「今からあなたを脅迫します」轟雄之助役・近藤正臣の経歴と演技評価まとめ

ドラマ「今からあなたを脅迫します」に主人公・金坂澪(武井咲)の祖父・轟雄之助役で出演している近藤正臣が、「存在感がある」と評判です。

政界のドンという設定の轟雄之助とは何者か?そして演じる近藤正臣の経歴・演技力を解剖、シェアします。

 



ドラマ「今からあなたを脅迫します」での近藤正臣の役柄・轟雄之助ってどんな人物?


主人公金坂澪に毎月300万円を現金書留で送りつける老人轟雄之助、実は澪の祖父でした。

澪の両親・轟瑤平と轟七海は、澪が6歳の頃、交通事故に遭って2人とも亡くなっていたのです。

そういう事情から澪は、祖母の美沙に育てられます。

祖母の美沙は自由奔放に生きる性格の人で、翻訳家をしたり塾の講師をしたりバイヤーをしたりして、気ままに暮らしながら澪を育てていました。

しかし、ほとんど家に居なかった祖父・轟雄之助は大物政治家だったのです

政財界に力を持ち、平成のフィクサーと呼ばれていました。

本人は、理想の政治を実行するためには金が必要と日常茶飯事のように賄賂を受け取っていて、敵が現れると容赦なく悪辣な手段で葬り去って憚(はばか)らない非情な政治家だったのです。

澪はそんな祖夫・轟雄之助がイヤで大学生になると祖父が出入りする祖母と暮らす家を飛び出して、アパートを借りて一人暮らしを始めていたのです。

そして澪が脅迫屋・千川(ディーン・フジオカ)に出会ってからというもの、実は轟雄之助はそれとなく澪を危険から守るために監視役に人を送り込んでいたのです

近藤正臣の経歴

近藤正臣は京都府東山区出身で1942年2月生まれの75歳の俳優です。

東京と京都でエキストラや端役を積み重ね、1969年にTBSのドラマ「柔道一直線」で主役の桜木健一のライバル役で事実上のデビューを果たします。

その後、NHKの大河ドラマに出演し、主役級の役を次々と演じてゆきます。

特に、1973年の「国取り物語」の後半で演じた明智光秀はイメージにぴったりの当たり役で大人気となり、当時の大河ドラマファンをテレビに釘付けにしました。


一方、映画ファンにとっては1975年に近藤正臣が主演した清水一行原作の映画「動脈列島」が強く印象に残る作品でしょう。

この物語は新幹線騒音被害により衰弱し亡くなった老婆を看取った医師・秋山宏(近藤正臣)が、国鉄総裁に騒音被害の対策を実施するように新幹線脱線を示唆する脅迫状を送り、警視庁捜査本部長滝川保(田宮二郎)に逮捕されるまでの逃走劇です。

田宮二郎と近藤正臣の二人が、見えない相手との息詰まる知恵比べを演じる姿が目に焼き付いています。

そして、近藤正臣が演じた秋山宏が映画ファンの心に強く刻み込まれたため、近藤正臣はこれ以来、社会派俳優としてのポジションを築いてゆくことになります

また映画自体も話題を呼び、ちょうど1974年には名古屋市の新幹線沿線住民が、名古屋地方裁判所に騒音公害に対する訴えを起こした直後の映画公開だったので、世間の強い関心を呼ぶことになり、

ほぼ同内容の娯楽映画「新幹線大爆破」も同じ年に上映され、手塚治虫も漫画「ブラックジャック」の中で新幹線騒音問題を描いています。

演技力は凄いの?

近藤正臣の演技力を正しく理解してもらうには、2013年に出演したNHKの朝ドラ「ごちそうさん」で演じた西門正蔵を思い出してもらうのが一番良いでしょう。

杏が演じる主人公め以子が料理の師匠として通い詰めた「始末の料理」の達人が近藤正臣の役どころでした。

この役は、若い頃、料亭吉兆で板前修業を積んでいる近藤正臣にとっては得意とする分野で、実にみごとな包丁さばきと話術で杏ちゃんも視聴者も魅了してくれましたね。

それから、2015年の「朝が来た」では温厚で主人公あさの良き理解者白岡正吉として近藤正臣は老練な役を淡々と演じていました。

そのとき、「今からあなたを脅迫します」に出演しているディーン・フジオカとも共演していましたね。

 

近藤正臣は幻の仮面ライダーだった?

ところで、近藤正臣が「柔道一直線」でデビューして間もなくの1970年頃のことですが、東映では「仮面ライダー」の原題となる「十字架面(クロスファイヤー)」の企画が進んでいました。

すでに主人公・本郷猛は近藤正臣、ヒロイン・緑川ルリ子には島田陽子に決定し、製作開始を待つばかりだったのですが、

原作者の石ノ森章太郎から「自分が書いた主人公の絵のデザインが気に入らないから書き直したいという」申し出があって時間を費やしているうちに、近藤正臣のスケジュール調整が付かなくなり、本郷猛役が藤岡弘に変更になったというエピソードがあるのです。

結局、1971年から「仮面ライダー」として東映が制作し、TBSで放送される今に続く大ヒット作品になったのでした。

もし、石ノ森章太郎の主人公・本郷猛の絵のデザインが元のままだったら近藤正臣は初代仮面ライダーとして、全く違う役者人生を送ったことになったのかも知れません。

テレビドラマなんだから、絵コンテのデザインは拘ること無かったのにと思いませんか?