「ドクターX5期」でAI将棋ロボット「マングース」の対戦相手のプロ棋士、本当は誰?

「ドクターX5期」5話でAI将棋ロボット「マングース」の対戦相手となった五反田五郎五段のモデルとなったプロ棋士は誰だったのでしょうか?

ネットでは、 「たぶんモデルは藤井4段なのだろう」という声が主流ですが、放送後には「ロボットの名前がマングースって羽生(ハブ)を倒すためのAIってことですよね」という意見が多く投稿されています。

「ドクターX5期」の5話でモデルとなったプロ棋士が本当は誰だったのか、反応をまとめました。



5話でAI将棋ロボット・マングースの対戦相手となったプロ棋士は誰?


「ドクターX5期」の5話でAI将棋ロボット・マングースの対戦相手となった五反田五郎五段のモデルとなったプロ棋士については、

この春に連勝記録で大きな話題になった藤井蒼汰4段する説と、今まさに竜王戦の最中で永世七冠を目指している羽生善治棋聖とする説がネット上でぶつかり合っているのです。

双方の意見を並べてみると、

まず主流派の藤井蒼汰4段がモデルだったとする説のポイントは、

・連勝記録を続ける若き天才棋士と言えば、人気となった中学生棋士藤井蒼汰4段しかいない
・ドラマの中で五反田五郎の病室に残されていた雑誌「将棋世界」の表紙に藤井4段の写真が載っていた。
・最後の対局のシーンで使われた勝負駒の桂馬は藤井5段が序盤戦でよく使う跳ね駒である。


それに対し、 羽生善治棋聖がモデルだったとする説のポイントは、

・羽生善治棋聖も中学生でプロ棋士になった若き天才棋士だった。
・対戦したAI将棋ロボット 「マングース」の名前は、ハブ(羽生)の天敵という意味で名付けられている。


ということになるのですが、ここでもうひとつ判断材料となる面白いパロディがドラマの中に隠れていたことをお伝えします。

これが案外、五反田5段のモデルが誰だったかを考える上でも重要なのです。

そのパロディとは、五反田5段が劇中ラストシーンで勝負を左右する一手として使った「桂馬」を、実況していたテレビのアナウンサーが「ついに出ました五反田5段の天下の宝刀、地獄の桂馬使い! 」と叫んだことです。

これがパロディなの? 何のパロディなの? 面白いの?と思った方もいるでしょう。

そこで、このパロディの面白さを解かってもらうためには、まずその背景にあるAI将棋ロボットとプロ棋士の対戦「電王戦」の結果を説明しておかなければなりません。

これまでのAIソフト(ロボット)とプロ棋士の対戦は?

まず、年代順に過去の将棋ソフト(途中からはAI将棋ロボット)とプロ棋士の対戦「電王戦」の結果を紹介しておきます。

第1回将棋電王戦では、2012年1月14日に日本将棋連盟会長の米長邦雄永世棋聖が、世界コンピュータソフト将棋選手権優勝の「ボンクラーズ」に113手で敗れています。
この時は1局だけの個人戦でした。

第2回将棋電王戦は2013年3月から4月にかけて、5人の現役プロ棋士が登場し将棋ソフトと5局の対戦が行われ、プロ棋士は将棋ソフトに対して勝つことが出来たのは1人だけ、結果は1勝3敗1引き分けでした。

第3回将棋電王戦は2014年3月から4月にかけて、やはり前回と同じく5局が行われ、この時も将棋ソフトに勝てたのは1人だけで、対戦結果は最悪の1勝4敗でした。
尚、この時からコンピューター側の指し手にAI将棋ロボット「電王手くん」が登場し、ドラマでも映し出されたと同じロボットアームが動作して対局が行われるようになったのです。

第4回将棋電王戦は団体戦最後となる「将棋電王戦FINAL」と名称を替えて2015年3月から4月にかけて、5局が行われ、初めてプロ棋士が最新AI将棋ロボット「電王手さん」に3勝2敗と勝ち越しました。

2016年4月からは、第1期電王戦が始まり、山崎隆之 叡王が2回AI将棋ロボット「ポナンザ」と先手と後手を替えて2局対戦をしましたが、0勝2敗の結果でした。

そして、2017年4月と5月に行われた第2期電王戦では、佐藤天彦 叡王がやはり2回将棋ロボット「ポナンザ」と対戦し0勝2敗の結果となっていたのです。

ご覧いただいたように、プロ棋士はAI将棋ロボットに分が悪く、勝てないのです。

2016年以降は、「電王戦」以外のイベントの対戦でも全くプロ棋士はAI将棋ロボット「ポナンザ」に勝てていなかったのです

「ドクターX5期」の5話のラストシーンに登場する「地獄の桂馬使い」とは?

こういう背景があって、昨年2016年の「電王戦」後に羽生善治棋聖が週刊ポストのインタビューに答えて、AIロボットに勝つには「桂馬がちょっと横へ動ければよいのです」という趣旨の発言をしてマスコミに大きく取り上げられたジョークが飛び出すのです。

この発言が話題になったことで、AI将棋ロボット「マングース」と五反田5段の対局のラストシーンで五反田五段が打った勝負の駒「桂馬」を「天下の宝刀、地獄の桂馬使い」と実況アナウンサーが言い、羽生善治棋聖の発言をパロディとして使っているのです。

もちろん桂馬は横には動けません。

羽生善治棋聖はルールを少し変えても人間はなんとか対応するけれど、AIロボットはルールが変更されたら一瞬で入力されたすべての(棋譜)データが無効なものとなって全く判断できなくなる。

という意味で羽生棋聖はジョークとして「桂馬がちょっと横へ動ければ良いのです」と言っていたのです。

それをドラマでは5話の本題のテーマ人工知能診断システム「ヒポクラテス」の脆弱性と並べてAI将棋ロボットの弱点をパロディとして使ったのではないかと思います。

その意味では「桂馬」については五反田5段のモデルは羽生善治棋聖説に少し分がありそうですね。

ただし、その他の点については、五分五分で、イメージ全体的にはドラマを観た人が藤井4段を想い起させるように作ってあった、と見るべきでしょうね。

ネットではどんな反応があったのか?

ネットでは、実際にどんな投稿があったのかピックアップしてみました。

まとめ

ドラマを制作したスタッフの立場からすれば、間宮祥太朗を若き棋士役に起用して話題性のある藤井4段を観た人にイメージして欲しかったのでしょうね。

だけど、一方で羽生棋聖の「桂馬」ネタもオチに使いたくてAI将棋ロボットの名前を「マングース」にしたということではないでしょうか。

結局、ドラマに登場したプロ棋士五反田五郎5段は、今年大きな話題になった中学生天才棋士藤井4段と将棋界の頂点に立つ羽生善治棋聖の、2人の都合の良いところをドラマに使っていたということでまとめとしたいと思います。