金曜ドラマ『4分間のマリーゴールド』の原作情報、原作ネタバレをまとめます。
手を重ねた人の最期の姿が視える特殊能力を持つ救急救命士(福士蒼汰)と、命の期限が1年後に迫った義姉(奈々緒)との切ないラブストーリー。
読み終った後、自分のそばにいる誰かを大事にしたくなる……そんな素敵なお話です。
『4分間のマリーゴールド』原作
タイトル | 4分間のマリーゴールド |
---|---|
原作 | キリエの同名小説(小学館ビッグスピリッツコミックス刊)全3巻 |
放送日 | 毎週金曜日 後10:00~後10:54 |
初回放送日 | 2019年10月11日 初回は後10:00~後11:09 |
放送局 | TBS |
出演 | 福士蒼汰、菜々緒 |
金曜ドラマ『4分間のマリーゴールド』が、2019年10月11日(金)からスタート。
原作はキリエさんの同名小説で、義理の弟(福士蒼汰)と、余命1年という運命を背負った義姉(奈々緒)の恋愛を描く「純愛物語」で全3巻。
『4分間のマリーゴールド』タイトルの意味
『4分間のマリーゴールド』タイトルの意味をネタバレします。「4分間」の意味
「4分間」とは、救命で蘇生開始してから4分間が、生死の分かれ目ということを意味しているのです。
「マリーゴールド」の意味
マリーゴールドは、みことが義姉の沙羅の誕生日祝いに毎年贈っている花。
みことは、幼少期から沙羅のことが好きで、ある日誕生日にマリーゴールドを贈りました。
その時沙羅が「私は一生、この花が一番大好き!」と喜んだので、みことは毎年マリーゴールドを贈るようになったのです。
マリーゴールドの花言葉は、別れの哀しみ、絶望、生きる。
「4分間のマリーゴールド」の意味
結末のネタバレになりますのでご注意ください。
1年後、事故に遭って生死の境を彷徨った沙羅は、奇跡的に目を覚まします。
その理由は、みことが迅速(4分以内)に蘇生開始したから。
みことは、沙羅の死を予見してからずっと“4分間”を意識して生きてきました。
そして見事、沙羅を救うことが出来たのです。
『4分間のマリーゴールド』原作あらすじ【簡単】
まずは【忙しい人向け】に、原作漫画『4分間のマリーゴールド』を【簡単】にネタバレします。救急救命士として働く花巻みこと(福士蒼汰)には、手を合わせた人の「死の運命」が視えてしまう特殊な能力があった。
最期の様子をビジョンで視てしまった患者に対し、みことはあらゆる手を尽くすのだが、一度視た運命はいつも必ず現実になってしまう。
助けたいのに助けられないジレンマを抱えながら、それでも日々救急救命に全力を尽くしていた。
そんなみことは、幼少期の父の再婚によって兄弟となった義姉・沙羅(菜々緒)、義兄・廉(桐谷健太)、義弟・藍(横浜流星)と、一つ屋根の下で仲良く暮らしている。
父(村上新悟)は既に死亡、母(麻生祐未)はカメラマンとして世界中を飛び回っている。
家族の前では普通に振る舞うみことだが、誰にも言えない思いを抱えていた。
義姉・沙羅を愛してしまったのだ。
血は繋がらないとはいえ、戸籍上姉である沙羅への気持ちを必死に抑えるみことだが、その想いは日々募るばかりだった。
今日は、沙羅の26歳の誕生日。
みことは、毎年“沙羅の大好きな花=マリーゴールド”を贈る。
しかしみことは、沙羅が1年後の27歳の誕生日に死ぬ運命を視ていた。
ある日、みことは、救急要請で向かった先で、ウェディングドレス姿の新婦の死を視てしまう。
みことが必死に手を尽くしたにもかかわらず、新婦は死亡。
みことは落ち込むが、新郎は「彼女を一瞬でも俺の嫁にできて良かった。ウェディングドレス着せてやれて良かった」と言った。
