吉川晃司主演ドラマ『探偵・由利麟太郎』が、6月16日(火)から5週連続で放送されました。
第4・5話は「マーダー・バタフライ」。
原作は、ミステリーホラーの巨匠・横溝正史の名作「蝶々殺人事件」。
金田一耕助に並ぶもう一人の名探偵 ・由利麟太郎の推理が冴えわたります。
当記事では、『探偵・由利麟太郎』第4・5話「マーダー・バタフライ」について原作とドラマ両方をネタバレしてまとめています。
※第4話・5話『マーダー・バタフライ』のネタバレと原作との違いを追記しました。
「探偵・由利麟太郎」その他の記事
もくじ
『マーダー・バタフライ』の原作は名作『蝶々夫人』
連続ドラマ『探偵・由利麟太郎』第4・5話「マーダー・バタフライ」の原作は、横溝正史さんの「蝶々殺人事件」。
同作は、由利麟太郎が活躍する戦後初の長編作品。
1998年12月5日の土曜ワイド劇場で『名探偵由利麟太郎 蝶々殺人事件』として石坂浩二さん主演で初映像化。
原作では男性の三津木俊助が、女性の三津木恵美(奥山佳恵)に設定変更されました。
角川文庫は3月から4ヵ月連続で連続ドラマ『探偵・由利麟太郎』の原作小説『蝶々殺人事件』『憑かれた女』『血蝙蝠』『花髑髏』を復刊。
「蝶々殺人事件」は、柏書房の「由利・三津木探偵小説集成4 蝶々殺人事件」にも収録されています。
『蝶々殺人事件』主な登場人物
『マーダー・バタフライ』の原作小説『蝶々殺人事件』の主な登場人物は以下です。由利麟太郎(ゆり・りんたろう):吉川晃司
元・警視庁捜査一課長の経歴を持つ探偵にして犯罪心理学者。
白髪の紳士で、誰からも尊敬される人格者。
三津木俊介(みつぎ・しゅんすけ):志尊淳
由利麟太郎のワトソン的な存在。
ミステリー作家志望で、出版社から小説になりそうなことを書いてくれと頼まれて「蝶々殺人事件」を書くことにする。
原さくら:高岡早紀
「世界的ソプラノ」「世界的蝶々夫人(マダム・バタフライ)」と言われる女流声楽家。
わがままで気まぐれな性格。
相良千恵子:吉谷彩子
若くて美しいアルトで、さくらの弟子。
原聡一郎:大鶴義丹
さくらの夫。
財界の御曹司で、秀才。
夫婦仲がいいのに、互いに浮気をしている。
土屋恭三:鈴木一真
さくらのマネージャー。
過去には日本人としては珍しい声量のバスとして注目されたが、その後落ちぶれた。
小野竜彦:佐野岳
テナー。
テクニックはまだまだだが、天下一の美男。
15、6歳の少年のように純粋。
牧野謙三
コンダクター。
さくらとは喧嘩友達で、ひとたび意見が衝突すると互いになかなか折れない。
雨宮順平
聡一郎の遠縁にあたる青年で、土屋の助手。
お人よしでそそっかしい性格。
志賀笛人(しが・てきじん)
バリトーン。
神戸に用事があり、土屋と共に一足先に大阪へ。
川田
コントラバス。
藤本章二(ふじもと・しょうじ)
有名なレコード歌手。
今年の5月に殺されて、まだ犯人はわかっていない。
読めない楽譜を握って死んでいた。
「蝶々殺人事件」簡単なあらすじ
日本屈指の歌劇団の主宰・原さくらが、18日に東京公演を終えて20日の大阪公演を控えたわずかな間に姿を消した。
看板歌手の失踪に頭を悩ませつつも、いつもの気まぐれだろうとたかをくくっていた劇団員たちは、公演当日、コントラバス・ケースの中からさくらの死体を発見する。
死因は絞殺で、死亡推定時刻は19日の夜9時~11時。
さくらは東京を出発した時の服装のままでハンドバッグもさげていたが、高価なネックレスがなくなっていて代わりに謎の暗号楽譜が入っていた。
暗号楽譜と言えば、5月に殺された流行歌手・藤本章二も死に際に握っていたが何か関係があるのか?
さくらと一緒に東京を出発した相良千恵子によると、さくらは謎の暗号楽譜を読んだ後に品川駅で途中下車したとのこと。
相良に「一本後の汽車で大阪に向かう」と告げたさくらだが、その後さくらが大阪駅に到着したのを見た駅員はいない。
大阪の「曙荘」でコントラバスと砂が見つかったため、さくらは大阪で殺されたと判断される。
しかし由利が読み解いた暗号楽譜の内容は「危険。途中より引き返し、愛宕下まで来たれ」。
さくらは、東京に引き返したということなのか?
由利と三津木が急いで東京に行くと、さくらが本名で愛宕下の「清風荘」を借りて時折男性と密会していた事実が発覚する。
室内には砂やトランクを置いた後などがあり、警察はさくらは大阪ではなく東京で殺されたのだと考え直す。
果たしてさくらは、大阪と東京のどちらで殺されたのか?
そんな中、第2の殺人事件が起こる。
助手の雨宮順平が殺されたのだ。
看板歌手の失踪に頭を悩ませつつも、いつもの気まぐれだろうとたかをくくっていた劇団員たちは、公演当日、コントラバス・ケースの中からさくらの死体を発見する。
死因は絞殺で、死亡推定時刻は19日の夜9時~11時。
さくらは東京を出発した時の服装のままでハンドバッグもさげていたが、高価なネックレスがなくなっていて代わりに謎の暗号楽譜が入っていた。
暗号楽譜と言えば、5月に殺された流行歌手・藤本章二も死に際に握っていたが何か関係があるのか?
