この世界の片隅に5話あらすじ 原作ネタバレ!すずと水原哲が納屋で2人きりに?

戦時中にありながら、笑顔を忘れないすず(松本穂香)の姿に胸を打たれるドラマ『この世界の片隅に』。

5話では、すずの初恋の人・水原哲(村上虹郎)が不意に現れます。

ヤキモチを焼いた周作(松坂桃李)は、すずと哲を納屋で2人きりにしてしまいます……!

当記事では『この世界の片隅に』5話あらすじ(特に、すずと哲の話)を原作からネタバレしてまとめています。



『この世界の片隅に』5話あらすじ・原作ネタバレ




昭和19年12月


昭和19年のある日、すずが井戸で水汲みをしていると、軍艦に乗っているはずの水原哲(村上虹郎)が現れました。

「……井戸のところでばったり会うてえ」

すずは家族みんなに哲を紹介。


水原哲はすずの初恋の相手


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水原哲は、すずの初恋の相手。

2人は小学校時代の幼馴染で、哲は元ガキ大将。


海軍兵学校の生徒だった4歳年上の兄を海難事故で失い、小学校卒業後志願兵として海軍に入隊。

久しぶりに会った哲は、すっかり人柄が丸くなっていました。


哲は、すずに会うために北條家へ


哲は、青葉の停泊中、入浴と一夜の宿を求めて北條家を訪れたのでした。

「入場上陸いう名の自由時間です。行先もまぁあれなんで同郷のすずを頼ってお邪魔しました。みなさんにはすずがお世話んなりよります」

哲はコタツに手をつき、北條家のみんなに頭を下げましたが、その芝居がかった態度に閉口するすず。


「すずは昔から絵と海苔漉きしかとりえがのうて、ここじゃただのぼんやりでしょう。ま、遠慮のういうてください。連れ帰ったりますわい」

そう言って笑う哲の顔に、すずは灰皿をゴツンと落とします。


「う……」とうめく哲。

「キザもたいがいにし!すず、すず呼び捨てしくさって!」


「すずさん、水平さんに乱暴は」とサン(伊藤蘭)にもとがめられて、悔しいすず。

哲は平然とたばこを吸い始めました。


周作が、すずと哲を2人きりにする


「青葉はどがいなですかのう」

周作に聞かれて、哲はあおむけのまま答えます。


「マニラで負傷してようよう戻ってきました。ええ艦なのにまたしても活躍も沈没もせずじまいじゃ……のう、周作さん」

哲は自分を見下ろす周作から、目をそらします。


「死に遅れるいうんは焦れるもんですのう」

常に死と寄り添い生きる哲の言葉をしっかり受け止めつつも、周作もまた、哲から目をそらします。


すずが風呂から上がると、茶の間に哲の姿がありませんでした。

周作:「納屋の二階へ寝てもろうた」

すず:「はあ……すみませんでした。いきなり連れてきて」

周作:「いや、珍しかったで。あんたでも強気のときがあるんじゃの」

すず:「はあ」

周作はすずに行火を差し出し、哲のいる納屋に行くように言いました。

すずは行火を受け取り、その心を探るかのように周作を見つめました。


2人きりになったすずと哲は……


行火を手にしたすずが納屋の戸を開けました。

そこで足を止め、ふと母屋を振り返ると、玄関の戸に周作の影が……!