そして先輩救命士の江上は「何をしてやれるかじゃなく、何をしたいかを考えるのは悪いことじゃない」と言った。
沙羅が「みことが好き」と告白、みことも沙羅の気持ちに応えるのだった。
もし、沙羅が俺と一緒に生きる、それだけのことを願ってくれるならば……。
義兄・廉は、みことと沙羅の交際に反対。
理由は、子供の頃から姉弟として育った2人が付き合うとなると、田舎の人々がうるさく言うだろうから。
廉は、両親がいない家で家長として弟妹たちを守る義務があるのだ。
そんな中、廉の昔の友人で有名なカメラマン・広洋(ひろうみ)が一時帰国。
廉は、沙羅を広洋のアシスタントとして海外に行かせることで、みことと引き離そうとする。
父が死んだ後、みことが孤独にならなかったのは廉のおかげだった。
沙羅は「私のせいでみことが家族を失うのは嫌」と嘆く。
そんな中、広洋はみことに「愛している人が明日死ぬから、大事にするのか?」と問いかけた。
意を決したみことが廉に「沙羅が1年後に死ぬ運命が視える」と告白すると、遂に廉は2人の仲を認めた。
しかし偶然その場に居合わせた沙羅も、自分の運命を知ってしまう。
みことは、救急要請の仕事で、46年連れ添った奥さんを亡くした夫と知り合う。
夫は「46年だろうと1日だろうと、彼女は私の妻になってくれた。私は世界一の幸せ者だ」と言った。
みことは「選択の結果より、過ごせる時間の長さより、沙羅を愛する一瞬を大切にしたい」と思い、沙羅にプロポーズ。
「もし一緒に生きられなくなっても、俺は沙羅の弟だったこと、沙羅の恋人だったこと、一生幸せだよ。
そしてもう一つ願いが叶うなら、沙羅の夫になりたい」
沙羅は「みことのお嫁さんになれるなら一生幸せ」と笑った。
沙羅は、みことが一人になる時のことを考えて、籍を入れるのを躊躇。
みことも、沙羅が残す孤独を恐れてはならないと思いながらも、弱い気持ちも出てくる。
しかし父の遺言「孤独を怖がるな。本当の絆があれば、本当の孤独にはならない」と思い出し、
沙羅に父親の結婚指輪を渡して、再びプロポーズ。
きっと、この指輪が沙羅を守ってくれる……。
沙羅の母親(麻生祐未)が帰国して、みことと沙羅の結婚を祝福。
みことと沙羅が車でウェディングドレスを見に行こうとした日、事故が起こった。
泥酔した運転手が乗ったトラックが、突っ込んできたのだ。
先に意識を取り戻したみことは、沙羅を車から降ろして地面に寝かせる。
沙羅は「大好き」と言って、呼吸をしなくなった。
みことはすぐに心肺蘇生を開始して、沙羅は救急車で運ばれた。
みことは毎日病院に行き、付きっ切りで沙羅が目覚めるのを待つ。
ある日、みことは沙羅の部屋で、沙羅が完成させたみことの絵を見つける。
その絵は、マリーゴールドを背景に救命士姿のみことが描かれたものだった。
みことは、今までの自分の幸せを作ってくれたのが沙羅で、だからこそこれからも救命士として生きていくことを誓うのだった。
「ありがとう、沙羅」
沙羅が、目を覚ました!
医師によると、みことが迅速に心肺蘇生を行ったことが決め手だったとのこと。
運命はいつ決まったのか?
みことが沙羅を愛した瞬間か、愛していると告げた瞬間か、沙羅を救うと全てを懸けた4分間なのか?
きっとその全てだ。
事故から1年後、沙羅は見事に全快。
結婚式の日、美しいウェディングドレス姿の沙羅が現れた。
あの事故の日から、みことの能力は消えた。
でも何も変わらない。
大切な人との別れは50年後かもしれないし、明日かもしれない。
この一秒を愛して生きるんだ。
『4分間のマリーゴールド』原作ネタバレ【詳しく】
ここらからは、『4分間のマリーゴールド』の原作あらすじを詳しくネタバレしていきます。救急救命士・みことの特殊能力とは?
