キムタクのアクションシーンが満喫できるドラマ『BG~身辺警護人~』。
毎回惚れ惚れするほどかっこいいキムタクですが、江口洋介さん演じる警視庁SP・落合からは「あなたたちは犯人を捕まえる武器を持っていない。なにかあったら余計なことはせず警察に助けを求めてください。」と言われてほとんど邪魔者扱い。
なんだかいっつも偉そうなSPに対して、ちょっと肩身が狭過ぎるBG。
そもそもBGとSPの違いって何なのでしょうか?(武器を持つ、持たないだけでなく)
この記事ではBGとSPの違いについてまとめました。
もくじ
BGとは?
BGとは「 bodyguard(ボディーガード)」の略で、民間の警備業務のひとつです。
日本では民間のボディーガードは、警備業について定めた警備業法第二条一項四号の警備業務の一つとして規定されていて、四号業務と呼ばれることもあります。
最近では、2017年の窪田正孝さん主演のドラマ『4号警備』が思い出されますよね~。
他にも依頼主と直接契約するフリーランスのボディーガードも存在します。
今日、ボディーガードに対する需要は極めて高く、身辺警護専門の警備会社が数多く存在するほか、興信所の私立探偵などもボディーガードや四号警備を仕事の一つにしている場合があります。
ボディーガードの身分はあくまでも民間人で、逮捕や捜査権などの一切の法的特権を有しません。
仕事内容は、顧客に対する暴行や脅迫を抑止し、顧客の生命と財産を防護することです。
顧客としては、芸能界関係者や経済界の著名人などがあげられます。
また、警護の方法にも様々な制約があって、装備できる武器は以下に限られます。
- 警察の許可を受けた特殊警棒
- フラッシュライト
- 防刃ベスト
- 刺又
上記のような非殺傷性の防犯用品に限定されているのです。
落合が島崎に「あなたたちに丸腰だという自覚はありますか?」と聞いていた理由がよくわかりました……。
SPとは?
SPとは「Security Police(セキュリティ・ポリス)」の略で、文字通り警察官です。
警視庁警備部警護課に所属する警察官で、要人(社会に重大な影響が及ぶ立場や要職に就いている人物)の警護任務に従事している人たちを指します。
警察官なので、武器として特殊警棒や拳銃の所持が認められていて、当然逮捕も可能。
SPの条件
SPになるには厳しい条件をクリアしなければなりません。
- 身長173㎝以上
- 柔道又は剣道、合気道3段以上
- 拳銃射撃上級
- 英会話ができること
上記の一定の条件を満たして部署の上司などから推薦を受けた者は、候補者として警察学校等の警察施設で3ヶ月間の特殊な訓練を受けます。
これらの厳しい競争を勝ち抜いた精鋭の中からさらに選ばれし者だけがSPに任命されます。
まさに警察の中のエキスパートと言えるでしょう。
SPの適性
SPには人間性を含めた適性も重要視されます。
- 逮捕術、格闘術、射撃技能が優れていること
- 不審者を相手より先に発見するための目配りを怠らない強靭な体力・精神力
- パトカーの運転テクニック
- 同僚との協調性、自制心、自己管理能力
- 法令遵守の精神
- VIPを接遇する礼儀作法
- 極限状態に陥ったならば、人間の盾となり受傷、最悪の場合は殉職する自己犠牲の精神
本当に厳しい世界であることがわかりますね~。
特に最後の「自己犠牲の精神」は誰でも持てるものではありません。
4万人以上いる警視庁の警察官のなかで、SPは約200~300人です。
SPの警護対象者
SPの警護対象者は法律やそれに準ずる規定によって明確に決められています。
内閣総理大臣、衆議院議長、参議院議長、国賓(こくひん)は、要請に関係なく警護します。
また、衆議院副議長、参議院副議長、国務大臣、元総理大臣の衆議院議員は、要請出動による警護の対象者です(立原愛子(石田ゆり子)は国務大臣である厚生労働大臣なので、SPの警護対象者です)。
与党である自由民主党の幹事長、政務調査会長、総務会長、参議院議員会長、参議院幹事長、選挙対策委員長も同様です。
『BG~身辺警護人~』2話で菜々緒さん演じる菅沼まゆが言っていたように、アメリカのシークレットサービスはファーストレディーも含めて警護するよう規定されていますが、日本ではSPは裁判官は警護してもその妻は警護しません。
『BG~身辺警護人~』1話ならサスケフーズの会長・大久保佐助はSPの対象外です。
SPは、対象者以外の人物を警護することは出来ないのです。
今回のドラマでは、江口洋介さんが警視庁SP・落合義明を演じています。
クールでかっこいいのですが、島崎章(木村拓哉)に対する言葉がきついですよね~。
BGとSPの違いは?
