本家と村田の付き合いが始まるが、これは村田の恐ろしい計画の始まりだった。


社本が村田のビジネス・パートナーに


美津子の仕事スタート日。

社本と妙子が付き添うが、社本だけ帰される。


個室で村田は妙子に、あんたの旦那は子供に歯向かえず良くないと同情の言葉を言う。

そのタイミングで「脱げ」と命令して、妙子は村田と関係を持つ。


帰ってきた妙子はご機嫌で、社本に村田のビジネス・パートナーになるように勧める。

(村田は、アマゾンから輸入した希少価値の高い熱帯魚を養殖して大儲けしようとしているらしい)

社本は、まだよく知らない村田と仕事をすることに抵抗を感じる。


そんな中、社本は村田に呼び出されて、資産家・吉田(諏訪太朗)に熱帯魚の投資話を持ち掛ける場に同席させられる。

そこには村田の顧問弁護士の筒井(渡辺哲)もいた。


吉田の死


吉田は熱帯魚1匹に1千万円も支払い、社本は驚愕。

いくらなんでもそんな高いはずがない!


吉田が急に苦しみだした。

原因は、村田の妻・愛子が出した怪しげなドリンク?


社本は吉田に駆け寄るが、村田が一言。

「人間はいつか死ぬ。こいつは今日死ぬってだけだ」


吉田は死亡して、村田は信じられないセリフを吐く。

「俺に逆らったやつはみんなこうなっちまうんだよ。これで58人目だ」


ボデーを透明にする



村田は、社本に妻の妙子と娘の美津子が大事なら死体の始末を手伝えと脅迫。

社本は、村田と妻の愛子の指示で車を運転して山頂の小屋へ。


浴室で村田と愛子は、世間話などしながら楽しく村田の死体をバラバラにしていく。

社本は一言も言葉を発せず台所に行って吐いた。


解体を終えた2人は「美味しいコーヒー淹れてくれ」と社本に命令。

社本は震えながらも、コーヒーを煎れた。


肉の解体を終えた村田は、骨を焼いて白い粉にしていく。

山奥に行き、サイコロ状の肉は魚に食わせて、粉となった骨は撒いた。


村田は社本に言う。

「ボデーを透明にしたら何にもわかりゃしない」

「お前は妙子と美津子を愛しているんだろ。だったらやることは1つ。家に帰っても冷静にふるまえ。お前、俺の小さい時にそっくりだなあ、びくびくしてよ~」


社本は、なんとか美津子を家に戻そうとするが、聞き入れてもらえない。

仕方なく村田に従い続ける。


そんな中、吉田の舎弟たちが乗り込んできた。

(吉田が大金を持っていきなり姿を消したことを怪しんでのことだ)