さくらと一緒に東京を出発した相良千恵子によると、さくらは謎の暗号楽譜を読んだ後に品川駅で途中下車したとのこと。
相良に「一本後の汽車で大阪に向かう」と告げたさくらだが、その後さくらが大阪駅に到着したのを見た駅員はいない。
大阪の「曙荘」でコントラバスと砂が見つかったため、さくらは大阪で殺されたと判断される。
しかし由利が読み解いた暗号楽譜の内容は「危険。途中より引き返し、愛宕下まで来たれ」。
さくらは、東京に引き返したということなのか?
由利と三津木が急いで東京に行くと、さくらが本名で愛宕下の「清風荘」を借りて時折男性と密会していた事実が発覚する。
室内には砂やトランクを置いた後などがあり、警察はさくらは大阪ではなく東京で殺されたのだと考え直す。
果たしてさくらは、大阪と東京のどちらで殺されたのか?
そんな中、第2の殺人事件が起こる。
助手の雨宮順平が殺されたのだ。
「蝶々殺人事件」見どころ
「蝶々殺人事件」の見どころは以下の4つ。・さくらは大阪と東京、どちらで殺されたのか?
・犯人がさくらの死体をわざわざコントラバス・ケースに詰めた理由とは?
・さくらの絶対に知られてはならない秘密とは?
・さくらのネックレスは今どこにあるのか?
・犯人がさくらの死体をわざわざコントラバス・ケースに詰めた理由とは?
・さくらの絶対に知られてはならない秘密とは?
・さくらのネックレスは今どこにあるのか?
「蝶々殺人事件」原作ネタバレ
「蝶々殺人事件」を原作ネタバレしていきます。原さくら歌劇団が大阪から東京に移動
原さくら(高岡早紀)は、「原さくら歌劇団」の看板歌手。
18日の夜に『蝶々夫人』の東京公演を終えた歌劇団一行は、大阪公演のために3組に分かれて大阪に移動した。
➀さくらのマネージャー・土屋恭三(鈴木一真)、バリトーンの志賀笛人
18日の大阪行きの夜行列車に乗り、19日の朝に大阪着。
➁原さくら、さくらの夫・聡一郎(大鶴義丹)、さくらの弟子の相良千恵子(吉谷彩子)
19日の午前中の東京発の列車に乗って、19日の夜に大阪着。
➂その他のメンバー
19日の夜行列車に乗って、20日の朝に大阪着。
18日の大阪行きの夜行列車に乗り、19日の朝に大阪着。
➁原さくら、さくらの夫・聡一郎(大鶴義丹)、さくらの弟子の相良千恵子(吉谷彩子)
19日の午前中の東京発の列車に乗って、19日の夜に大阪着。
➂その他のメンバー
19日の夜行列車に乗って、20日の朝に大阪着。
一足先に大阪に到着したさくらのマネージャー・土屋恭三(鈴木一真)はさくらを待っていたが、19日の夜に大阪に着いたさくらはホテルにチェックインした後、(土屋に会う前に)外出したまま行方不明に。
20日の朝にその他のメンバーが到着、その中には急な用事で出発を後らせたさくらの夫・聡一郎(大鶴義丹)もいた。
一行はホテルに入り、その後公演会場に向かうが、14時からの稽古の10分前になってもさくらは現れない。
マネージャーの土屋は、頭を悩ませつつも、いつもの気まぐれだろうと高を括っていた。
そんな中、コントラバスの川田が「東京から送ったはずのコントラバスが届いていない」と騒いだ。
(土屋の助手の雨宮順平は、コントラバスの預かり証だけ失くしていた)
見ると、楽屋の入口にコントラバスのケースが立てかけてある。
原さくらの死体
やたら重いコントラバス・ケースを開けると、中からさくらの死体が出て来た。
さくらは、薔薇の花びらに覆われてツタンカーメンのミイラみたいにケースに収まっていた。
探偵・由利麟太郎(吉川晃司)と助手の三津木俊助(志尊淳)は、さくらの夫・聡一郎(大鶴義丹)の依頼で事件を調査する。
まずは、さくらの死の状況を以下にまとめる。
- 死因は、絞殺。
- 死亡推定時刻は、19日の夜9時~11時。
- 東京から電車に乗ったままの服装で、バッグも提げているし、靴も履いている。
- ハンドバッグから首飾りがなくなっていたが、代わりに読めない楽譜が1枚入っていた。
- 首飾りは、さくらがイタリアのナポリで手に入れたもので、時価5万円の高級品。
犯人は、劇団の人間に間違いない。
コントラバス・ケースが大阪に来ることを知っていて、それを利用したのだから。
死亡推定時刻は19日の夜9時~11時ということだが、さくらが大阪についてホテルから行方不明になったのが19日夜8時半前後だから、この死亡推定時刻はぴったり一致。
犯人は、19日の夜9時~11時に大阪にいて、コントラバスの預かり証を雨宮のポケットから盗む機会があった者ということになる。
ちなみにこのコントラバス・ケースだが、東京駅で預けられたときは軽かった。
なので、さくらは大阪で殺されてコントラバス・ケースに詰められた可能性が高い。
相良千恵子が怪しい
警察は、19日の夜にさくらと一緒に大阪に来た相良千恵子(吉谷彩子)を一番に疑った。
さくらのホテルの部屋のドアノブから、相良の指紋が発見されたからだ。
相良は、19日の出来事を話す。
- さくらと相良が東京駅を出発する前、小野がさくらに真っ赤なバラの花束を渡した。
- その時に楽譜が落ちて、さくらは汽車の中で熱心にそれを読んでいた。
- さくらは「生きるか死ぬかの問題が出来た」と言って、品川駅で途中下車。
- 実は大阪のホテルにチェックインしたのは、さくらに頼まれてさくらに変装した相良だった。
- さくらは「一汽車だけ遅れて必ず行く」と言っていたが、来なかった。
さくらは、相良に自分の身代わりをまかせて、途中下車していたのね。
さくらと相良は、背格好がそっくりだから、顔をヴェールで隠していたらバレない。
読めない楽譜
さくらのバッグに入っていた楽譜は、読めない楽譜だった。
ということは、これは暗号楽譜ではないだろうか。
由利は、さくらに花束を贈った小野(佐野岳)を怪しむ。
その花束から楽譜が出て来たのだから、当然だ。
しかも小野は、20日の朝8時にみんなと一緒に大阪についてホテルにチェックインしたが、すぐにいなくなって14時頃会場に来るまで一度も顔を見せていない。
土屋の助手・雨宮は、小野が少女から楽譜を受け取って顔色を変えて出て行くのを目撃していた。
由利は「さくらの暗号楽譜の相手は君なのですね」と聞くが、小野は「僕の花束には暗号楽譜など挟んでいません」と強く否定した。
暗号楽譜と言えば、流行歌手・藤本章二が今年の5月に暗号楽譜を握ったまま殺された事件があった。
まだ犯人は捕まっていないが、今回の事件と関係があるのだろうか?