父一人・子一人だったみこと(福士蒼汰)に、母と3人の兄弟ができたのは9歳の時。
父は再婚後すぐ亡くなり、母はフリーカメラマンで不在がち。
大人になったみことは、義兄の廉(桐谷健太)、義弟の藍(横浜流星)、義姉の沙羅(奈々緒)と一緒に暮らしている。
3人とも血は繋がらなくても家族だ。
職業 | |
---|---|
兄・廉 | 警備員 |
弟・藍 | 高校生 |
姉・沙羅 | 画家 |
みこと | 救急救命士 |
みことは、救急救命士になってから“自分の特殊能力”に気付く。
それは……
その死の運命は必ず現実になる。
どんなに手を尽くしても。
つまり、みことには人の死期が見えるのだ。
救急救命士の任務は、現場から医療機関まで傷病者に救急措置を行うこと。
それによって生死が分かれる。
みことは、人の死期がわかっても救えない自分の無力さに苦しんでいた。
義姉・沙羅の運命
みことには、姉・沙羅の運命も視えていた。
姉・沙羅は、1年後の27歳に死ぬ。
みことは、沙羅のことを姉としてではなく女性として愛していた。
せめて1秒残らず、幸せでいてほしい。
今日は姉・沙羅の26歳の誕生日。
みことは毎年、彼女にマリーゴールドの花束をプレゼントする。
言葉がなくても、それだけで幸せになってもらえるように。
沙羅は「しわしわのお婆ちゃんになっても毎年ちょうだいね」と笑った。
みことの父親
沙羅と連、藍が、みことの職場にやってきた。
「父親の墓参りに一緒に行こう」と誘われる。
みことは、父親の再婚に感謝する。
もし再婚してなければ、3人の姉兄・弟と思い出話など出来なかった。
父親は、みことが10歳の時に心筋梗塞で亡くなった。
みことは父親を助けられなかった自分を責めたが、その時沙羅が「これから色んな人、助けてあげたらいいよ!」と言ってくれたことがきっかけで救急救命士になった。
沙羅は「2人とも結婚しなかったら一緒のお墓に入れるね」と笑う。
沙羅は結婚することも、子供を産むことも、一年後の今日笑っていることさえ叶わないのに……。
みことは「俺だけはずっとそばにいるよ。俺がしてあげられることは少ないけど」と沙羅に言った。
亡くなった花嫁の夫の言葉
そんなある日、みことは、結婚式で倒れた美亜という女性の救命を担当。
みことには美亜の死が予見できていたが、それでも必死に命を救おうと尽力した。
しかしまたしてもビジョンを変えることが出来ず、美亜は死亡。
みことは、廃駅へ行ってガックリと肩を落とす。
そこへ沙羅がやってきて、みことを抱き締めた。
子供の頃から沙羅は、みことを慰めようといつも必死。
みことが泣くと、みことよりたくさん泣いた。
みことは、それがすごく嫌で、すごく嬉しかった。
後日、美亜の夫がみことに礼を言いにやってきた。
みことが自分が無力だったことを詫びるが、夫は「一瞬でも彼女をおれの妻にできてよかった。ウエディングドレス着せてやれてよかった」と言った。
この言葉に突き動かされたみことは、沙羅に「ウェディングドレスって着たい?」と聞く。
沙羅は「私、結婚にあまり興味ない。絵ばっかり描いて過ごしたいし」と返答。
そしてシーツをくるくるっとまとって、「私の好みのウェディングドレスよ」と笑った。
昔は、沙羅の花嫁姿を見ることが何よりの恐怖だった。
でも、今はウェディングドレスを着て欲しいと心から思う。
沙羅がみことの首に手をまわして「誓いのキスを」と冗談でささやくと、
みことの脳裏に死んだ花嫁の夫の言葉「一瞬でもおれの嫁にできてよかった」が蘇る。
みことは思わず沙羅にキスしようとするが、寸前で思いとどまって笑ってごまかして逃げた。
沙羅の気持ち
ある雨の日、みことは車で沙羅を迎えに行った。
土砂崩れのニュースを聞き、ミコトは現場に向かおうと車を飛び出す。
すると、沙羅が「行かないで!姉として言ってるんじゃない!私はずっと……」と初めて胸の内を激白。
みことは「俺もだよ」と沙羅を抱き締めた。
本当は、2人の未来の話をしたい。
来年もさ来年も、その先も。
その後、みことも沙羅もこのことについて触れることは無かった。
言葉にすることで、何かが始まるのも終わるのも怖かったから。
キス
それでも、縁日には2人で浴衣を着てデート(?)へ。
沙羅は「“姉さん”って呼ばれてもいいの。一生近くにいられたらいいの」と言った。
今までみことの沙羅への思いは、常に沙羅の人生とは切り離された場所にあった。
でも、もし沙羅がみことといることだけを願ってくれるなら……?
