ブラックぺアン「スナイプ」とは?佐伯式に代わる簡単で安全な方法なのか?

『ブラックぺアン』1話では、新任講師・高階権太(小泉孝太郎)が、最新医療機器「スナイプ」を手土産に、東城大学外科教室に送りこまれてきます。

当記事では、『最新医療機器「スナイプ」とは何か?』について原作からネタバレして、ドラマのスナイプについても詳しく説明しています。


2018年4月29日(日)、第1話の放送を受けてドラマ版のスナイプについて追記しました。

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「スナイプ」とは?


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原作の「スナイプ」の正式名称は、食道自動吻合器「スナイプAZ1988」(原作は1988年を舞台としています)。

長さ50センチほどで、手元に引き金のような部分があり、遠目には銃身の歪んだ白いライフル銃のように見えます。


「スナイプ」は食道がん手術の際の、食道空腸吻合(ふんごう)時に使用する最新医療機器です。

「スナイプ」を持ち込んだ高階権太とは?


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高階権太は、以前は帝華大学第一外科教室の助手でしたが、二年ほどマサチューセッツ医科大に留学後、半年母校で教鞭を執り、そのあとに“神の手”を持つ佐伯教授(内野聖陽)が君臨する「東城大学外科教室」にやってきた新任講師。

佐伯と対立する帝華大学の第一人者・西崎教授が「佐伯外科をぶっこわしてこい」と言って、高階と「スナイプ」を刺客として送りこんだのです。

「スナイプ」を使用する目的


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「スナイプ」を使用する最大の目的は、リーク(縫合不全)の防止。


「スナイプ」はもともと、直腸がんの超低位前方切除術のために開発されたものを、高階が改良しました。

米国では治験を終え、保険社会福祉省の認可待ち。

日本でも追随し、治験段階に入っていて、三十例施行した現在のリーク症例はゼロなのです。

「スナイプ」の手順

スナイプの手順を、原作から書きます(あくまでも、ポイントだけなので実際はもっともっと複雑な工程があります)。

引き金部分にあたる取っ手をきりきりと回して、丸い小さな先端部分を引き抜く。

分かれた小さな独楽(こま)のような部分を患者の身体の奥深くに沈める。

小腸にメスで割を入れ、メスで開けた穴から「スナイプ」の銃口を差し込み、切離断端から顏を出す。

それから小腸断端に針糸をかけ、巾着のように縫い閉じていく。

「スナイプ」の先端には肉のコンドームのように、患者の小腸が被せられたことになる。

「スナイプ」を患者の深部に沈めこみ、独楽の先端を深部で受け取り、「スナイプ」の先端位置に復帰させる。

「スナイプ」の引き金の後ろのねじを2度回して、それから引き金を引きます(高階は2度打ち)。

患者の深部から「スナイプ」を引き抜く。

「スナイプ」の先端を再び2回転させ、先端の独楽を引き抜く。

根本から肉のドーナツ2個を取り出す。

このように、肉のドーナツが2個できていれば、リークのない縫合ができたことになります。

ドーナツのひとつは食道、もうひとつは空腸の断端。


佐伯教授は「こんなの手術じゃないな、ままごとだ」と言い放ちます。


「スナイプ」を使用する利点

高階は「スナイプ」を使用する利点として、具体的に次のの2点を主張。

  • 適正な術野さえ確保できれば誰でもリーク・ゼロの食道がん手術を実施できる。
  • 教育にもほんのわずかな手間しかかからない。

以下、具体的に見ていきます。


すべての外科医が簡単に食道がん手術を行えるようになる?