小野はなぜムキになるのか?
福島の曙アパート
さくら殺害現場については、大阪・福島の曙アパートの一室が浮かび上がった。
タクシーの運転手がコントラバス・ケースを乗せたのがこのアパートで、その部屋から以下の物証が見つかったのだ。
・コントラバス
・敗れた砂袋と砂
さくらは絞殺されたのだが、その前に鈍器で頭を殴られた形跡があり、死体は砂まみれだった。・敗れた砂袋と砂
なので、さくらは砂袋で殴られた後に絞殺され、一晩ここに置いておかれ、その後コントラバス・ケースに入れて運び出されたのではないだろうか。
警察は19日の夜9時から11時に大阪にいた土屋、相良、志賀の誰かが犯人と睨むが、由利はまだ犯人はわからないと言った。
しかし犯人が犯行後、突発的に首飾りを盗んだのは、大きなへまだったと言った。
この事件の犯人は、あらゆる部分を念入りに計画しているが、首飾りを盗んだことだけは突発的にやったのだ。
由利は、そこから犯人の計画が崩れてくると確信していた。
新事実発覚
その後、驚くべき新事実が発覚。
曙アパートの室内にあった砂袋は、お隣の部屋のものだったのだが、砂袋は20日の朝には部屋の前にちゃんと10個あったというのだ。
(「砂袋」は、いざと言うときの防空防火資材として各家の前に置いてあった)
事件は19日に起こったので、時間的矛盾が生じる。
警察は動揺するが、由利はさくらはこの砂袋で殴られてないと思い始めていたから意外に思わない。
そんな中、20日の朝に帽子を目深にかぶった男に呼び止められて曙アパートに異常に重たいトランクを運んだという運転手が名乗りを上げた。
運転手は、トランクの中にさくらの死体が入っていたのではないかと疑っていた。
問題のトランクはあっさり見つかり、中からバラの花びらと砂が出て来た。
そうなると、曙アパートはただ死体詰め替えに利用されただけということになる。
しかし何故そんなにまでして、さくらの死体をトランクからコントラバス・ケースに詰め替える必要があったのか?
その後、トランクが歌劇団が到着したのと同じタイミングで大阪駅に到着していたことが判明。
預かり証の名前は土屋だったが、その時点で既に大阪にいた土屋のはずがない。
由利が暗号楽譜を解読
由利は、暗号楽譜を「危険、途中より引き返し、愛宕下のアパートまで来たれ」と解読した。
さくらは汽車の中でこの暗号を読んだ後に品川で下車したのだから、愛宕下のアパートに向かったのではないだろうか。
ここで、由利がひとつの疑問を口にする。
「一汽車遅らせて大阪に到着したはずのさくらだが、さくらの姿を見た駅員はいるのかどうか?」
調べてみると、さくらの姿を見た駅員はいなかった。
あれだけ目立つ美女なのだから、見落とすはずはない。
そうなると、さくらは大阪駅には到着していないのだから、東京の愛宕下で殺された可能性が考えらえる!
そして犯人は、土屋の名前を語っている!
由利と三津木が東京へ
愛宕下のアパートを調べるために、由利と三津木は東京へ。
由利は、事件が東京と大阪にまたがっていることと、土屋の助手・雨宮こそが今回の悲劇の原動力であるということに確信を持っていた。
三津木には、由利が何を言っているのか理解できなかった。
東京行きの電車の中で、由利と三津木は、先日洋画家の佐伯淳吉が船で服毒自殺した話をする。
佐伯は、さくらに報われぬ思いを長年抱いていた。
佐伯だけではない、さくら歌劇団の土屋、志賀、牧野も長年さくらに片思いしていた。
そして現在は、さくらと若い恋人・小野の仲が噂になっている。
さくらの夫の聡一郎氏は、これらのさくらのスキャンダルをどう思っているのだろうか?
もし聡一郎がさくらの男関係を看過できずに、逆上したとしたら……?
由利と三津木は東京に到着。
そして愛宕下のアパート「清風荘」の一室を、さくらが本名の原清子名義で借りていたことを知る。
由利と三津木、三津木の同僚の五井、等々力警部は、その部屋で藤本章二の写真を見つける。
同じ額縁の中には藤本そっくりの赤ん坊の写真も挟んであった。
さくらが品川駅からこの清風荘へ引き返した証拠の品として、小野から贈られたバラの花束が見つかった。
さらに、寝椅子の下に砂がはき込んであって、絨毯をめくると砂があり、トランクを置いた跡もあった。
この部屋が殺害現場に間違いないと思う三津木と警察。
さくらはここで砂袋でぶん殴られ、昏倒しているところを絞殺され、犯人はさくらの死体をトランクに詰めて、東京駅へ持って行ったのだ。
さくらが殺されたのは、19日の夜の9時から12時までの間と推定されている。
だから9時頃ここで殺されて、トランクへ詰め込まれたとしても、9時40分頃には十分に東京駅へ運んでいける(犯行は可能)。
しかし由利は黙っている。
清風荘に現れた謎の男の正体は?