みことは、初めて「沙羅」と呼んでキス。
そんな2人を、離れた場所から蓮(桐谷健太)が見ていた。
みことと沙羅は、子供の頃からの秘密基地・古い灯台で密会するようになった。
家ではみことと沙羅は姉弟だから、今また、この場所が2人の“秘密基地”になったのだ。
みことは、改めて絶対に沙羅を救うことを決意するのだった。
でも、もしダメだったら……。
廉の気持ち
そこへ、蓮(桐谷健太)が現れた。
廉は沙羅に家に戻るように言って、みことと2人で話をする。
みことが「沙羅が好きだ」と言うと廉は「そうか。なら俺はおまえの家族をやめる」と言った。
みことは、怒りに似た虚無感に襲われる。
でも死ぬまであきらめない、沙羅のこともレン兄との関係も……。
廉の友人・広ちゃん
そんなある日、蓮の昔の友人・広洋(ひろうみ)がマニラから帰国。
広ちゃんは、18歳で世界最高峰の写真の賞を受賞したカメラマンで、昔は沙羅のママ(麻生祐未)のカメアシをしていた。
1ヵ月間の日本滞在後は、2年かけて世界一周して“死ぬ前に見ときたい景色”という写真集を出すのだそうだ。
広ちゃんは、しばらく花巻家に居候することになる。
廉は、沙羅に広ちゃんの助手として海外に行くことを勧めた。
そしてみことを呼び出して「本気で沙羅の幸せを思うなら、どうするのが正解か、死ぬほど考えろ」と言った。
みことは、自分がいないことで沙羅の夢が叶うならと、身を引こうと考え始める。
みことがまだ高校生の頃。
みことが元気がない時、廉は校門前で必ず待っていた。
そして色んなところへ連れてくれた。
廉は、ずっと親代わりだったから家族への責任感が誰よりも強い。
田舎の人間は、みことと沙羅の関係を知ったらゴチャゴチャ言うだろう。
廉は、みことと沙羅が疲弊して最悪の終わり方をした時のことを心配しているのだ。
みことは沙羅に「レン兄が家族になってくれたから、おれはいつも安心していられた」と打ち明ける。
沙羅は「私のことでみことが孤独になるなら、私はいる意味がない」と悩む。
広ちゃんは「沙羅ちゃんが俺と来ることで、みんな楽になるなら、それでもいいよ?」と沙羅に告げた。
広ちゃんの言葉
そんな中、みことは救急先で、傷病者で余命僅かな人に出会う。
そのことを本人にも家族にも告げられずに悩むミコトは、広ちゃんに相談。
広ちゃんの答えは「どっちでもいいんじゃない?」。
好きな人にしてあげたいことは、相手が明日死ぬからするのか?
そんなのは、今すぐしてあげたらいいじゃないか。
その夜、ミコトは沙羅との交換日記を読む。
そこには……
私はみことから家族を奪いたくない。
みことが廉に真実を告白
みことは、蓮を灯台に呼び出した。
俺はレン兄を困らせたくないし、レン兄は俺と沙羅を傷つけたくない。
でも、みんなお互いを思ってるのに、誰も笑ってないこの状況は違う。
みことは、遂に廉に告げた。
「来年の8月23日、沙羅は死ぬ。
俺は人と手を重ねると、その人の最期が見える」
フザケてんのか?!と怒る廉。
みことは蓮に「レン兄の勤務先の病院の黒沢さんの奥さんがもうすぐ亡くなる。カトリックの黒沢さんは奥さんに“主がお導き下さるよ”と最期の言葉をかける」と教えた。
後に、廉はみことが予言した通りの事実を目の当たりにして凍り付く。
廉はみことに「本当に、沙羅は死ぬのか?」と聞き、ミコトは「本当だよ」と答えた。
廉はみことに掴みかかり、涙を流した。
みことは蓮に「ごめん」と言うしかできなかった。
その夜、蓮とみことは居酒屋で酒を飲んだ。
廉は「沙羅には言うな。あいつが好きなら隠し通してやれ」と言った。
そして「その後は好きにしろ。おまえと沙羅が笑ってるなら、おれはもう何も言わねえ」と2人の交際を認めた。
沙羅が自分の運命を知る
翌日、花巻家の近所に住む倉田さんが倒れた。
通報を受けたみことが救急車で駆け付けると、沙羅もいた。
沙羅は、久しぶりにおすそ分けをしようと、倉田さんの家を訪れたのだった。
沙羅も一緒に救急車に乗って倉田さんに付き添うが、倉田さんは亡くなった。
倉田さんは、みことの沙羅への気持ちを唯一知ってる人だった。
