ブラックぺアン原作ネタバレ・前編!オペ室の悪魔・渡海と小天狗・高階が対立?

嵐・二宮和也さん主演の日曜ドラマ『ブラックぺアン』が、2018年4月22日(よる9時~)から始まります(初回25分拡大SP)。

『先に生まれただけの僕』、『99.9』に続く嵐ドラマリレーの三作目とあって、当然注目されております。


今回二宮さんが演じるのは初の外科医・渡海征史郎(とかい・せいしろう)役で、しかも“オペ室の悪魔”と呼ばれるほどのダークヒーロー。

しかしあれ……?原作の渡海ってダークヒーローだったっけ……?


どうも、原作とドラマのストーリーは大きく違うようです。

当記事では、ドラマの内容とは大きく異なると噂されている原作『ブラックぺアン』のネタバレをまとめています。



原作『ブラックぺアン』の概要


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  • 原作 ブラックぺアン1988
  • 原作者 海藤尊(かいどう・たける)
  • 連載 『小説現代』に2007年4月号から8月号まで連載
  • 書籍化 2007年に初版が発売、2009年に上下巻の加筆修正版が発売、2012年に上下巻にした文庫版を1冊にした新装版の文庫本が発売。

『ブラックペアン1988』は、2007年に講談社から発売された海堂尊氏の長編小説。

原作者の海藤尊さんは現役の医師で、主に現代日本の医療問題をとりあげた小説を“医療現場のリアルな描写”と“魅力的な登場人物たち”で魅せてくれます。

代表作は『チーム・バチスタの栄光』『ナイチンゲールの沈黙』『ジェネラル・ルージュの凱旋』『カレイドスコープの箱庭』など多数。

原作『ブラックぺアン』の主な登場人物を紹介

『ブラックぺアン1988』のタイトル通り、物語の舞台は1988年の東城大学医学部付属病院です。


東城大学医学部付属病院といえば、チームバチスタシリーズでもお馴染みですね。

チームバチスタシリーズは『ブラックぺアン1988』の続編にあたるのです。


話は戻って、原作『ブラックぺアン』には以下の4人の主要登場人物がいます。

主人公である新人外科医・世良雅志(ドラマでは竹内涼真が演じる)の目から見た医局の人間模様が描かれています。


4人の主要登場人物


世良雅志(せら・まさし):竹内涼真


東城大学医学部付属病院総合外科学教室(佐伯外科)に入局した研修医。

教授に対しても臆せず物を言う態度が、周囲をハラハラさせます。


渡海征司郎(とかい・せいしろう):二宮和也


総合外科学教室の、ヒラでは最年長の医局員・10年選手。

軽薄な性格とは裏腹に、手術の腕は高い。

しかし手術時間は守らないわ、手術が終わるとさっさといなくなるわ、外科控室ではガンガンロックをかけまくったりとかなりの問題人物。


「オペ室の悪魔」と称され、その高い技術ゆえに高階や佐伯からは“手術職人”と評されています。

佐伯とは過去に因縁があります。


高階権太(たかなし・ごんた):小泉孝太郎


総合外科学教室に赴任した新任講師で、世良の指導医を務めます。

帝華大学で第一外科教室の助手を務め、マサチューセッツ医科大学に2年留学したという経歴を持つエリートで、不敵な発言で周囲の反感を買います。

佐伯教授からは「ビッグマウス」「小天狗」と呼ばれることも。

食道癌の手術を簡単に行える新兵器「スナイプAZ1988」で医療技術の発展のあり方を変えようとします。

20年後の東城大学医学部付属病院院長(チーム・バチスタの栄光)。


佐伯清剛(さえき・せいごう)