同じ清風荘に住む川口という主婦の証言から以下の事実が判明する。
・さくらがその部屋を借りたのは藤本の死後の6月。
・その部屋にときどき謎の若い男が出入りしていていつもさくらとは別々に来ていた。
・その男の服装は、長いフロックコートを着て、上着のエリの折り返しが色変わりになっていて、ステッキを持っていて、帽子をかぶって青眼鏡をかけてマフラーで顔を隠していた。
・1度、その男が玄関から出て行ったあとから小野がさくらを支えて出て行ったことがある。
・その部屋にときどき謎の若い男が出入りしていていつもさくらとは別々に来ていた。
・その男の服装は、長いフロックコートを着て、上着のエリの折り返しが色変わりになっていて、ステッキを持っていて、帽子をかぶって青眼鏡をかけてマフラーで顔を隠していた。
・1度、その男が玄関から出て行ったあとから小野がさくらを支えて出て行ったことがある。
さくらの密会相手が小野でも藤本でもないとわかり、頭を抱える三津木。
しかし、五井がその男と1時間前に清風荘の前で会っていた。
由利は三津木に、原さくら歌劇団の中でホテルからいなくなったものがいないか大至急調べるように言い、三津木が大阪に電話すると、相良の姿が見えないこととともに、雨宮が殺されたことが判明する。
由利と三津木が再度大阪へ
由利と三津木は、再度大阪に戻る。
雨宮が殺された時の状況は以下である。
・土屋は、夜の9時に相良がいないことに気付いた。
・警察の命令で、土屋が3階から4階の全ての部屋を調べる(歌劇団は皆3~4階に宿泊・5階の一部屋には衣装道具が置いてある)。
・しかし川田と蓮見は食堂で酒を飲んでいたので、4階の彼らの部屋だけは見なかった。
・すべての部屋を調べ終えた土屋が警部の待っている階下に降りてきてドアを開けると、ガラスの割れる音と何かが落ちる音がした。
・土屋と警部がすぐに外に出ると、雨宮の死体があった。
・牧野が4階の部屋から顔を出す。
(そこは本来川田と蓮見の部屋だが、部屋の前を通りかかるとガチャンという音が聞こえてきたので部屋に入ったのだ)
・警察の命令で、土屋が3階から4階の全ての部屋を調べる(歌劇団は皆3~4階に宿泊・5階の一部屋には衣装道具が置いてある)。
・しかし川田と蓮見は食堂で酒を飲んでいたので、4階の彼らの部屋だけは見なかった。
・すべての部屋を調べ終えた土屋が警部の待っている階下に降りてきてドアを開けると、ガラスの割れる音と何かが落ちる音がした。
・土屋と警部がすぐに外に出ると、雨宮の死体があった。
・牧野が4階の部屋から顔を出す。
(そこは本来川田と蓮見の部屋だが、部屋の前を通りかかるとガチャンという音が聞こえてきたので部屋に入ったのだ)
警察が牧野に「部屋の中に誰かいなかったか」と聞くと牧野は「絶対にいなかった」と答えたが、この答えは牧野が雨宮殺しの犯人であることを物語っていた。
検死の結果雨宮は絞殺された後に3階以上の窓から突き落とされたことがわかったのだが、牧野の部屋以外の窓は閉まっていたのだ。
犯人と疑われていることを知った牧野は、震え上がる。
そのとき、トロンボーンのエアー・パイプがおそろしくひん曲がっていることに気付いた蓮見が悲鳴を上げた
「誰だ!俺のトロンボーンをこんな風にしたヤツは」
トロンボーンには、雨宮の指紋以外はついていなかった。
そして部屋には雨宮と犯人が格闘した跡も残っていた。
この部屋で雨宮が殺されたことは間違いなさそうだが、牧野が犯人でないなら一体誰が……?
小野の告白
このタイミングで、小野が由利に話しをしたいと言ってきた。
小野は、もはや秘密を持っていることに耐え切れなくなったのだ。
20日の朝、小野は少女から「困ったことが起こった、是非内密に会って話したいことがある。すぐ宝塚まで来てくれ」の暗号楽譜を受け取った。
暗号はさくらからだと思った小野はすぐに宝塚に行くが、さくらは来なかった(正確にはもう殺されていた)。
14時から稽古がある小野は、いつまでも待つわけにはいかずにホテルに帰るしかなかった。
藤本の事件があった1ヶ月後、さくらの方から小野に秘密の暗号通信をしようと持ち掛けてきた。
小野は、藤本の事件の直後で暗号楽譜のことが騒がれていたので、さくらはそれをヒントに思い立ったのだろうと思った。
小野とさくらはしきりに暗号通信を交わしたが、男女の関係はなかった。
小野は魅力的なさくらを崇拝して憧れていたが、恋愛とは少し違ったのだ。
つまりそれは純粋な恋愛ではなかったが、暗号通信という秘密が割り込んできたがために、小野は非情に恋愛めいた気持ちになっていた。
ところがその1か月後、小野はさくらのとんでもない秘密を知ってしまう。
小野は愛宕山のすぐ下に住んでいるのだが、清風荘から出てくる黒いヴェールをかぶったさくらを目撃したのだ。
しかもさくらは、小野の姿を見ると逃げてしまった。
今まで暗号通信でさくらの秘密を知り尽くしていると思っていた小野は、いやあな気持ちに。
そして後日またさくらが清風荘に入るのを見た小野は、自分も強引に部屋の中へ。
藤本の写真を発見した小野は、さくらと藤本が密会していたのではないかと思ってさくらを問い詰めた。
するとさくらは、藤本は自分の隠し子だと告白。
その秘密をネタに、藤本を殺した男に脅されていると言った。
さくらが清風荘で密会していた相手とは、さくらの息子・藤本を殺した犯人だったのだ。
小野はその男の名前を聞いたが、さくらはそれだけは聞いてくれるなと言った。
由利は、雑誌に載った粋な若者の前身写真を小野に見せた。
それは、小野が清風荘で見た男そのものだった。
驚くべきことに、それは「椿姫」のアルフレッド・ジェルモンに扮した相良千恵子だった!