佐伯外科門下生はこの10年で100名を超えているにもかかわらず、この10年で食道がん手術の術者を経験したのはたった5人。

天下の佐伯外科で、看板の食道がん手術の術者経験者が10年間でたった5人では、多くのひとの命を救うことは困難です。


高階講師は「スナイプを使用することで、すべての外科医が簡単に食道がん手術を行えるようになります」と主張。

つまり、「スナイプ」を使えば、外科医の技術教育という観点からは、10年かけて佐伯外科が行う特殊教育を2年で達成できるというわけです。

器械を使うことで、患者の身体に過剰な負担をかけるという事実は否めませんが、リークゼロは魅力的です。


高階は限られた名医だけが食道がん手術を行うのではなく、若い医者もどんどん出世できる環境を整えるべきだと考えているのです。

オペ室の悪魔・渡海(二宮和也)は「誰にでもできる手術だったら、誰がありがたがる?あんたがやろうとしていることは、外科の土台を根底から崩すことだ」と真っ向対立。


高階は渡海に向かって「あなたは優秀な手術職人だが、医者ではない」と言い放ちます。

高階がここ、東城大に派遣された真の目的は、技術ばかり追い求めるあまり、医療の本道を見失った佐伯外科を正道に戻すため、でした。


スナイプには、本当に教育はいらない?


高階が東城大にきて5か月、「スナイプ」による手術は11例になり、リークゼロを記録。

しかし12回目の手術で、失敗例が出来てしまいます。


事の発端は佐伯教授が高梨に「そろそろ他の医局員にもスナイプで手術をさせろ」と命じたことでした。

そこで白羽の矢が立ったのが、5年目のオーベン関川。


関川は高階の「スナイプ」手術で3回助手を務めただけで、研修ゼロの状態で「スナイプ手術」を行うことに。

そして佐伯の命令で、高階は手術に立ち会うことはできませんでした。


案の定、手術中にトラブルが発生。

初期研修医・世良(竹内涼真)が「大変です、すぐ来てください!」と高階を呼びにきます。


高階は佐伯から「今、行ったらこの外科教室にお前の居場所はない」と脅されますが、世良の熱意に突き動かされて手術室へ。

世良は「スナイプ」の誤作動によるトラブルと説明していましたが、実際は操作ミスでした。


この一件で、高階は「スナイプ」の技術を教えるのは難しいことに気が付きます。

そして「スナイプ」の教育システムの確立を考えるきっかけとなるのです。


ちなみに高階は、この後も佐伯外科教室を追い出されませんでした。

佐伯は高階に、次の2つの事実の矛盾を教えることが目的で、はじめから追い出すなど考えていなかったのです(逆に、高階が患者を見捨てた場合には追い出していました)。

  • 「スナイプ」を使うためには、今回のような失敗をしたときにリカバリーできる外科技術があることが前提
  • 「スナイプ」が一般化すれば、外科医からそうした技術習得の機会を奪うことになる

つまり、「スナイプ」を使うためには、高度な外科技術の教育が不可欠ということです。

ドラマ『ブラックぺアン』のスナイプとは?



ドラマ『ブラックぺアン』1話では、東城大学医学部心臓血管外科の講師として、帝華大学から高階権太(小泉孝太郎)がやってきました。

ドラマ『ブラックペアン』では原作とは違って、佐伯教授は食道がん手術ではなく心臓手術の権威で、世界でただひとり“佐伯式”と呼ばれる心臓外科手術を行うことが出来ます。


高階講師は、“スナイプ”の目的は“佐伯式”と同じですが、その工程は全く違って、ボタンひとつで誰にでも手術が行えて外科医の腕は全く必要としないことを主張します。


ここでスナイプと佐伯式を比較してみましょう。

佐伯式


佐伯教授が開発した佐伯式では、心臓を動かしたまま僧帽弁(そうぼうべん)の修復を行うことを可能にし、手術時間を大幅に短縮する画期的な手法。

スナイプ


スナイプでは、佐伯式と同じく心臓を動かしたまま、先端からカテーテルを挿入し、壊れた僧帽弁(そうぼうべん)のうえに人工弁を直接置換する方法であり、手術時間は佐伯式の3分の1、人工心肺すら用いません。

日本医学史上、類のない方法と言えます。


こうして比較してみると、佐伯式よりスナイプの方が簡単で患者への身体の負担も少ないイメージですよね?

しかし1話ラストで、高階講師がスナイプ手術した患者さんが急変を起こしてしまい……?

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まとめ

『ブラックぺアン』1話で出てくる「スナイプ」について原作からネタバレしてまとめました。

リークゼロという点では優れている「スナイプ」ですが、使用するのはなかなか困難のようです。

ドラマ『ブラックぺアン』は、2018年4月22日(日)21:00からスタートします。