総合外科学教室教授。

専門は腹部外科で、「神の手」を持つと評されています。


技術重視の気風やその威厳を持って「佐伯外科」の頂点に君臨。

手術室には「ブラックペアン」と呼ばれる真っ黒なペアンを通常の手術器具の中に並べています。

東城大学医学部付属病院の次期院長選に立候補します。


その他の登場人物


黒崎誠一郎


総合外科学教室助教授で医局員の3割を占める心臓血管外科グループのトップ。

のちに総合外科学教室から分離して、臓器統御外科学教室を立ち上げます。


垣谷


佐伯外科の助手で、8年目。

世良の先輩。


関川


総合外科学教室入局5年目の医師で世良の上司。


猫田麻里


手術室主任看護婦。


花房美和


手術室看護婦。

手術での機器出しの経験は未だ浅い。

『ブラックぺアン』原作ネタバレ・前編

それでは『ブラックぺアン』原作ネタバレをしていきます。

ビッグマウス・高階が『スナイプ』を抱えてやってくる


1988年(昭和63年)、新米医師・世良雅志(竹内涼真)が東城大学医学部付属病院・佐伯外科に入局してきました。

元・サッカー部の名ストライカーも、ここでは何もわからず、尋常ではない疲労の蓄積に悩まされる日々。


佐伯外科の佐伯教授(内野聖陽)は日本を代表する国手で、佐伯教授以上の技術をもった外科医を他に挙げることは困難と言われています。

そして佐伯教授の手術セットには、通常のシルバーのぺアンの他にブラックぺアンが用意されていましたが、その理由を知る者はいません。

佐伯教授の専門分野である腹部外科に関しては優秀な後継者がみつからず、外部から引き抜こうとしているのではないかという噂も流れていました。


そんな中、新講師として帝都大学から高階権太(小泉孝太郎)がやってきました。

高階の専門は消化器外科で、以前は帝都大学第一外科教室の助手をつとめていました。

二年ほど、マサチューセッツ医科大への留学経験もある、エリート医師です。


高階はなにかと不敵な態度を取る男で、開口一番「私はここ(東城大学医学部総合外科教室)に飛ばされて参りました」と言って、黒崎助教授の反感を買うことに……。


さらに「(佐伯教授が)お考えになっているほど、(手術技術に)差はありません」と言ったあとに、『スナイプAZ1988』を取り出しました。

『スナイプAZ1988』とは長さ50センチほどで、手元に引き金のような部分があり、白い銃身をもつ食道自動吻合器(しょくどうじどうふんごうき)のこと。


高階は「この『スナイプAZ1988』(食道自動吻合器)があれば、誰でも手術を行えるようになる」と力説。

従来の佐伯外科のあり方(=選ばれた優秀な技術をもつ医師のみが食道がんの手術を行う)に物議を醸します。


高梨の存在は、保守的で佐伯教授こそがルールであった佐伯外科の空気を春から冬へと変えてしまいました。


『スナイプAZ1988』で手術を行う?


世良の指導医(オーベン)は、なんと高階に決まりました。

高梨の指導を仰いで、カンファレンス(会議)で受け持ち患者(皆川妙子・62歳・食道がん)の症例提示をしなければなりません。

なかなか捕まらないばかりか、指導もしてくれない高階にヘトヘトに疲れてしまう世良。


そしてそのカンファレンスで、高階は世良が発表した“胃管吊り上げによる再建術”を否定、『スナイプ』を使用することを宣言しました。

具体的には以下のように手術を行います。

  • 体位は側臥位(そくがい)。
  • アプローチは左胸腔横隔膜(さきょうくうおうかくまく)合併切除。
  • 再建臓器は空腸。
  • 食道空腸吻合(ふんごう)には、食道自動吻合器『スナイプ』を使用。

高階が『スナイプ』を使う最大の目的は、リーク(縫合不全)を防ぐため。


そんな高階のご高説を、ヒラでは最年少の医局員・渡海(二宮和也)は嘲笑います。

「だって、器械吻合じゃないとリークするんだろ。技術が未熟だってことだ」と挑発的な視線を送り、「俺なら、この手術は前胸部からの従来のアプローチで3時間で終わらせる、リークは無し、だ」と自信たっぷりな態度。