最近海外から帰ってきた小野は「椿姫」を知らなかった。
夕べの相良もこの扮装で出て行ったとすれば、警察に気付かれなかったのも納得できる。
しかし相良が男装してホテルを抜け出したとして、いったい彼女はその服装をどうやって手に入れたのか。
ここで相良が戻ってきて「あら、これは私の服ではありませんよ。これは原先生の衣装です」と言った。
相良の告白
相良によると、さくらも同じ男装の衣装を持っていたとのこと。
さくらは、男のフリをして街を歩くなどして人を驚かせることを楽しんでいたのだ。
昨夜、どうしても抜け出す理由があった相良は、この服を5階の衣装トランクからみつけて着た。
さくらと相良は体形が酷似しているので、サイズがぴったりなのだ。
相良が清風荘へ行った目的は、盗んだ写真を元に戻すことで、由利にさくらの「嘘」に気付いてもらうため。
盗んだ写真とは、由利たちが清風荘で発見した藤本の写真と赤ちゃんの写真。
実は赤ちゃんの写真は外国雑誌から切り抜いたもので、藤本の幼少期ではなかった。
さくらは、小野に真っ赤な嘘をついていたのだ。
相良いわく、偉大な芸術家・原さくらにとって、日常の全てがお芝居(芸術)だった。
それは芸術家にありがちな、いつもちやほやされて注目されていたいという虚栄心からも来ていた。
そこへ疑うことを知らない純朴な青年・小野が飛び込んできて、さくらに悪戯心が芽生えた。
つまり、清風荘にからまる一切のエピソードは、全部さくらのお芝居。
さくらと密会していた男というのも、さくらの男装による一人二役だった。
(小野が見た男は「椿姫」のアルフレッド・ジェルモンに扮したさくら)
しかし平凡な考え方の警察は、さくらが何故そんなバカげたことをしたのか理解できない。
相良は「そんな常識的な解釈をしているうちはこの事件を解決できませんよ」と言った。
相良が清風荘の一件を知ったのは、ひと月前。
さくらが本名で清風荘を借りていることを知った相良は、内緒で清風荘へ。
すると、藤本の写真と赤ちゃんの写真を発見。
半年ほど前からさくらが「子供がほしい」と言い続けていたことを思い出した相良は、すぐにさくらの空想に気付いた。
その後、いつも清風荘に気を配っていると、さくらが小野を翻弄するために危険なお芝居をしていることに気付いた。
しかし相良は、さくらがその遊びに子供のように熱中していることがわかっていたので、小野に真実を告げられなかった。
それでもあまり深入りし過ぎてとんでもないことが起こってはいけないと思い、問題の写真だけは部屋から持ち去ったのだった。
犯行現場は東京に決定?
そこへ等々力警部から、19日の飛行機にさくらが乗っていなかったという電報が届く。
これでいかなる方法でも、19日の晩にさくらは大阪に来ていないことになった。
警察は「これでいよいよ殺人の現場は東京と言うことになる」とうなづく。
犯人は清風荘の一室でさくらを殺し、トランクに詰めて大阪に送って来た。
そして曙アパートの一室でコントラバスに詰め替えて、中之島公会堂へ送って来た。
犯人がどうしてそんな手間のかかることをしたかと言うと、殺人は大阪で行われたと思わせる為だろう。
さくらの夫・聡一郎の告白
そこへ酷く憔悴した顔の聡一郎(大鶴義丹)が入ってきた。
昨日雨宮が殺されたことが、そこまでショックなのか?
由利が清風荘の一件を話すと、「嘘だ!さくらは子供が産めないんだ!」と聡一郎。
そして聡一郎の口から、さくらの秘密が語られた。
恋多き女として知られたさくらだが、生まれつき子供が産めない女=性的不能者だったのだ。
そのため聡一郎の浮気は妻のさくら公認で、さくらは聡一郎の浮気相手の女性の世話まで焼いていた。
さくらは人工的な色気をふりまきながらも、自分の秘密(=女ではない)を必死に守っていたのだった。
なのでさくらに恋した男たちで、さくらと一線を越えたという者はいない。
そんな中、聡一郎はさくらには内緒で、隠し子である雨宮を歌劇団の助手として引き受けることにした。
雨宮が聡一郎の隠し子だと知った時、意外にもさくらは大泣きした。
強烈な母性にさいなまされたさくらは、藤本の死を利用して小野を相手に遊戯を始めたのだ。
志賀の告白
由利は、志賀にも話を聞きに行った。
志賀は、友人の佐伯淳吉が船中で服毒自殺を遂げた記事を見て落胆していた。
実は志賀は20日に佐伯と会うことになっていたが、佐伯との約束を守れなかったのだ。
志賀は20日の朝9時頃にさくらから会いたいという電報をもらい、箕面の滝まで行ったがさくらは現れなかった(その時には、もうさくらは死んでいた)。
志賀は一人の女に恋い焦がれた者同士、さくらとの約束を優先しても佐伯ならわかってくれると思っていた。
その後、佐伯が歌劇団と同じ汽車に乗って20日の朝に大阪に到着していたことが判明。
さくらをあきらめる覚悟をしていた佐伯なので、もし歌劇団の連中を見たとしても声をかけなかっただろう。
雨宮殺人事件の真相
話は、雨宮殺人事件に戻る。
雨宮の死体には、トロンボーンの川田の外套がかかっていた。
犯人は雨宮を突き落とした後、外套を投げたのか?
外套は、組紐で強く縛ったような跡がついていた。
由利が牧野のスーツケースを調べると、中に入っていた指揮棒の空洞にさくらの首飾りが入っていた。
牧野は「僕じゃない!」と叫ぶ。
由利は「首飾りは、昨夜までは蓮見のトロンボーンのエアーパイプの中にあったのです」と説明。
- 雨宮が殺されたのは、犯人が桜トロンボーンのエアーパイプの中からネックレスを出すのを目撃してしまったから。
- 犯人は、雨宮を殺したあと、ネックレスを指揮棒の中に隠した。
雨宮殺しの手口は、雨宮を4階で殺して5階に運び、死体をマントにくるんで綱で緩く縛った後、ぶらさげて幾重にも回し、自分は階下に飛んでいった。やがて綱がゆるみ死体が落下し、目撃者になった。
つまり縄のねじれが戻っていく時間だけ、犯人には余裕があったのだ。
そこへ、曙アパートの砂袋の総重量が20日以降に、60㎏分も増えているという報告が入る。
これは由利のヨミ通りで、トランクの中身がさくらではなく砂袋だったことを意味する!