幼少期のみことは縁側で倉田さんに「僕はお姉ちゃんのこと、お姉ちゃんとしてじゃなくても大好き」と打ち明けたのだ。
病院からの帰り道、沙羅はあの日、自分も灯台にいてみことと連の会話を聞いていたことを告白。
沙羅:「私はみことが言うなら、ペガサスを見たって言っても信じるから。
私、死ぬの?」
みことは一瞬何も言えなくなるが、沙羅に嘘はつけない。
ミコト:「そうだよ」
沙羅は「ごめんね。ミコトが苦しんでること何も知らずに……私は姉なのに、恋人なのに」と泣いた。
沙羅が自分を責める理由なんて、何一つ無い、悪いのは何もできない俺だ。
沙羅の夫になりたい
広ちゃんが旅立つ日がやってきた。
みんなで空港まで見送りに行く。
みことが「ヒロちゃんが言ったみたいに、今、沙羅にしてあげられることできてるかわからないけど」と言うと
「どんな選択でも、そこに愛があったらいい」と広ちゃん。
みことには、沙羅の気持ちがわからなくなっていた。
本当は、広ちゃんと海外に行きたいのか?
死期を知った沙羅が、本当に望む選択とは何なのだろうか?
そんなミコトに、46年連れ添った妻を亡くした黒沢が答えを教えてくれた。
「彼女は授かった生を、私の家族であるために、友であるために、妻であるために使ってくれました。
46年だろうと1年だろうと、そんな人が存在してくれた。私は世界一の幸せ者です」
みことは、マリーゴールドが一年草であることを思い出す。
一年草は、“一年中咲くのではなく、一年かけて咲いて枯れる”。
俺は、選択の結果より、過ごせる時間の長さより、沙羅を愛するために使った一瞬を大切にしたい。
そう思ったみことは、沙羅を呼び出す。
みこと:「俺はたとえ一緒に生きられなくなっても、沙羅の弟だったこと、沙羅の家族だったこと、沙羅の恋人だったこと、おれは一生幸せだよ。
それでももし、もう一つ望みが叶うなら、俺は沙羅の夫になりたい。結婚しよう」
沙羅:「どこにも行かない。明日死ぬとしても、あと100年生きられるとしても、みことのお嫁さんになれたら、一生幸せ」
沙羅の残す孤独を恐れてはならない
みことも沙羅も、決して沙羅の最期の話はしない。
ただ、未来の話をする。
みこと:「父さんに結婚のこと報告したいな。墓参りに行こうか」
沙羅:「籍は今すぐじゃなくていいと思う」
沙羅は、自分がいなくなった後のミコトのことを考えているのだ。
自分が死んでも、みことに何も残らないように。
亡くなった父はみことに「孤独を恐れるな」という遺言を残していた。
そう、みことは沙羅の残す孤独を怖がってはいけないのだ。
沙羅が、一年かかる大作の絵を描き始めた。
みことに何も残したがらない沙羅だが、絵は残したいのだ。
藍の秘密
そんな中、みことが救急で駆け付けた林田が自殺未遂を繰り返す危険性があることがわかる。
みことには、林田がビルの屋上に立って死ぬ姿が視えた。
朝食の席でみことが林田のことを話すと、「わかる」と藍(横浜流星)。
「全部、本当全部面倒になる時ってあるよ。全部消してすべて終わらせたいとか思うよ」
実は、藍は中学生の頃に酷いいじめに遭っていた。
廉によると、藍はかなりギリギリだったらしい。
その頃みことは救命士になり立てだったから、廉はみことには黙っていたのだ。
蚊帳の外だった自分に腹が立つみこと。
その日、また通報を受けたみことが駆けつけると、林田がビルの屋上に立っていた。
林田:「なんで生きているのかわからない」
みこと:「理由がなくても生きてください。おれは、逝きたいのに消えていく命をいくつも見たから」
林田の体がふわりと揺れたが、みことはしっかり抱き留めた。
彼はまた明日、一年後、この屋上に上るかもしれない。
俺のビジョン通りに。それでも俺は……。
みことは、昔廉がそうしてくれたように、高校まで藍を迎えに行った。
藍は「みんなが俺の作った料理を美味い、もっと作ってと言ってくれた。だから人生もう終わらせられなくなった」と語った。
ああ、そうか。
小さなことでいい。
たった一つこの世に何か「役割」があればその人の“生きる理由”になる。引用元:「4分間のマリーゴールド」3巻・みことの心の声より
みことが「沙羅と結婚して、沙羅を幸せにすることが俺の役割だと思ってる」と話すと、
