『 3つの取調室 ~埼玉愛犬家連続殺人事件~』ネタバレと感想!原作「罠」とは全然違う?

『実録ドラマ 3つの取調室 ~埼玉愛犬家連続殺人事件~』ネタバレと感想!

率直な感想ですが、原作となっているノンフィクション『罠』の内容とはちょっと違うと思いました。

違うと言うより……部分的に原作通りにに描かれていない?

当ページでは、2020年10月4日(日)に放送された『実録ドラマ 3つの取調室 ~埼玉愛犬家連続殺人事件~』のネタバレと原作との違い、感想についてまとめています。

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『3つの取調室 ~埼玉愛犬家連続殺人事件~』のあらすじ



まず最初に『実録ドラマ 3つの取調室 ~埼玉愛犬家連続殺人事件~』の公式あらすじです。

※取材や関係者の証言、資料などを基に再構築した「実録ドラマ」であり、登場する団体名、人物名、写真などの資料は一部を除き架空のものである。

1984年、埼玉県で3人の男女が姿を消す事件が発生した。埼玉県警熊谷中央署の新人刑事・藤波詩織(水野美紀)らが捜査を進めると、行方不明となった3人がある共通の人物とトラブルになっていたことが判明する。その人物とは関根元。関根は「アフリカケンネル」というペットショップを経営し、外国犬の繁殖・販売を行っていたが、詐欺的な商法で多額の収入を得ているといううわさもあった。詩織らは徹底的に捜査を行ったが、失踪した3人の行方はつかめず、関根の犯行を裏付ける証拠もつかめないまま捜査は打ち切られてしまう。

そして時は過ぎ、1993年4月。関根に関わった人物が姿を消す事件が再び発生する。今回も事件を担当することになった詩織。行方不明となったのは、39歳の愛犬家の男性。関根との間で外国犬の利殖ビジネスを巡り金銭トラブルがあったという。詩織らは、関根と元妻の風間博子、そしてブリーダー仲間の男を徹底的に調べる。そうした中、関根の周辺では次々に行方不明者が―。

警察はブリーダー仲間の男の自供から、関根と風間を逮捕。事件は解決したかに見えたが、関根と風間、そしてブリーダー仲間の男の供述が完全に食い違っていたのだ。誰が真実を語っているのか。事件の真相は―?

引用元: 日本中を震撼(しんかん)させた猟奇殺人事件を実録ドラマ化 事件の真相を追い続ける刑事役に水野美紀

埼玉愛犬家殺人事件とは、関根元元死刑囚と風間博子死刑囚が共謀して計4人の男女を殺害したとされる事件。

毒殺後、死体を浴室で解体、ドラム缶で焼却、山に遺棄して「ボディーを透明にする」残虐な犯行手口は、日本中を震撼させました。


事件は、関根と風間、共犯者・中岡の逮捕で終わったかに見えました。

しかしこの3人の供述が、見事に食い違うのです。


検察が選んだのは、中岡の供述。

中岡の供述とは、関根と風間が殺人を行って中岡は死体損壊遺棄しかしていないというもの。

しかし後に中岡は「風間博子は無罪」と証言を引っくり返します。

なんと中岡と検察の間には司法取引があったというのですが……?

『3つの取調室 ~埼玉愛犬家連続殺人事件~』のネタバレ

『3つの取調室 ~埼玉愛犬家連続殺人事件~』のネタバレをします。

ドラマの「3つの取調室」の意味は、関根、風間、ブリーダー仲間・中岡の3つの取り調べ室を指します。

3人の中で誰が真実を語っているのでしょうか?