真犯人と犯行の全容
真犯人と犯行動機
犯人
さくらのマネージャー・土屋恭三(鈴木一真)。
犯行動機
土屋恭三の犯行動機を説明するのは難しい(by由利探偵)。
利害関係だけを考えれば、土屋はさくらに死なれては困る立場にあった。
さくらはワガママで気まぐれなパトロンだったが、大して役に立たない土屋を雇ってくれる有難い存在だったから。
50歳を過ぎた土屋が、今さら若い歌手のマネージャーを務めることは困難。
しかし土屋はそれでもさくら殺害を実行した。
動機は、以下の4つ。
つまり土屋にとって、さくらの全てが我慢ならなかった。
そして遂に爆発した!
さくらと土屋の性格の相性は最悪で、さくらと土屋の組み合わせでなければ土屋は殺人を犯さなかっただろう。
さくらのマネージャー・土屋恭三(鈴木一真)。
犯行動機
土屋恭三の犯行動機を説明するのは難しい(by由利探偵)。
利害関係だけを考えれば、土屋はさくらに死なれては困る立場にあった。
さくらはワガママで気まぐれなパトロンだったが、大して役に立たない土屋を雇ってくれる有難い存在だったから。
50歳を過ぎた土屋が、今さら若い歌手のマネージャーを務めることは困難。
しかし土屋はそれでもさくら殺害を実行した。
動機は、以下の4つ。
- さくらの傲慢さ、機嫌が取りにくいこと、お天気屋であることが耐え難かった。
- さくらに調子をあわせるためにどうしても自分を卑屈な存在におとしめなければならないのが、我慢ならなかった。
- さくらが本当は親切な人間ゆえに周りが土屋に同情的でないことも、辛かった。
- さくらが駆け出しのころは土屋の方が有名だったのに、今は落ちぶれている。
つまり土屋にとって、さくらの全てが我慢ならなかった。
そして遂に爆発した!
さくらと土屋の性格の相性は最悪で、さくらと土屋の組み合わせでなければ土屋は殺人を犯さなかっただろう。
土屋は全ての犯行を認めたが、拘置所の中で青酸カリを飲んで自殺。
以下が、土屋の犯行の全てである。
何よりも目立つことが好きなさくらは、歌劇団とは別行動で19日の夜に大阪入りすることに不満を感じていた。
土屋はそんなさくらの虚栄心を利用して、さくらを抹殺することを決意。
さくらに、自分は清風荘の一件を知っているから、それを利用してみんなをあっと驚かす演出をしようじゃないかと持ち掛けた。
大きな赤ん坊のようなさくらは、一も二もなく土屋の提案に乗った。
土屋は細かい計画を立て、自分の作った暗号楽譜をさくらに渡す。
清風荘の一室に砂を撒き、トランクの跡を付けておいた。
それからトランクに砂袋を詰め、これを東京駅の一時預かりにしておいた。
土屋は、トランクのことを佐伯に頼んだ後、18日の夜に何食わぬ顔をして東京を出発。
さくらは東京駅で小野の花束から暗号楽譜が落ちたように見せかけ、品川駅で途中下車。
清風荘へ行き、スーツケースに用意していた男装に着替える。
(代わりにスーツケースに、自分の着て来た服と小野の花束を詰め込んだ)
その後、一汽車遅れて大阪に向かった。
(この時注意しなければならないのが、清風荘の中にはすでに砂がバラ撒かれていたが、絨毯などで隠れていたため、さくらは気づかなかった)
男装したさくらは、19日の夜の9時に大阪に到着。
男装していたため、駅員はさくらだと気付かなかった。
駅には土屋が待ち構えていて、さくらを曙アパートに連れ込む。
そしてさくらを元の服に着替えさせた後に絞殺(さくら殺害現場は、大阪の曙アパート)。
さくらの体を適当にしばって、押し入れの中に隠した。
この時首飾りを盗んだのは計画外で、土屋の人間性の卑しさで行ったことだった。
ちょうどその頃、東京では佐伯が、土屋に頼まれたスーツケース(中身は砂袋)を持って汽車に乗った。
土屋は、小野にさくらの名前で暗号楽譜を送ってアリバイをあやふやにして、佐伯と会う予定だった志賀にはさくらの名前で電報を打って佐伯と会えないようにした。
土屋は東京駅でスーツケースとコントラバス・ケースを別々に受け取り、佐伯には「お礼の船酔いの薬だ」と言って青酸カリを渡した。
(その後、佐伯は船内で青酸カリを飲んで死亡)
次にコントラバス・ケースにはさくらの死体を詰め、トランクの中の砂袋を出して曙アパートの要所要所に配り、薔薇の花を入れた。
そしてコントラバス・ケースを公会堂へ、トランクは一時預かりにした。
雨宮殺しについては以下の順序で犯行が行われた。
あの日土屋は、コントラバスの川田とトロンボーンの蓮見が酒を食堂で酒を飲んでいる間に、トロンボーンの中に隠していた首飾りを取ろうとした。
しかしその現場を雨宮に見つかって、もみ合った末に絞殺。
(この時土屋は要人深く手袋をはめていたため、トロンボーンには雨宮の指紋だけが残った)
土屋は、雨宮の死体を川田のコートにくるんで5階に引き上げ、網を5階の窓にある廂(ひさし)の鉄棒に首つりの時のように引っかけた。
そしてそこに死体を引っ掛けたのだが、直だと後が残るので、コートにくるんでからにした。
そして体をくるくる回転させ、もうこれ以上回転できないところまで回転させておき、自分は網が元に戻る前に階下に急いで降りた。
死体はくるくる回りながら網から転落、まずは4階の窓にぶつかってから落下。
(この時の音を聞いて、牧野は部屋に飛び込んだ)
警部が階下の窓から上をのぞいた時には、犯人の土屋は階下へ滑り降りて警部の部屋の前に立っていた。
土屋が狡猾だった点は以下の2つ。
➀さくら自身にアリバイを作らせたこと。
東京で犯行が行われたように見せかけるために、実際に動いたのは被害者のさくら。
➁死体をコントラバス・ケースに詰めたこと。
コントラバスと死体の重量の差から殺人が大阪で行われたと思わせた。そのことによってまず自分に嫌疑の目が向くようにした後、暗号楽譜を利用して犯行現場を東京だと思わせて自分の嫌疑をすっかり晴らした。さらにさくら(死体)をあっと驚く方法で皆の前に登場させることにも成功。
東京で犯行が行われたように見せかけるために、実際に動いたのは被害者のさくら。
➁死体をコントラバス・ケースに詰めたこと。