しかし高梨はひるみません。

現在、佐伯外科で食道がん手術の術者経験者はたった5人。

つまり食道がん手術には高度な技術が必要なので、選ばれし一部の者が執刀しているのが現状。

しかしこの『スナイプ』を使えば、適正な術野さえ確保できれば、誰でもリーク・ゼロの食道切除術を実施できると主張します。

さらに、教育にはほんの僅かな時間しかかからないことも言及。


当然、渡海は反論します。

渡海の主張


  • 器械導入のために、患者に過剰な負担をかけることになる
  • 外科技術の安売りになり、外科の土台が根底から崩れる


高階の主張


  • 『スナイプ』を使えば、10年かかる特殊教育を2年に短縮できる
  • 外科手術を容易にして、世の中に広げていくことが大事


両極端ともいえる2人の医師の対立が始まりました。


手術当日


『スナイプ』での手術に先立って、がん患者・皆川妙子にがん告知をする高階。

皆川さんは当惑しますが、高階は「任せてください。手術は必ず成功させます」と約束。

そんな高階に「告知ではきちんと、失敗の可能性を知らせることが大事だ」と渡海。


しかし高階は「わたしは100%手術を成功させます」と信じられない発言をして、渡海を驚かせます。

そう、高階がここ(佐伯外科)に来た目的とは、技術ばかり追い求めるあまり、医療の本道を見失った佐伯外科を正道に戻すためだったのです。

“手術は技術だ”という考えの渡海は、やはり高階に反感を覚えます。


高階は渡海に「あなたは、今度のオペで新しい世界を見るでしょう」と予告します。


そして手術の日がやってきました。

メンバーは執刀医・高階に、第一助手・渡海、第二助手・佐伯、そして外回りに世良。

そして新人看護婦・花房美和(葵わかな)もはじめて外回りの日でした。

世良と花房は、新人同士意気投合。


「ビッグマウス」(=大口を叩く)と言われた高階の実力は、早さも手際もなかなかのものでした。

瞬く間に癌は切除されます。


しかし本番は『スナイプ』による縫合です。

高階が、患者の小腸にあけた穴から『スナイプ』の銃口を差し込んだ時には、さすがの渡海もぎょっとします。

二度打ちした後、狙撃銃の先端を引っこ抜いた時には食道のドーナツ、空腸のドーナツの2つの肉のリングが出来ていて、すなわちリークのない縫合が出来たことを意味していました。


「こんなの手術じゃないな、ままごとだ」と吐き捨てる渡海。

「あまり毛嫌いなさらない方がよろしいかと。そのうち、このオモチャが、佐伯外科の新時代を支えることになるんですから」と言う高階に、「調子にのるなよ、ビッグマウス」鋭い視線を向ける佐伯教授。


世良がミスをする


入局から2か月が経過し、世良は一番熱心な一年生と言われるまでになっていました。

外科医の生命線である糸結びの練習は、世良の性に合っていたのです。


そんな矢先に、世良が手術中にミスをします。

術者・垣谷の胃幽門部亜全摘出術に、世良がは第二助手として参加していたのですが、つい力が入り過ぎてしまって、患者の内臓を傷つけてしまったのです。

垣谷も第一助手の関川もお手上げで、深刻な事態に発展。


幸い、控室にいた渡海のおかげで大事には至りませんでしたが、危ない局面でした。

渡海は世良のことを気に入ったのか、「どうする?世良ちゃん?俺に指導を受けてみるか?」と指導を申し出てきました。

世良は渡海の妖しい魅力には惹かれますが、今の自分ではその煌めきを追いかけることは出来ないだろう、と迷います。


そんな世良の気持ちなどおかまいなしに、渡海は次の手術の第二助手に世良を指名。


渡海のがん告知に、世良は……


世良は3人の学生を連れて、渡海の(胃がん患者・小山兼人への)手術説明に同行しました。

当時、佐伯外科では患者にはがん告知しない方針だったにもかかわらず、渡海は毎回がん告知しているといいます。


世良は、渡海の冷酷ながん告知のやり方に当惑します。

患者の気持ちには全く寄り添わずに、大量の資料に目を通させて、事実をただ淡々と述べる説明。


高階のがん告知は「絶対に手術を成功させます」という真心がこもったものでしたが、渡海はまさに真逆。

たしかに嘘やごまかしは一切ないので、見方を変えれば誠実な手術説明と取れなくもありませんが……。


世良と3人の学生は「先ほどの(渡海の)説明は患者さんの気持ちを無視しているように感じました」と渡海に抗議。

「ムンテラ(治療方針・病状の説明)は患者のために行うのではない。外科医が自分の身を守るためにするのさ」と言う渡海に、やはり高階とは考え方が全然違うのだと思う世良。


世良が人殺しに?