藍は「別に、驚かない。なんとなく、気付いてた」と返事。
みことが「藍が嫌じゃなければ、結婚後も家で暮らしたい」と言うと、
「ごはん家で食べるならいいよ」と藍。
その夜、藍はごちそうメニューを作ってくれた。
沙羅は「藍のごはん食べると、生きてて良かったーって思う」と大喜び。
プロポーズ
沙羅の死が刻一刻と近づいてくる。
そんなある日、みことは「工事現場の足場が崩れた」という救急要請を受けて現場へ。
危険も顧みず現場に足を踏み入れ、もう少しで落ちて来た鉄骨の下敷きになりそうになる。
鉄骨が降って来たあの瞬間
一瞬頭をよぎった。
ああ、これでもう、沙羅の死を見なくて済む。
おれはずっと逃げたかったのかもしれない。
おれが身を顧みずに人を救うのは、勇気じゃなく弱さだ。
これじゃ、人生を投げ出す人とおなじじゃないか?引用元:「4分間のマリーゴールド」3巻・みことの心の声
しかし沙羅は「みことはわたしを、一人にしないでしょ?」と言った。
そうだ、俺は弱いけれど、今あるものを何一つ投げ出せない。
救命士としての使命を、レン兄を、藍を、沙羅を、捨てて死んじゃいけない。
みことは、沙羅に父親の結婚指輪を渡してプロポーズ。
「ちゃんと結婚しよう、沙羅。籍もちゃんと。
この先何があっても、沙羅とした楽しいことが多ければ多いほど、おれは孤独にはならないから」
沙羅は、サイズの合わない指輪をはめて、みことに抱き着いた。
沙羅の母が帰国
沙羅、廉、藍の母が、花巻家に帰って来ることになった(みことにとって義母)。
フリーカメラマンの母は撮影で家にいないことが多くて、みこと達が大きくなってからは滅多に帰って来なくなった。
沙羅と母は、今まで悩みや気持ちを分かち合う時間が少なかった。
みことは「今度もきっと同じ感じになるだろう、これが最期かもしれないのに」と不安になる。
帰宅した母は「沙羅は27、みことも25なんだから自分たちで決めなさい」と2人の結婚に冷静な態度を示した。
3人で結婚式場を見学に行くが、母は仕事の電話がかかってきて相変わらず忙しそう。
みことは「沙羅はいいの?母さんとこんな感じで」と心配するが、
沙羅は「何も言わなくていいの。いつもと変わらず、小さい子がはしゃぐみたいに、家を飛び出すお母さんが観たいの」と言った。
その夜、沙羅は母と布団を並べて寝た。
母は「世界一思いやりのあるあんたと、世界一あんたを大切にしてるみこととの結婚、なんの問題があるの?」と祝福。
沙羅は、自分が今本当に幸せであることを伝えた。
母親は、沙羅がお腹にいるときに、インドの木の写真を撮っていた。
それは、永遠にそこにあり続けてほしいと思うほどの綺麗な聖木=沙羅の木。
母の込めた願い通り、沙羅の笑顔がこの家に、この景色の中に、ずっとあり続けますように。
運命の日
みことは、救急要請で向かった先で破水した妊婦を救出。
手を合わせると、妊婦が死ぬ運命が見えた。
妊婦は、みことが見ている前で命がけで出産。
子供は無事生まれたが、妊婦は死亡。
妊婦の父親は「孫の命を救ってくれてありがとう。名前を付けてくださらんか」と言って、
みことは「※まりあ」と付けた。
※聖母マリアの黄金の花=マリーゴールドにちなんだ名前。
みことは、車で沙羅と一緒に美術館に向かう。
今日はドレスを見に行く日だが、その前に絵が見たいと沙羅が言ったのだ。
みことは、運転席の沙羅に「人は死なないんじゃないかなって思う」と語りかける。
「“死んだ人はその人を想う人の心の中で生き続ける”という言葉が、きれいごとじゃないなあって思えて。
俺が救命士として出会う人たちは、本当にその場限りの出会いだけど、その瞬間“絶対にこの人を死なせない”って心から願ってきた。
一瞬のどんな出会いでも、人の命は人に宿る気がするんだ」
沙羅は「それなら私はずーっと生き続けられるね」とミコトに笑いかけた。
次の瞬間、トラックが突っ込んできて、みこと達の乗っている車が潰された。
みことの脳裏に、今までのことが走馬灯のように蘇る。
意識を取り戻したみことは、急いで沙羅の生死を確認する。
呼吸浅く速い、意識レベル100.