コントラバスと死体の重量の差から殺人が大阪で行われたと思わせた。そのことによってまず自分に嫌疑の目が向くようにした後、暗号楽譜を利用して犯行現場を東京だと思わせて自分の嫌疑をすっかり晴らした。さらにさくら(死体)をあっと驚く方法で皆の前に登場させることにも成功。
後日談
この事件がきっかけで、由利と相良千恵子は結婚します。
感想
原さくらという人が、「世界的ソプラノ」と言われて愛される理由がよくわかりました。
無邪気で日常の全てがお芝居だなんて、とてもミステリアスで魅力的です。
さくらと弟子の相良が2人して「男装」していたというトリックも素敵だなと思いました。
子供が産めないさくらが小野を相手に危険な遊戯をしたのは、同じ女性として気持ちは理解できました。
実際自分もするかと言われれば、難しいですが。
土屋は結局さくらという光に照らされる屈辱に耐えきれず、こんな緻密な殺人事件を起こしたのでしょうね。
無邪気で日常の全てがお芝居だなんて、とてもミステリアスで魅力的です。
さくらと弟子の相良が2人して「男装」していたというトリックも素敵だなと思いました。
子供が産めないさくらが小野を相手に危険な遊戯をしたのは、同じ女性として気持ちは理解できました。
実際自分もするかと言われれば、難しいですが。
土屋は結局さくらという光に照らされる屈辱に耐えきれず、こんな緻密な殺人事件を起こしたのでしょうね。
4話・5話『マーダー・バタフライ』のネタバレと原作との違い
【探偵・由利麟太郎】4話・5話『マーダー・バタフライ』のネタバレと原作との違いをまとめます。真犯人
犯人は、さくら(高岡早紀)のマネージャー・土屋恭蔵(鈴木一真)。
さくらを殺してコントラバスケースに詰めたのも、雨宮を絞殺して窓から突き落としたのも土屋。
さくら殺人事件の動機
土屋(鈴木一真)がさくら(高岡早紀)を殺した動機を順を追って説明します。
・さくらは高校時代に性暴力の被害に遭って、性的不能者になっていた。
・さくらが劇団の男たちと(表面的な)浮名を流し続けたのは、過去のトラウマによる反動だった。
・さくらは「子供が欲しい」と言うようになり、当時生みの親を探していた藤本章二(池岡亮介)に会いに行って自分が母親だと名乗り出た。
・しかし藤本はマスコミ向けの作り話をしていただけだったので、さくらを頭がおかしいと言って追い出そうとした。
・自分の妄想を全否定されたさくらは、その瞬間に心が壊れて藤本を衝動的に刺殺。
・現場に居合わせた土屋は、このままではさくらは狂気のディーバとしてマスコミの餌食になる、その前に葬るしかないと思ってさくら殺人事件を実行に移した。
・土屋にとって原さくらを愛することとは、彼女がまだ壊れないうちにこの世から退場させることだった。
。・さくらが劇団の男たちと(表面的な)浮名を流し続けたのは、過去のトラウマによる反動だった。
・さくらは「子供が欲しい」と言うようになり、当時生みの親を探していた藤本章二(池岡亮介)に会いに行って自分が母親だと名乗り出た。
・しかし藤本はマスコミ向けの作り話をしていただけだったので、さくらを頭がおかしいと言って追い出そうとした。
・自分の妄想を全否定されたさくらは、その瞬間に心が壊れて藤本を衝動的に刺殺。
・現場に居合わせた土屋は、このままではさくらは狂気のディーバとしてマスコミの餌食になる、その前に葬るしかないと思ってさくら殺人事件を実行に移した。
・土屋にとって原さくらを愛することとは、彼女がまだ壊れないうちにこの世から退場させることだった。
愛ゆえの殺人と言えば綺麗に聞こえますが、狂った愛であることは間違いありません。
さくら殺人事件のトリック(なぜ死体をコントラバスケースに入れたのか)
一番気になるのが、なぜさくらの死体がコントラバスケースに入れられたのか。
これはさくら自身が望んだことだったのです。
誰よりも目立ち注目されることに生きがいを感じていたさくらは、土屋に今回の計画を提案。
「京都で消えてそのまま行方不明になった私が、リハーサル直前にコントラバスの中から登場するの」
土屋はこのさくらの願いをかなえてやったのです、ただし殺しちゃった後にですが(^_^;)
土屋は、清風荘で砂袋でさくらを殴って殺した後にコントラバスの中に入れてそれをバラの花で彩り、それをまた車に乗せて大阪にまで戻って、タクシーでコントラバスケースを会場まで運ばせたのです。
吹きすさぶ嵐、誰も通りには出ていませんでした(目撃者ナシ)。
まさに、愛という名の悪魔だけが思うままにのさばっていたのです。
原作のさくらが東京で殺されているかと思ったら、実は大阪だったというトリックは使われませんでした。
おそらく時間的に無理だったのでしょうね(^_^;)
事件現場に清風荘が選ばれた理由
土屋は、なぜ事件現場に清風荘を選んだのでしょうか。
清風荘とは
・さくらが謎の男と密会していた部屋。
・部屋の中には、藤本と赤ちゃんの写真が飾られていた。
・実は謎の男はさくらの一人二役で、赤ちゃんの写真は骨董市で買われたものだった。
・愛情に飢えていたさくらは、小野の愛を確かめるために、作り話をして気を引いていた。
土屋は、世間に清風荘を印象付けることで、さくらが本当に藤本の生みの親であると思わせたかったのです。
そうすれば、まさか生みの親が藤本を殺すはずがないと思われて、さくらが藤本を殺した事実を隠蔽できると思ったから。
由利が最初から犯人が分かった理由
由利はコントラバスケースに入ったさくらの死体を見て間もなく「的はとらえた」と言いました。
どうして由利はこんなに早く犯人がわかったのでしょうか。
それは、土屋がさくらのネックレスとえりの乱れを直したから。
コントラバスというあり得ない場所で死んでいるのを発見した他の人間は、志賀のようにただ立ち尽くすか、総一郎のように抱き起こそうとするかどちらかなのに、土屋だけは愛する者の死を受け入れていたからです。
そして由利の勘は、小野から見せられた土屋のノートで確信に変化。
土屋は事件の詳細をスマホに記録していたから、ノートがあること自体が不自然なのです。
志賀笛人の死の真相(さくらの亡霊の正体とは?)