BGとSPの違いは色々ありますが、大きな違いは「警護対象者が違うこと」と「法的権限のあるなし」の2つです。
警護対象者が違う
SPの警護対象者は、全て法律とそれに準ずる規定によって決められています。
法律で決められていない対象者の警護は出来ません。
BGの警護対象者は警護の依頼があった人。
契約に基づいてクライアントのために行う警護です。
クライアントは、SPの警護対象者には入らない芸能人、著名人、資産家などのVIPが多いですが、ストーカー被害に悩む女性などもいます。
法的権限がない
SPは警察官ですから警察官の権限を行使できます。
拳銃や警棒などの武器を携帯して使用出来る他、車両による緊急走行も許されます。
BGは民間の警備サーピスですから、「法的特権」がない、いわゆる「一般人」。
装備は、警察の許可を得た特殊警棒やフラッシュライト・防刃ベストなどの護身具のみ。
当然拳銃も所持出来ないし、緊急走行も出来ません。
捜査権もないので事件に首を突っ込むこともNGです。
BGはSPには敵わない?
いわゆる用心棒であるBGは、警察であるSPに比べて法的権限もなく、武器も所持できない立場にあります。一見、SPはかっこよくて強い存在で、BGはただの民間人に見えます。
しかし『BG~身辺警護人~』1話で、島崎は落合に対して以下のセリフを言っています。
あなたが拳銃なんか出さなければあいつは刃物なんか出さなかったんじゃないですか?
丸腰だから人を守れることもあるんじゃないですか?
引用元:『BG~身辺警護人~』1話・島崎章のセリフより
落合は「いいですね~、民間は好き勝手言えて。」と嫌味たらたら去っていきましたが、島崎の言うことは当たっています。
こっちが武装しなければ犯人も武装しないのです(動物が相手が攻撃性を見せなければ攻撃してこないのと似ています)。
最初から犯人がナイフを出したのならともかく、途中で煽って刃物を出させては逆効果。
かえって危険を増大させてしまうのです。
島崎の考え方は、防げる危険は出来るだけ未然に防ぐというもの。
そんな島崎に同僚の高梨(斉藤工)は「怖いのか。BGに向いてないんじゃないのか。」と嘲笑いますが、島崎の考え方は実はとても深いのです。
いざとなったら、クライアントの盾になるという考え方は一見勇敢に思えます。
しかしBGが負傷したり死んだりしたら、警護対象者がむき身になってしまって、結局任務を放棄するのと同じになってしまうのです。
出来る準備は全部して、危険を未然に防ぎ、何も起こらずにすませるのが一番いいのです。
さらに、丸腰だからこそ恐怖を感じて危険回避が出来るというメリットを島崎は言っています。
まとめ
『BG~身辺警護人~』BGとSPの違いについてまとめました。両者が力を合わせることによって幅広い警護が可能な気もしますが、現実にはそんな甘いものではないのでしょう。
島崎と落合がいつか分かり合える日は来るのでしょうか?