『満願』第一夜「万灯」あらすじ原作ネタバレ!伊丹(西島秀俊)が裁きを受ける!

米澤穂信のベストセラーミステリー短編集『満願』の中から、「万灯」「夜警」「満願」が三夜連続でドラマ化されます。

第一夜【2018年8月14日(火):NHK総合よる10時から10時59分】は、西島秀俊さん主演で「万灯」。

当記事では『満願』第一夜「万灯」について、原作からあらすじをネタバレしてまとめています。


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ドラマ『満願』とは?


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  • 放送予定日 2018年8月14日(火)、15日(水)、16日(木)(NHK総合:よる10時から10時59分)
  • 原作 米澤穂信『満願』
  • 脚本 大石哲也(第1夜・第2夜)、熊切和嘉(最終夜)
  • 制作統括 出水有三(NHK)、仲野尚之(日テレアックスオン)
  • 演出 萩生田宏治、榊英雄、熊切和嘉
  • 収録予定 2018年6月から7月

米澤穂信さんの小説『満願』は、2014年のミステリー界で、史上初めて「このミステリーがすごい!」「週刊文春ミステリー・ベスト10」「ミステリーが読みたい」のそれぞれで1位になり、3冠に輝いたベストセラーミステリー短編集。

この中から、「万灯」「夜警」「満願」を3夜連続でドラマ化。

緻密な謎解きはもちろんの事、岐路に立たされた人間の葛藤、業などを精細に描きだすミステリードラマです。

  • 第1夜「万灯」業の闇に飲み込まれていくやり手商社マン:主演・西島秀俊(2018年8月14日放送)
  • 第2夜「夜警」若い巡査の殉職の謎:主演・安田顕(2018年8月15日放送)
  • 第3夜(最終夜)「満願」美しき下宿屋の女将が守りたかったもの:主演・高良健吾(2018年8月16日放送)

西島秀俊主演「万灯」あらすじを原作ネタバレ


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第1夜「万灯」(西島秀俊主演)のあらすじを原作ネタバレします。

バングラデシュで、天然ガスの事業に取り組む


井桁(いげた)商事に勤める伊丹(西島秀俊)は、使命感あふれるビジネスマン。

日本の国内市場の行き詰まりは明白で、活路は海外にしかないが、そのための尖兵はまだ十分ではない……そう考えていました。


入社三年目でインドネシア支社に派遣された伊丹は、天然ガスの事業に取り組むことに。

そして二年前にバングラデシュへの移動を命じられ、喜んで拝命。

バングラデシュは南アジア屈指のガス埋蔵量を有すると目されていますが、現地調査すらまだ不十分な状態でした。


伊丹は開発室長という肩書きで、部下の高野とともに意気込みますが、来て早々に事務所の電気を止められ、インフラ会社がインフラを止めてまで小遣いを稼ぐ現状に驚きます。

またバングラデシュは気候も大変厳しく、事業を成功させるのは並大抵ではありませんでした。


バングラデシュの天然ガス資源は二十世紀初頭から、その存在が知られています。

それだけに、浅いところ、掘りやすいところにあるガス田は、既にどこかが押さえている状態。

ベンガル湾の開廷ガス田は埋蔵量も豊富で、後発部が入り込む余地もあったけれど、残念なことに当時のプロジェクト規模では、猛烈なサイクロン(熱帯低気圧)に耐える海上プラントは用意できませんでした。