水野美紀さん演じる藤波詩織刑事が事件の真相を追っていきます。

1984年:関根元の関係者3人が行方不明に


1984年に、関根元(鶴見慎吾)と金銭的トラブルがあった男女3人が行方不明に。


関根は「アフリカケンネル」というペットショップを経営していて一見人のよいおじさんに見えたが、短気なうえに大ぼら吹き。

関根がバイトしていた中華料理店が全焼して、関根が犯人という噂もある。


関根は、去年風間博子(内山理名)と結婚。

関根は7度目の結婚で、風間は2度目の結婚で連れ子がいる。


新人刑事・藤波詩織(水野美紀)は事件を追うが、結局何もつかめず捜査終了。


1993年:関根元の関係者4人が行方不明に


1993年(平成5年)、またしても関根の関係者が行方不明に。

関根とアラスカンマラミュート(犬)の売買で金銭トラブルがあった山上だ。

騙されたと気付いた山上が関根のところに乗り込んでいったまま、行方不明になっている。


藤波は、9年前に風間を見た時殺人事件には無関係だと思った。

しかしこの9年間風間は関根と暮らし続け、女の子を出産している。

そして関根の命令で背中に大がかりな入れ墨も掘っている。


関根と風間は、今年の1月に離婚して関根は家を出ている。

それは、アフリカケンネルに税務調査が終わった直後だった。

税金逃れの偽装離婚の可能性が高い。


山上失踪について何の手がかりも得られるまま、暴力団の組長代行・高城と付き人・小宮山失踪も失踪。

高城は、関根が山上とモメた際に仲介役をしていた男だ。


その後、アフリカケンネルの社員の母・田中も失踪。

これで合計4人が行方不明になった。

もしこれが全て関根の犯行なら、警察の大失態となる。



年が明けた平成6年2月。

マスコミが関根の周りで4人の失踪者が出たことをつかんだ。

関根はマスコミの前で知らぬ存ぜぬを決め込んだ。


事件に世間の注目が集まる一方で、捜査は行き詰っていた。

有力な証言も物証もないなら、自供をとるしかない


選ばれたのは、「アフリカケンネル」の従業員・中岡(内田朝陽)。

任意にもかかわらず連日取り調べは行われた。


その後、中岡から4名の殺害について全面自供があった。

主犯は関根、共犯者は風間。


藤波は、取調室で何があったのかは知らない。

中岡の全面自供


中岡の全面自供について以下にまとめる。

➀山上殺し

関根が佐谷田車庫で山上を毒殺、中岡はその現場におびき出される形となった。

関根は「死体を片付けるの手伝え、そしたら一生面倒見てやる。お前だけじゃなく東京の妻子も殺す」と中岡と脅迫。


中岡は関根の命令で、山上の遺体をポッポハウス(中岡の自宅)に運び、山上の車を風間博子と一緒に捨てに行った。

風間は夜中にもかかわらずすぐに電話に出て待ち合わせ場所を指定してきて、全てを知っている様子だった。


➁高城・小宮山殺し

高城は、関根が山上とモメた時の仲介役だった。

これは関根にとって不運なことだった。

関根が山上を殺したことに気付いた高城が、口止め料を要求してどんどんエスカレートしていったからだ。


中岡の運転で高城の家へ、関根と風間は高城の家へ。

30分ほどで小宮山が飛び出して来た

「高城さん急に具合が悪くなったの、いま救急車呼んでる」と風間。


中岡が運転する車に、小宮山が助手席、後部座席に関根と風間が乗り込む。

小宮山は「気持ち悪い。病院に連れてってください」と言ったが、その後体を突っ張らせて死亡。


関根が小宮山をトランクへ。

高城の家に戻ると、高城は案の定死んでいた。


関根が「これ効くな~」とボトルの中の白い錠剤を見る。

それは犬を殺す時に使う硝酸ストリキニーネ。


この後、中岡の運転でポッポハウス(中岡の自宅)へ。

関根と風間で解体して、中岡は耳を塞いで震えていた。

明け方5時頃風間は用事があるからと帰って、関根は2人の遺体を解体してボディーを透明にした。


➂田中殺し

関根に呼び出された中岡は、佐谷田へ。

(身を守るためにスタンガンや催涙スプレーを用意していた)

関根の車には田中の遺体があった。

「高城殺したときに見てて脅迫してきやがった」と関根。

そこへ車で風間が来て窓を開けてニヤリと笑った。

何もかも承知している顔をしていた。

その後、ポッポハウスで関根が遺体を解体・遺棄。

まとめると、中岡は関根に脅されて共犯にされたけど、殺人には関わってなくて死体損壊遺棄を手伝っただけということね。そして関根と風間が殺人の共犯。

中岡の供述だと、中岡という人物は気弱な男だね。映画『冷たい熱帯魚』の主人公のイメージぴったりだ。

その後、中岡の供述通り、片品の山から被害者の骨や時計が見つかった。

それは、中岡の供述が真実であることを裏付ける決定的なものとなった。


関根、風間、中岡の3人が逮捕された。

大規模な捜査が行われたが、遺体はおろか、殺害の決定的証拠すら見つからない。


3つの取調室:山上事件


関根と風間の逮捕で事件は解決するはずだった

しかし藤波たちはこのあと更なる迷宮を彷徨うことになる。

関根、風間、中岡の供述が見事に食い違ったのだ。


関根の供述では、山上事件の殺人教唆犯は風間で、中岡が実行犯。

関根のストーリーでは、中岡は残虐な殺人鬼、風間は悪の女王となっている。


風間の供述では、山上事件で風間は山上の車を捨てに行くのを殺人の事実を知らされないまま手伝わされ、後で関根から中岡が山上を殺したことを知らされた。

(風間は、関根と山上の間に金銭的トラブルがあったことさえ知らなかった)