村田と愛子は泣き落とし作戦で、筒井は弁護士として冷静に乗り切った。

舎弟たちが帰った後、村田は筒井に「いざとなったらあいつら全員ボディーを透明にしたらいい」と囁いた。


筒井は、社本に「村田には内緒で話がある」と言ってきた。

なんと筒井は愛子とイイ仲で、村田を裏切ってやろうと計画していたのだ。

筒井は「村田を殺したらボディーを透明にする手伝いをしてくれ」と言うが、社本は何も言えない。


警察が社本に接触


社本のところに警察官の川尻がやってきた。

「吉田という男が行方不明です。居場所を知ってますか?」

「あなたは村田のビジネス・パートナーということだが、奴がどんな男か知ってるんですか?」

川尻の話
・村田の元ビジネス・パートナーと妻子はある日忽然と消えた。

・村田の周りで少なくとも30人が消えている。

川尻は「今日私があなたに接触したことは内密に。バレたらあいつはあなたも行方不明者にするかも。まさかあなたも奴の共犯者じゃないですよね?」と言って帰って行った。


村田から電話がかかってきた。

社本が刑事と接触したことがバレたのだ。

社本は妙子に電話して「もし俺に何かあったら川尻という刑事に電話するんだ」と伝えて、村田の元へ。


筒井の死


社本は、村田と一緒に筒井の家へ。

筒井はベッドの上で腹上死のようなスタイルで死亡していて、そばには愛子が。

周りには吉田が飲んだあのドリンクの空瓶が多数あった。


村田は「何があったか知らんが全部水に流す」と言って、愛子と一緒に目撃者のオオクボを絞殺。

社本はその一部始終を見ながら震えていた。


村田は社本に言い放つ。

「お前が何か仕出かさない限り、生かしてやるから感謝しろ。

死体の始末手伝え、嫌なら妙子も美津子も殺す」


社本が運転する車で、2体の遺体を山頂の小屋へ運ぶ。

村田と愛子は、また鼻歌交じりで遺体の解体をスタート。

終わると社本に美味しいコーヒーを煎れるように命令。


村田がまた社本に言い放つ。

「人間をどうすれば透明にできるか、それさえ押さえれば最強になれる」

「これさえ覚えていたらお前は一生困らない」

「まずは肉を細かく刻む、最低でも唐揚げぐらいにしなきゃダメだ。その後は骨と肉に分ける、これは絶対」

筒井が殺された理由は、村田からもらうこずかいでは我慢できず欲をかいたからだった。


社本は、村田の指示で山奥に肉を捨てて骨の粉を撒いた。

愛子は車で楽しそうに一部始終を見ている。


社本の逆襲


ここから村田が社本を煽る、煽る。

社本が娘を村田に預けた理由は若い妻と家で2人きりになりたかったからだとか、娘がぐれた理由は社本が一人で何も決められないからだとか痛いところを突いてくる。


社本はしばらく村田に殴られっぱなしだったが、村田が妙子と寝たと知ると殴り返す。

村田は社本に自分の人生論を語る。

「お前は何の対処もしないが俺は違う。

殺しもするがちゃんと解決策を考える。

お前の人生で一回でも自分の力ですっきりさせたことあるんか~!」


村田は「社本、お前俺の共犯者なら愛子を抱け」と言って、社本に無理やり愛子と関係を持たせようとする。

社本は従っているように見せかけて、ペンで愛子の首を刺して、後部座席の村田に馬乗りになってペンで刺しまくった。

(愛子が気が狂ったのか、首を押さえながら笑い転げる)


社本が車を運転して山頂の小屋へ。

後部座席で虫の息の村田は「お父さんやめてえ、はやくたすけてえ」と言っている。


社本は愛子にキスして、村田にとどめを刺させる。

「ボディーを透明にしとけ、今日から俺が村田の代わりだ」


愛子が解体している内に、社本は服を着替えて車内を掃除。

勤務中の美津子を平手打ちして車に乗せ、自宅に戻った。


社本は妙子にご飯を作らせ、3人は黙々と食事。

美津子が彼氏からの電話で出かけようとするが、社本は迎えに来た彼氏も美津子も殴って止めた。


社本は、気絶した美津子を抱きかかえて部屋へ投げ入れる。

そして妙子に「お前、村田と寝たんだろう」と言って、襲い掛かる。

美津子が「何してんだよ」と起きるが、社本は美津子を殴って妙子を犯した。


その後、社本は警察に電話。

山頂の小屋で愛子が村田をバラしていると通報した。


小屋に戻った社本は、村田の遺体を半分解体した愛子を褒める。

……と見せかけてナイフで腹を刺す。

愛子は浴室に行って「あんたあ」と村田の半分解体された遺体のそばに寄り添って死んだ。


警察の車が小屋に到着。

小屋の前には、上半身朱に染まった社本が椅子に座っていた。


車には妙子と美津子も乗っていた。

妙子が社本に駆け寄ると、社本は妙子を隠し持っていたナイフで刺殺。


生きるってのはな、痛いんだよ



ナイフを持った社本は美津子に近づく。

「美津子、お前ひとりで生きていけるよな、一人で生きていきたいんだよな」


社本が美津子に襲い掛かると、美津子が「痛い」。

「生きたいか」「生きたい」


社本は「美津子、人生ってのは痛いんだよ」と自分の首を掻っ切って倒れた。

美津子は「やっと死にやがったな、くそジジイ、起きてみろ」とアハハと笑って社本の死体を蹴りまくった。

(end)

『冷たい熱帯魚』感想

『冷たい熱帯魚』の感想です。


まず社本の家庭が酷い。

妙子は料理が苦手なんだろうけど、料理は冷凍食品とレトルトをチンするだけ、それ以外な~んもなし。

レンジの中がキチャナイのがまたぞっとします。


美津子は食事中はスマホばっかり見てて、彼氏の誘いが来ればさっさと出て行ってしまいます。

美津子は妙子に家庭内暴力もふるっていて、そりゃもう最悪。


ここは社本が2人ときちんと話すべきなのに、神経を病んでいて使いモンにならない。

それどころか、いつか幸せな家庭にならないかと幻想を抱いては現実逃避。

趣味はプラネタリウムで商売っ気もないし、そりゃ奥さんも娘も愛想つかすわって感じ。


村田が妙子と関係を持つシーンが凄い。

「脱げよ」と言いながら平手打ち、妙子も「もっと殴ってください」だし。

おそらくこれは洗脳なんじゃないでしょうか。


村田の幼少期の話が随所に出てきます。

村田の父親は精神を病んで山頂の小屋(死体解体所)に閉じこもっていて、子供の頃の村田も閉じ込められたそうです。

村田も昔は社本そっくりの気弱な少年だったとのことなので、村田は強くなるために「ボディーを透明にする」を実行したんでしょうね。


物語では、村田は筒井の遺体処理をさせた社本を必要以上に煽っています。

理由は、社本が村田の幼少期に似ておどおどしているから?


村田の「俺を親父だと思って向かってこい」にちょっと愛情を感じたのは、私だけでしょうか。

その結果、社本はまるで村田が乗り移ったかのような凶悪な男に変身。

ある意味、村田が社本を男にしたってこと?


途中までは社本がひたすら可哀想ですが、ラストの社本の巻き返しがエグ過ぎます。

善良で人畜無害に見えた社本が、実は一番狂っていたってことではないでしょうか。

『3つの取調室 ~埼玉愛犬家連続殺人事件~』原作のあらすじ結末ネタバレ!風間死刑囚は冤罪?

2020年9月22日