そこで、伊丹が目を付けたのが北東部の低地帯。

インドとの国境付近には、まだ未開発の地域が残っています。

技術が発達した今ならば、手を出せるかもしれない……。


ところが、調査に出ていた高野の車が転落事故を起こし、高野は左腕を切断。

同行していたバングラデシュ人スタッフは死亡。


伊丹は、何かあった時にすぐ対応できるよう開発地帯の近くに拠点を設ける必要性に迫られます。

高野は去り、新しい部下・斉藤が配属されました。

高野への痛恨の思いは消えませんでしたが、悲しみを引きずっている場合ではありませんでした。


ボイシャク村に目を付ける


拠点として、雨季にも陥没しない地域、かつ政治的に安定していることを条件に探していた伊丹は、ボイシャク村に目をつけました。

ボイシャク村との交渉には、斎藤が行くことに。

彼はこうした交渉の経験者で、まず間違いのない人物でした。


しかし、一週間の出張から帰ってきた斉藤は、傷だらけでした。

「室長、駄目です。ボイシャク村は外国人を嫌ってる。……殺されるところでした」


斉藤は、起こった出来事の一部始終を話します。

村の住民は最初は好意的で、マタボールという村の長老に会わせてもらえないかという斉藤の申し出も快諾。


マタボールのアラム・アベットも斎藤を歓迎し、友好的な空気が漂っていましたが、斉藤が開発に来た人間であることを知った途端に態度が激変。


「帰れ」と言われても、斎藤が粘ったのがまずかったのでしょう。

アラムがベンガル語で何か叫ぶと、男たちが入ってきて、斉藤はリンチされることに。


伊丹は斉藤に病院に行くように言いますが、内心は苛立っていました。

長年資源開発に携わった伊丹の勘が、このトラブルは長く続くと告げていました。


その後、ボイシャク村は完全に交渉を拒絶し、井桁商事の人間が村に近付くことを決して許しません。

伊丹はボイシャク村以外に拠点を置けないか再検討しますが、輸送ルートはボイシャク村を通らざるをえない、あの村はどうしても懐柔しなくてなならない……。

斎藤は怪我人ゆえに強盗に狙われ、高野の二の舞はごめんだと言って、日本に帰国してしまいました。


斉藤の代わりはすぐには補充されませんでした。

伊丹は自分がボイシャク村に乗り込み、土下座でもなんでもしたいと思います。


しかし室長の肩書きの伊丹が何の成算もない状態で、ダカを長期間留守にするわけにはいかず……。

結果、ボイシャク村との交渉は現地スタッフに任せるしかありませんでしたが、彼らはボイシャク村に入ることさえ許されませんでした。



殺人が条件


そんな状況が変わったのは、寒さが忍び寄る十一月のことでした。

ボイシャク村から手紙が届き、重要な協議があるから一人で来いと言ってきたのです。


偽手紙の可能性、仕事が重なっている、会話が困難(伊丹はベンガル語がわからない)などの問題はありましたが、伊丹は一人でボイシャク村に行くことを決意。


ボイシャク村の前まで案内人に連れてきてもらうと、案内人が、アラムと他のマタボールたちが争っていることを教えてくれました。

しかし、伊丹に他の選択肢はなく、ボイシャク村に足を踏み入れます。


伊丹は住民に案内され小さな家に入りました。

そこにはOGOというフランスのエネルギー企業の新規開発課の森下が待っていました。

OGOも天然ガスを狙っているのです。


アラムが入ってきました。

アラムが伊丹を歓迎していないのは明らかでしたが、伊丹は交渉開始。

しかしアラムはバングラデシュの未来のために天然ガスが必要であり、日本にもフランスにも渡したくない意志を明かしました。

森下は説得を試みますが、全くの失敗に終わりました。


伊丹は茫然としていました。

バングラデシュ政府の支持さえ固まっていない現状で、武力を伴う強固な反対運動が発生した時、本社は開発の続行を許すであろうか?