小山兼人さん・胃がん・70歳の手術が始まりました。

術者は渡海で、世良は第二助手。


胃亜全摘術は淡々と進行していきました。

渡海は「世良ちゃんよ、ひとつ、チャンスをやろう。左胃動脈の糸結びをしてみろ」と言います。


世良は「無理です」と喉元まで出かかりますが「はじめからやらせるつもりはないんだ、俺が断るのを見て嘲笑おうとしているんだ」と思い、「光栄です。やります」と引き受けてしまいました。

渡海に上から怒鳴られながら、なんとか糸結びを終了。


渡海に「本当にこれでいいんだな」と聞かれて、「結構です」とこたえる世良。

「よし、じゃあいくぞ」


渡海が患部を留めていた銀色のぺアンを外すと、腹部から赤い噴水のように血が飛び出しました。

「はい、世良ちゃん、患者をひとり殺しちゃったねえ」


渡海はぺアンで患部を固定しながら、あっさり糸結びを終えました。

そしてぺアンを外しても、出血はしませんでした。


世良を叱咤激励する高階


翌日、世良は病院欠席しました。

昨夜は一晩中、渡海の「どうする?人殺しの世良ちゃんよ」が耳元で響いていたのです。

渡海がいなければ世良は間違いなく人殺しになっていたという事実が、世良を悔恨の海の底に沈めていきます。


そんな中、高階が日本酒をもって世良を訪ねてきました。

ごちゃごちゃ言う世良に茶碗を2つ持ってこさせて、酒を飲みながら話をする高階。


「いい経験をさせてもらったね」と言う高階に「いい経験?冗談じゃない。もうたくさんです、こんなの。俺は外科医を辞めます」と憤慨する世良。

しかし高階が今まで5人の患者を死なせてその責任を取るために医者を続けているという話を聞いて、世良は絶句。

高階は「世良君は、このままいけばいつか自分が人を殺めてしまうのではないかとびびって、外科医を辞めようとしている。それは敵前逃亡だ。そこには自分が可愛いという利己心しかない」と言い放ち、世良の震える心をメスのように切り開いていきます。


「幸か不幸か、世良君は患者を殺める寸前までいくという稀有な体験をした。これは得難い経験であり、そのことを経験させられた君には、もはや外科を志す以外には、その負債を返済する道はない」

高階はどんどん世良を論破。


最後には「世良君、君は外科の神様に見込まれてしまったんだ。逃げることは許されない」と世良に低い声で囁きました。

不気味な輝きを持つ高階を「阿修羅だ」と思う世良。

※阿修羅は、高階の帝華大でのあだ名。


世良が再び病院に戻る


考えた末に、世良は病院に戻ることにしました。

「お、世良ちゃん、外科を辞めるのは止めたのかね」と軽口を叩いてくる渡海。

その口からはアルコールの匂いがただよっています、どうやら朝帰りのご様子。


「なあ、世良ちゃん、特別サービスで患者を殺さない悪魔の極意、教えてやるよ」とからんでくる渡海には答えず、世良はせっせと糸結びの稽古をします。

そして「俺は外科医として渡海先生のような才能はありません。だけど俺にはこの道しかない。この道の果てで、いつか必ず渡海先生をこてんぱんにしてみせる」と宣言。


渡海は、肩をすくめて微笑してつぶやきます。

「いい医者になるのは凡人だからな」


その後、世良は自分があやうく死なせるところだった患者・小山さんのところへ足を運びました。

小山さんは既に渡海から手術中に起こった全ての話を聞いていて、世良は黙って頭を下げます。

小山さんは「でも、わては生きている……。こんな嬉しい、ことはない。わての願いは、ひとつ、だけ。世良先生、これに懲りずに、いいお医者さん、になって下され」と言ってくれて、世良は頭を下げたまま床に水滴を垂らしてしまいます。

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