関根に「お前も共犯だからな」と言われて、震えあがった。

警察に言おうかと思ったが、殺人の証拠が見つかる前に関根は自分と子供を殺す、だから言えなかった。

藤波:「関根のような男とどうして10年間も一緒にいたのですか、逃げるという選択肢もあったはずです」

風間:「いえ、関根はどんなことをしても私と子供を殺します」


中岡の供述では、殺人犯は関根風間は全てを知っていた。


完全に食い違う3人の供述

一体3人の誰が真実を語っているのか。



3つの取調室:高城・小宮山事件


高城殺害も3人の供述は全然違った。


関根の供述では、言い出したのは風間。

理由は、高城が風間の母親の土地まで要求してきたから。

中岡は高城殺害を喜んで承諾、ただし付き人の小宮山も殺さないと面倒なことになると小宮山殺しまで提案。

高城に電話したのは風間で、高城と小宮山は硝酸ストリキニーネ入りのドリンクを素直に飲んで、高城が倒れた。

小宮は救急車を呼びに外へ。

その後、高城は救急車で運ばれたと嘘をついて車に乗せた(風間の運転で、関根と中岡が後部座席)。

中岡が首をしめて小宮山を殺した。

それから3人で死体をポッポハウスに運んで、風間中心で2人の遺体を解体。


風間の供述では、風間は高城殺害に無関係。

関根に「今夜、高城の家にいるから10時ごろ迎えに来てくれ」と言われて迎えに行った。

藤波:どうして関根はあなたに殺害現場に来てくれと言ったのか、殺人を知らないあなたの出方次第ではまずいことになるかもしれなかったのに。

風間:私にはわかりません)

風間は、約束の時間より30分ほど遅れて、高城の家へ。

皆で栄養ドリンクを飲んで、5分ほどすると高城が倒れた。

小宮山は救急車を呼ぶために外へ、風間も外へ。

関根と中岡が毛布がかかった重たそうな荷物(高城の遺体)を運んできて車に乗せ、風間に運転するように命令。

風間が運転して助手席に小宮山、後部座席に関根と中岡が乗った。

小宮山は苦しそうにしていた。

関根に「暗い道を走ってくれ」と言われてその通りにすると、後ろで「せ~の」と声がして、気持ち悪そうにしていた小宮山の体が突っ張るように伸び、足がダッシュボードの上にせりあがり、突っ張った足でフロントガラスに蜘蛛の巣状にひびが。

小宮山の首には紐がかかっていた。

その後ポッポハウスへ行き、関根と中岡が遺体を解体。

風間も遺体の向きを変えるのを手伝わされた。

手伝った理由は、手伝わないと自分も子供も同じ目にあわされると思ったから。


中岡の供述では、風間関根が実行犯となっている。


3つの取調室:田中事件


関根の供述では、風間が言い出して中岡が殺した。

関根はとにかく風間のせいにしたいようだ。


風間の供述では、風間は田中殺しに無関係。

佐谷田に行くと、関根がいて奥の車から中岡が「終わったよ~」と出てきた。

中には田中の遺体が!