その手鍵を閉め、暗幕を下ろす。


驚きの余り、しばらく立ち尽くすすず。

やがて覚悟を決めたように、納屋の中へ。


哲が「積もる話じゃ、寒いけえ足いれえ」と言って、布団の隅に足を入れるすず。

哲がすずに持ってきてくれた“おみやげ”は、白くなめらかな鳥の羽根。


すずは何かを思いつき、下から舵をとってきました。

行火から炭を引き出し、羽根の軸を押し付けます。


「羽根ペンにすんか?」と哲が言って、「うん」と頷くすず。

軸回りをきれいにすると、すずは舵で先を削ぎ、ペン先を作っていきます。


「よし」と哲は洗面所から接見箱を出し、そのフタに万年筆のインクを落とします。

すずが出来上がったばかりの羽根ペンの先にインクをつけて、ペンを走らせると、すーっときれいな線が書けました。


哲は、以前、すずが哲の代わりに書いた「波のうさぎの絵」の話をします。

その絵は、先生が広島市の大会に出して、屈指の評判になったのです。

「わしゃほんま困った。わしが描いたことになっとったけえのう。ほんとの手柄はお前なんにのう」と哲。


すずを抱き寄せる哲


はにかむすずの頭に哲はポンと手をのせました。

すずが体を固くするのがわかりましたが、その肩に手を回して、自分へと引き寄せる哲。


そしてすずの頬にキス。

「すずはぬくいのう」

哲は死の冷たさに触れてから、心がうずき始め、何かを求めていました。

そして今、哲は自分の求めていたものがなんなのか、わかりました。


「すずはやわいのう」と抱き寄せ、「甘いのう」とその顔を胸に抱いて……。

「うちはずっとこういう日を待ちよった気がする……」とすず。


すずは強く哲に体をあずけましたが、すぐに自ら引きはがしました。

「ああ!!ほんまに!!」

「うちはあん人に腹が立って仕方がない!ごめん。ほんまにごめん」


震えるすずの手を診ながら、「あん人が……好きなんじゃの」と哲。

「……うん」とすず。


「あーあ……たまげるくらい普通じゃのう」と言って、哲は脱力して布団に寝転がりました。

「ごめん」とすず。


哲は当たり前のことで怒って、当たり前のことで謝るすずのことを「いいな」と思います。

海軍に入ってから、哲はヘマもないのに叩かれたり、手柄もないのにへいこらされる日々。


まるで藁(わら)や神様の当たり前になってしまった哲は、「わしはどこで人間の当たり前から外されたんじゃろう……」と言います。

哲にとって、海軍だった兄が亡くなったから軍隊に入り、命を繫げて戦うのは当たり前のことなのに……。


哲:「わしゃあ、英雄呼ばわりは勘弁じゃけえ。わしを思い出すなら、笑うて思いだしてくれ。お前だけは最後までこの世界で普通でまともでおってくれ……」

すず:「……わかった」


夜が白みはじめる頃、哲とすずは納屋を出ました。

「ここでええ」と哲は立ち止まり、すずの顔を見ました。

「すず、お前べっぴんなったで」

「アホか」


すずは小さい頃から哲を見ると、怒るクセがついていて、思いを口に出せません。

だから哲に渡した手帳に、こんな文章をつづりました。

哲さん

羽有難う

立派に成って呉れて嬉しかった

死なずに来て呉れて嬉しかった

すず


鬼いちゃんが帰ってきた


鬼いちゃんが、小さな木の箱に入って帰ってきました。

周作をともない広島の合同慰霊祭に出席したすずは、そのまま家族と一緒に江波の実家へ。


帰り道の車内、すずと周作が揺られています。

鬼いちゃんと同じように、哲とももう二度と会えないかもしれない……。

しかしそれは、隣にいる周作だって同じ。

あちこち空襲されていて、いつ会えなくなるか……。


「周作さん」

すずは「このあいだは水原さんと話をする時間もろうて、ありがとうございました」と頭を下げました。

「いや……」と目をそらす周作に、「ほいでも周作さん、夫婦ってそんなもんですか?」と迫るすず。


周作は顔をそむけたまま黙っていましたが、やがて根負けしたように口を開きます。

「わしが無理いうて嫁にこさしてしもうた……」


突然、すねたような口調で「わしに見せんくせに。あがいな怒り顔」と周作。

すずは「な……今見しとるでしょうが!!」と大きな声で言い返しました。


その後、ぴったりくっつき合ったまま、2人は子供のように言い争いを続けました。

「ほいで今日にかぎってホゲた(穴のあいた)靴下はいとってですか!」

「すずさんがゆうべ縫うたんが足が入らんことになってたんじゃ」

「ほかのんもあろうが!」

結局2人は、家につくまで、どうでもいい口喧嘩を続けます。

風呂に入り、ようやくひとりになったすずは、いつの間にか周作へのわだかまりが解けていることに気が付くのでした。

まとめ

『この世界の片隅に』5話のあらすじを原作からネタバレしてまとめました。

戦時中の恋は、死と隣り合わせ。

それでも普通でいることが出来たすずは、本当に強い女性なのだと思います。