いま引き返せば、傷は浅いという判断が現実的であろう。

「別の地域を探せ」という命令が下るに違いありません。


立ち尽くす伊丹に、小柄な老人が呼び掛けてきて、マタボールたちが会いたいと言っていると告げました。

連れていかれた先には、アラム以外のマタボールたちが待っていました。


シャハ・ジンナーというマタボールが、代表。

シャハは、砂糖がこれでもかと入ったチャイを、伊丹と森下に勧めました。

もてなしを断るのは失礼なので、口をつける2人。


伊丹と森下に手紙を出したのは、シャハでした。

シャハは、アラムを危険視し、排除しようとしていました。


伊丹と森下がこの村に拠点を置くためにシャハが出した条件……それはアラムを殺せば喜んで土地を提供するというものでした。

2人は当惑しますが、森下は覚悟を決め、伊丹も頷きます。


シャハが殺人計画について話すのを聞きながら、伊丹は頭のどこかで、これは異常だ、いますぐ立ち上がり、後ろも振り向かずに逃げるべきだと考えていました。

しかしその考えはひどくよわよわしいもので、全般として、まるで計画を吟味するようにシャハの話を聞くのでした。


シャハは事故を装って、アラムを車でひき殺すよう提案。

日本でこれをやれば、交通鑑識に看破される可能性が高いですが、バングラデシュの警察であれば疑われずに済むとのこと。


暗闇の中、アラムをどうやって識別するかという問題もありましたが、森下の提案により、アラム以外がケミカルライトを持つことでこの課題は解決。


伊丹は森下もまた、必要とあらば犠牲を惜しまない果断の人だとわかり、彼に仲間意識を抱き始めていました。

「事故」にどちらの車を使うかでは、森下のジープが適切ということになり、せめてもの負担としてハンドルは伊丹が握ることに。


二人は殺人のための時間つぶしをし、予定時刻になると車を走らせました。

伊丹は、自分が思っていたより冷静で、殺人に適した人間であることに気が付きます。


予定通り、ケミカルライトを身に付けていないアラムに車でぶつかりました。

アダムが本当に死んだかどうかを森下に確認させようとしますが、森下にはそれができません。

彼の顔からは血の気が引いて、理性も意志も何もかも吹き飛んだ、ひどい顔をしていました。

「この男は駄目だ。とても信じるに値しない」と思う伊丹。


森下が日本に帰国


こうしてボイシャク村の協力を取り付け、物質集積拠点設置の目途は立ちました。

ここからは大車輪で開発は進むでしょう。


しかし新たな問題も浮上。

OGOの参入です。

部下にOGOの動向を探るよう命じると共に、共同開発の可能性も検討しなければなりません。

森下の様子を確認するためにOGOに電話する伊丹ですが、森下はすでに退職して、日本に帰国していました。


ずんと気が重くなり、次いで、腹の底で、暗い火を燃え上がらせる伊丹。

「逃がすわけにはいかない」


なんとか森下の居場所を聞き出した伊丹は、森下を殺すために、口実を作って日本に帰国。

飛行機の中で伊丹は熱を出し、それをスチュワーデスに知られて、成田で検疫を受けることに。

結果は、二、三日で出るという。


伊丹は黒いセダンをレンタルし、途中のホームセンターで森下殺害に必要な道具を購入し、森下が宿泊しているホテルへ。

ロビーで森下を待ちながら、このまま森下が現れなければいいとも思いますが、森下は現れました。


アラム殺害の件で内々に話したいことがあると告げると、森下は簡単についてきました。

伊丹は森下を、ホテルの地下駐車場に停めてある車まで誘導。


森下は自首どころか、ボイシャク村での出来事を世の中に訴えようとしていました。

森下が誰にもこのことを言っていないことを確認すると、伊丹は森下めがけて金槌を振り下ろしました。

何度か殴りつけてもまだ息があったので、最後はロープで首をしめて絞殺。


そのまま日本帰国の口実のためにアポイントをとった吉田工業に向かい、適当に面会を済ませます。


車内にはまだ酸っぱいような異臭が漂っています。

森下を絞殺するところまでは問題なかったのですが、絶命を確認してロープを緩めたところで、森下の口から泡と吐瀉物が流れたのです。


タオルの持ち合わせはなく、森下の上着で拭き取り、自分が泊まるビジネスホテルに戻ってから本格的に掃除をしました。

匂いは気のせいかもしれない、と思う伊丹。


その夜、伊丹は森下の遺体を、房総半島の山に埋めました。

誰にもみつかるはずのない、完全犯罪のはずでした。


なぜなら、森下の周辺を捜査しても、伊丹には辿り着かないから。

伊丹はボイシャク村で会うまで森下を知らなかったし、その後、森下のことを誰にも話していません。

伊丹と森下を結び付けられるのは、ボイシャク村のマタボールだけ。

日本警察がいかに優秀でも、この人間関係は見抜けないでしょう。


しかし伊丹は、思いもよらない理由で、裁かれる身となってしまいます。


伊丹は検疫の結果、何の問題もなかったのですが、テレビでは横浜で女性と男児がコレラにかかったというニュースが……。

感染源の男性の名前は伏せられていましたが、伊丹にはそれが森下だとすぐに分かりました。

森下は、ボイシャク村でコレラに感染し、帰国して、横浜在住の女性にうつしてしまったのです。


東京に溶けて消えるはずだった森下はいま、日本で最も行方を追及される人間になってしまいました。

もちろんこれだけであれば、伊丹の身の破滅ではありません。

いくら森下が時の人になろうとも、それだけで死体が掘り起こされるわけではない。


ところが、この時点で伊丹は吐き気を覚えていて、コレラに感染していると考えられる……!

それは、イコール失踪前の森下と会っていたことを意味します。

なぜなら、入国時点での検疫では、感染していなかったから。


感染源は、おそらく殺害時にこぼれた吐瀉物。

症状が進み、病院に担ぎ込まれるようなことになれば、森下との関係を疑われるのは必須。

全てのマスコミは「インド帰りの男性に会っていた男性」に容赦ないスポットライトを浴びせるでしょう。


ホテルから見える夜景を眺めながら、「私はどこで間違えたのだろう」と思う伊丹。

チャイに口を付けたことが間違いだったのか?

私が飲まなければ、森下も飲まなかったかもしれない。


森下を日本に帰してしまったことが失敗だったのか?

アラムを殺した後、怖じ気づいたあの顔を見た瞬間に、森下を生かしておけないと決断すべきだったのか。


あるいは、やはり人殺しなどするべきではなかったか。

尊い仕事をしているつもりで、私は決して踏み外してはいけない道を踏み外したのだろうか。


私は自分の仕事を全うしたかったのだ。

バングラデシュに眠る天然ガスを日本に運び、街の明かりにしたかった。

いま目の前で煌めく灯りに、自分の力で一灯を加えたかった。

その願いは叶うのか、それとも殺人という行為を暴かれて、とうとう灯りを献じることは出来ないまま終わるのか。

万灯の前で、伊丹はいま、裁きを待っています。

まとめ

『満願』第一話「万灯」のあらすじを原作からネタバレしました。

業の闇に飲み込まれていくやり手商社マンの役柄は、西島秀俊さんに合っていて、ドラマの放送が楽しみです。


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