さくらが死んだあと、劇団員が宿泊しているホテルのあちこちに、さくらに亡霊が現れます。
実は正体は亡霊ではなく、さくらのドレスを着た相良千恵子(吉谷彩子)でした。
相良千恵子はさくらを殺した人間をあぶり出すためにこんなことをしていたわけですが、その結果志賀笛人が死亡。
志賀はさくら信者の一人で、椿姫のラストにさくらが使った短刀を突き立てて死んでいました。
しかしまさか舞台小道具で死ねるわけがありません。志賀はさくらを愛するがあまり心臓発作を起こして死んだのです。
等々力警部(田辺誠一)は相良のせいで志賀が死んだと言いましたが、由利は違うと言いました。
志賀はさくらと一緒に部屋で酒を飲んだと言いましたが、相良はそこまでやっていなかったから、
雨宮順平の死の真相とトリックは?
土屋の助手の雨宮順平(水沢林太郎)が殺された理由は、さくらの夫・聡一郎(大鶴義丹)と間違われたからでした。
土屋の標的は、さくらの夫でありながら劇団の女たちに手当たり次第に手を出して苦しめていた総一郎。
しかし停電の中雨宮が総一郎の部屋にいたため間違えて襲ってしまい、顔を見られたから殺さざるを得なかったのです。
土屋は雨宮を絞殺してカーテンにくるんで5階へ。
5階の窓の外の廂にロープを引っ掛けて、カーテンにくるんだ雨宮をロープに引っ掛けて、ぐるぐるぐると限界までねじって、そのねじれが戻る前に下まで駆け下りていきました。
だから雨宮が地面に落ちた時、土屋はみんなと一緒にいたのです。
夫・総一郎の無残な結末
夫・総一郎ですが、原作でも女好きで複数の女性を関係を持っていますが、劇団の女性を泣かせてはいません。
結局やっていることは原作もドラマも同じなんですが、原作の総一郎はまだちょっとはさくらを理解して愛していたイメージかなと。
ドラマではさくらが「子供がほしい」と言ったのをいいことに、自分の隠し子をあてがうんですからサイテーです。
原作では総一郎が雨宮を引き受ける形で土屋の助手をやらせて、雨宮が総一郎の隠し子だと知ったさくらが自分も子供が欲しくなって藤本を利用するという順番。
ドラマの総一郎は、さくらの弟子の相良千恵子にまでしつこく言い寄っていたのですからホント最低最悪です(^_^;)
土屋が「先生を悲しませ苦しませている総一郎をこのまま楽団に残すわけにはいかなかった」という言葉も狂ってはいますが、一応理解はできます。
由利も「愛にはいろいろな形があるとあなたは言った。しかし妻を亡くした翌日にほかの女性を抱くような愛は私は許さない」と怒ってましたからね。
そんな総一郎は、さくらの幻影を見て歩道橋の階段から後ろ向きに転がり落ちて死亡。
土屋は直接手を下さなかったものの、土屋の思い通りの結末を迎えました。
由利と相良千恵子の恋(続編は確実?)
事件が終わった後の三津木と由利の会話。
三津木:「先生、俺、気付いてましたよ。相良さんから千恵子さんに変わってましたよね~」
由利:「彼女はまるで優秀な探偵のようだ」
三津木:「あはは、先生がそう仕向けたんじゃないですか」
由利:「最適任者だった」
三津木:「ファンなんですよね~、先生は相良千恵子の。部屋にレコードありましたもん何枚も」
由利:「彼女はまるで優秀な探偵のようだ」
三津木:「あはは、先生がそう仕向けたんじゃないですか」
由利:「最適任者だった」
三津木:「ファンなんですよね~、先生は相良千恵子の。部屋にレコードありましたもん何枚も」
原作では、事件の後に由利と相良千恵子は結婚します。
ドラマでもかなりの「におわせ」があったので、続編で結婚していそうですよね。
追憶の椅子が気になる
ドラマを通して気になったのが、由利の過去。
女性の写真を見つめたり、壊れた懐中時計を見つめたり。
特に2話での三津木との会話が印象的でした。
由利の部屋には一つ(素敵な)椅子が置いてあり、三津木は「そこには誰が座るんですか?」と質問。
由利:「そこには思い出が座っている」
三津木:「思い出?」
由利:「追憶の椅子。彼女はそう呼んでいた」
三津木:「???」
三津木:「思い出?」
由利:「追憶の椅子。彼女はそう呼んでいた」
三津木:「???」
最終回では、この追憶の椅子にロングヘアーで白いワンピースの女性が座っていました。
(正確には、酒を飲んだ由利が見た幻影)
由利は、妻を粗末にする男が許せないようなので、由利の過去に妻がかかわっているのは間違いありません。
ロングヘアーの彼女は由利の妻なのでしょうか。