中岡の供述では、殺人の実行犯は関根風間は何もかも知っているようだった。


風間は関根から壮絶なDVを受けていた


藤波は風間に「そこまで知りつつ殺人鬼の関根と暮らし続けてきたのは不自然」と指摘。

すると風間は「私が関根にどれほどのことをされてきたと思います?」と言った。


関根の風間に対する暴力は想像を絶するものだったようだ。

そして連れ子の長男・和春に対する仕打ちも酷いものだったようだ。


風間は結婚生活は破綻していたと主張している。

しかしそこには矛盾もある。

共同経営者の風間が、関根と山上のトラブルを知らなかったのは不自然。

入れ墨を6年間もかけて掘り続けたのも不自然、つまり二人は運命共同体だった可能性も。


藤波は「時間をください。真実を掴むには時間がかかります」と上層部に言った。

しかし上層部は「時間は十分にあった。我々は我々の仕事をして、あとは司法にゆだねる」と言った。


中岡が「風間博子は無罪」と証言を引っくり返す


逮捕から3ヶ月後。

関根と風間は殺人罪で起訴され、中岡は死体損壊遺棄罪で起訴。

つまり警察は、中岡の供述が最も信ぴょう性が高いという結論に達したわけだ。


しかし中岡は、関根と風間の後半で証言を引っくり返した。

風間博子は無罪

俺の供述書は、近藤検事(宮川一朗太)が書いた作文だから真実じゃない

風間博子はいつも関根に脅されてた


実は中岡は、近藤検事と(当時許されていなかった)司法取引をしていたとのこと。

近藤は「お前はどうでもいい、関根と風間の逮捕状が取れるだけのことを言ってくれればいい。お前は保釈してやる」と言ったのだ。


近藤は自作の供述書を中岡に読ませてサインさせたとのこと。

それが、中岡の全面自供の全てということになる。


中岡は、拘留中にもかかわらず妻と2人きりで密室で会えたという。

これは明らかに特別な計らいだ。


しかし約束とは違って、中岡は保釈されなかった。

怒った中岡は「じゃあ、裁判で全部ひっくり返してやるよ~」と近藤に宣言。

そして関根と風間の裁判で、耳を疑うような供述を始めたわけだ。



関根と風間に死刑判決が下る


2009年6月5日、最高裁で上告棄却され、判決は確定し、風間と関根は2人とも確定死刑囚となった。

中岡に懲役3年の実刑判決。


公判で風間の無罪を訴えた中岡だったが、二転三転する中岡の供述には信ぴょう性に欠ける。

検察は司法取引を認めなかった。

裁判所はこの中岡の証言を採用することはなかった。


風間死刑囚の息子・和春の言葉


風間死刑囚の息子・和春さんは、今でも2週間に一度は風間死刑囚と手紙のやり取りをしている。

風間死刑囚からの手紙には、以下のように事件への贖罪の気持ちが綴られている。

自分の出自を隠すように生きなければならなかったことはとても不自由で辛く苦しいことだったと思う。

そんな生活をさせてしまったお母さんは、謝っても謝りきれないと思っています。

関根の力を大きく考えすぎていたと今になったらわかるし、積極的に自分で動こうとする意欲がなくて嫌な現実を見ようとせずに諦めが先に立っちゃってたんだ。


・犯人逮捕から25年、和春さんはどう考えているのか?

今だから思うことだけど、ずっと母に守られていたんだなって。

自分が殺されていてもおかしくなかったっていう恐怖を改めて思いました。


・(風間は)死体損壊の罪は認めているが?

被害者の方々には本当に申し訳ないなって思っています。

謝ったからって許されることじゃないけど、本当に申し訳ない。

今の警察にしろ検察官にしろ、一回言ったことをいくら間違ってもめったに認めないじゃないですか。

100%自分もはっきりわかっているわけじゃないんで間違ってるとかは言えないんだけど、もし間違っていることがあったら調べなおしてちゃんとした刑を出してほしい。

それで母がやったとはっきりしたら自分も受け止めるべきだし、それで死刑になったらしょうがない。


中岡にも取材


事件の共犯者・中岡氏(仮名)にも取材。

・関根の印象は?

俺が今まで見たなかであんな人はいない。

狂暴というか。

仮に1千万借りても生きてるから返さなくちゃいけない、死んじゃえば返さなくていい、そんなことをしょっちゅう言っていた。


・司法取引はあったのですか?

ありますよ。

調書好き勝手書いてる感じですよ。

最終的に「これでいいか?」って言って「サインしてくれ」と言うだけですよ。

でサインしますけど、最初からストーリーが出来上がっていた、まるで博子が主犯みたいに書かれていた。

だから俺はそれは違うと言いました。


・風間博子は殺人を知っていたのか?

知っていたと思いますよ。

死体損壊を博子がしていたのは、自分も見て知っているから。


・好き好んではやってないと?

好き好んでやる人はいないんじゃないですか。

関根は趣味だったんじゃないかな。

嫌そうな顔すると関根の暴力があるからニコニコしていたんじゃないですか。


・なぜ逃げ出さなかったのか?