ミコトは、二次災害を避けるために沙羅を外へ連れ出す。
沙羅を道路わきに寝かせた後、トラックの運転手の様子を見に行く(彼は泥酔していたが大きな怪我はない)。
その後、すぐに救急要請の電話をした。
沙羅は、右側頭部からの出血が多い。
沙羅は「ミコト、大好き」と言って、気を失う……息をしていない!
みことは、胸骨圧迫と人工呼吸を繰り返す。
そこへ救急隊員が駆け付け、みことも一緒に車に乗り込んで沙羅を病院へ運ぶ。
父の形見の腕時計は、壊れて動かなくなった。
沙羅は昏睡状態に陥り、目覚めない。
ミコトのビジョン通りなら、8月23日に沙羅は……。
ミコトは、毎日病院に通って、沙羅が目覚めるのを待った。
一秒でも長く、沙羅といたいから。
明日は沙羅の誕生日
明日は沙羅の誕生日。
マリーゴールドの花を贈る。
マリーゴールドの花言葉は、“絶望”と“別れの悲しみ”。
花言葉を知った時、贈り物には向かないと思った。
沙羅の部屋に入ったみことは、沙羅が完成させた絵をみつける。
それは、マリーゴールドを背景にした救命士のみことが描かれた絵だった。
そういえば、沙羅が言っていた。
マリーゴールドの花言葉には、“生きる”の意味もあると。
沙羅の全てが、俺に生きる幸せを伝えてくれていた。
それは、生涯、絶対になくならない。
みことは、沙羅の絵に手を合わせて「ありがとう」と涙を浮かべた。
1年後
それから1年後。
みことは、救命士として忙しく働いていた。
帰り道、花屋でマリーゴールドの花束を買う。
一年前、みことはマリーゴールドの花束を持って病院に行った。
廉はみことに「今日がその日か。お前は沙羅を全力で大事にした。沙羅は幸せだ」と言った。
その時、母が「沙羅がっ」と走って来た。
みんなで駆け付けた病室で、沙羅は……。
沙羅は目を覚ました。
医者は「助かる確率は、呼吸が止まってからどれだけ早く、心肺蘇生を始められたかで決まります。彼女は幸運でしたね」
と言った。
迎えたみことと沙羅の結婚式。
1年前に目を覚ました沙羅だが、自力で歩けるようになってから式をあげたいと言ったのだ。
そしてあの事故の日以来、みことの能力は消えた。
生まれる前から?
生まれた瞬間から?
おれが沙羅を愛した瞬間?
愛していると伝えた瞬間?
「沙羅を救う」と全てをかけた“4分間”?
きっと、そのすべてなんだ。
そして今も何も変わっていない。
大切な人との別れは、50年後かもしれないし明日かもしれない。
だから今この瞬間、言葉で、行動で、心で、愛しているを伝えよう。
(FIN)
感想
煩雑で未来が不透明な現代、人は思わず人の心を失ってしまいます。人件費削減が徹底され、10年後には医師の仕事さえAIが取って代わると言われています。
人の価値って何だろう?と思わす考えてしまいます。
でも、本当は大事な人が生きていてくれるだけで幸せなのです。
価値など、本当は問うべきではないのです。
『4分間のマリーゴールド』は、主人公のみことが特殊能力を与えられることによって、神様から試された話ではないでしょうか?
それは、真実の愛を問う試験。
みことは見事にその試練に打ち勝ち、本来なら得ることがなかった沙羅との未来を与えられたのではないでしょうか。