それについては簡単ですよ、現場にいないからわからないんですよ。

自分もそうなっちゃうからじゃないですか、普通の人にはわからない。

鋼鉄の檻、見えない檻に入れられてるからじゃないですか。


藤波詩織の結論


藤波詩織は思う。
ここで語られた三者三様の言葉。

この事件には確たる証拠がなかった。

供述のみで判決が下ったと言っても過言ではない。

徹底的な検証が行われたと言えるのだろうか。

風間博子は今でも再審請求を続けている。

彼女は自ら積極的に殺人を行ったのか、

それとも子供たちを守るために仕方なく加担したのか、

それとも殺人には一切関与していないのか。



近藤検察官(仮名)の司法取引について法務省に質問を投げかけたところ、返答は得られなかった。

関根は、3年前に病気で死亡。

風間は現在も東京拘置所に拘留されていて、無罪を訴え続けている。

真実は今でもわからない。

原作『罠』との違いをネタバレ

ドラマ『3つの取調室 ~埼玉愛犬家連続殺人事件~』の原作は、深笛義也のノンフィクション『罠』。

埼玉愛犬家連続殺人事件を、新たな取材・証言を元に徹底的に検証し直しています。


ドラマでは、以下のことが描かれませんでした。

➀関根は一貫して風間が主犯と主張していますが、それは最初からではなく、風間が浮気していることを知ってから。

実は逮捕直後は、関根は殺人は全て自分が行ったと自供していたのです。


➁中岡が公判で「風間は無罪」と言った事実を報道したマスコミはない。

司法とマスコミの間でも取引きがあったとしか考えられません。


➂風間が無罪だとしたら、中岡が共犯になる説が書かれていない。

埼玉愛犬家殺人事件は関根が主犯だとしても共犯者なしでは成し得ない事件であり、風間が無罪なら中岡が殺人の共犯となるのです。

中岡は自分との約束を破った検事を殺したいほど憎んで、公判で証言を引っくり返しました。

風間は一貫して、殺人は関根と中岡で行ったと証言しています。

もし風間が嘘をついているなら中岡の気性から許すはずもなく、ましてや無罪などウソをつく必要もありません。

中岡は、自分の偽証で死刑判決を下された風間が気の毒になり、ギリギリのところで真実を口走ったのではないでしょうか。

そして風間が無罪なら、風間の証言に真実味が出ます。

そうなると、中岡は殺人者です(あくまでもノンフィクション『罠』の深笛氏の考察)。


④田中と関根の浮気が描かれてない。

4人目の犠牲者・田中は、関根と男女の関係がありました。

関根は風間が主犯と主張しましたが、田中殺しについては検察は風間の関与を認めませんでした。


⑤関根が風間をマインドコントロールしていた可能性が描かれてない。

風間の供述では、関根は殺人に無関係な風間に山上の車を捨てさせることで事件に巻き込んだとのこと。

普通なら、殺人に関係ない第三者を殺人事件に巻き込むなどリスクしかなく、風間は最初から関根の共犯だったと考える方が自然です。


しかし関根は事件の前日にわざわざ風間に「中岡が何か頼んできたら引き受けてくれ」と頼んでいて、中岡は風間に「車を捨てに行く」ではなく「車を置きに行く」と告げています。

これなら、DVを受けていた風間が関根の命令でよくわからず動いたとしても納得できないこともありません。


『罠』の作者・深笛氏は、関根をサイコキラーと断言しています。

サイコキラーは自分の犯罪がバレないことに絶対的な自信を持っています。


そして関根は、離婚後風間への影響力がなくなったことを知人に嘆いていました。

関根が、風間への影響力を取り戻すために殺人仲間に引き入れた可能性が考えられます。

『3つの取調室 ~埼玉愛犬家連続殺人事件~』感想


個人的に、原作のノンフィクション『罠』の内容が十分に描かれていない印象を受けました。

中岡の「風間博子は無罪」が採用されなかった理由が二転三転する証言に信ぴょう性がないからとのことですが、それなら中岡の最初の全面自供も信ぴょう性がないんじゃないのかなと思います。

中岡の自供のせいで風間が死刑判決を受けたのに、中岡が証言を引っくり返しても死刑判決は覆らないのですね。

ドラマだと3人がバラバラの証言をして、誰が本当のことを言っているのかわからないで終わっています。

これでは『罠』の新事実が描かれておらず、ただわけがわからないで終わったイメージです。

まとめ

『3つの取調室 ~埼玉愛犬家連続殺人事件~』のネタバレと原作との違いについてまとめました。

風間死刑囚が冤罪にしても有罪にしても、正しく裁かれることが大事です。

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