「陸王」で宮沢紘一(役所広司)の妻・美枝子役を檀ふみが演じています。
穏やかで優しく主人公の紘一を支え続ける美恵子を演じている檀ふみですが、久しぶりの民放ドラマ出演にファンからは「懐かしい!」や「元気な姿を見ただけで嬉しい」などの声も上がっています。
「陸王」で役所広司の妻・美枝子役の檀ふみってどんな女優なのかをまとめました。
檀ふみってどんな女優
10月14日『サワコの朝』放送300回記念として先週に引き続き、ゲストは親友檀ふみさん。2人で出演していたあのCMの懐かしいVTRなどを交えながら今回も2人のトークが炸裂。友情と結婚と、そして今後の人生設計まで大いに語り合います!#tbs #サワコの朝 #阿川佐和子 #檀ふみ pic.twitter.com/orfdF8s51f
— TBSテレビ 宣伝部 (@tbs_pr) October 13, 2017
このツイッター画像は、10月14日に放送されたTBSの番組「サワコの朝」300回記念に出演した檀ふみと司会者の阿川佐和子です。
二人とも還暦を過ぎているとは思えないくらい若く美しい姿ですが、このふたりは長年の親友で共に小説家の父をもち、慶応大学を卒業した才色兼備の女性なのです。
番組の中で、檀ふみがデビュー作の映画「昭和残侠伝 破れ傘」で高倉健と共演した話や、父檀一雄が原作を書いた映画「火宅の人」で檀一雄役の母を演じた時の思い出話を映像と共にしたのですが、その演技は今見ても惹きつけられるくらい上品でしかも魅力的でした。
しかし、一躍女優檀ふみを有名にさせたのは石川達三の小説を映画化した「青春の蹉跌(さてつ)」です。
野心家の主人公・江藤賢一郎(萩原健一)が妊娠した恋人・大橋登美子(桃井かおり)を雪山で腹を蹴りながら母子共に殺し、資産家のお嬢様育ちの田中康子(檀ふみ)と結婚するというストーリーだったのです。
汚れを知らない純粋な娘・庸子を演じる檀ふみに当時、世間の注目が集まりました。
その後、檀ふみは数々の映画やドラマに出演しています。
最近作は2015年に井上真央が主演したNHK大河ドラマ「花燃ゆ」で吉田松陰の妹・文(井上真央)の母親・滝を檀ふみは演じているのです。
その気丈でしかも慎ましい姿がファンから好評を得ていました。
檀ふみは演技が上手なの?
檀ふみの演技の魅力は、彼女の佇まいです。画面の中に居てくれるだけで落ち着くのです。
ですから、彼女は脇役が多くてセリフもそんなにたくさんあるわけではないのです。
主演している連続ドラマはありませんし、役柄も美しく上品なイメージから狭められているように思います。
だからと言って演技が下手なわけでは決してありません。
「サワコの朝」でも語られていましたが、AGFのコマーシャルに阿川佐和子と一緒に出演した時の演技の瞬発力は印象的でセリフも記憶に残っています。
阿川佐和子:「あなたが一番望むものは何?」
檀ふみ :「愛ね」
阿川佐和子:「どうして?」
檀ふみ :「Hの後でしょ」
阿川佐和子・檀ふみ:(爆笑)
まあアドリブではないでしょうけど、女学生風の若い女性が喫茶店で気軽に猥談を語る姿がとても自然で吹き出してしまいました。
CMとは言え、爆笑をとれる女優は演技が上手だと言えるでしょう。
ドラマ「陸王」での役柄は?
檀ふみはドラマ「陸王」で、主人公宮沢紘一社長の妻・美枝子を演じています。美枝子は工場へも行きませんし、紘一と外出することもないので、出演場面は少ないのですが、夫の紘一とこんな会話をする場面があります。
紘一が自宅に戻って、
紘一 :「子供たちは?」
美枝子 :「茜は塾だから、もうじき帰って来ると思う。大地はそのまま友達と飲みに行くって」
紘一 :「そのままって、面接からそのままか」
美枝子 :「うまく行かなかったみたい」
紘一 :「仕方が無いよな こればっかりは。オレが面接受けるわけじゃないし」
中略
美枝子 :「あの子ね、本当はこはぜ屋のこと好きなんじゃないかな」
紘一 :「なんだって」
美枝子 :「好きなんだよきっと、本当は後を継ぎたいと考えていたような気がする。ところが、当然、継いでくれと言われると思っていたのに、あなたは継ぐなっていったでしょう。それで、慌てて仕事を探し始めたんだけど、どこかしっくりこないっていうか………..」
この会話の場面が唯一、美枝子と紘一が二人きりで長く話をするシーンなのですが、女親の子供に対する観察眼が現わされていて面白い場面でした。
普段は、ひたむきに家事に専念し、夫の仕事に口出しをしない美枝子が子供については自分の範疇と考えていることがこの会話から良く解ります。
檀ふみの役柄に母親役が多いのは、こうした細やかな母親の心情を演じるのが巧いからです。
その場面に登場している出演者全員が、檀ふみの備えているそんなオーラに安心感をもらっているのではないでしょうか。
まとめ
檀ふみが司馬遼太郎原作の「功名が辻」で山之内一豊の妻・千代を演じた時のエピソードを、阿川佐和子との共著エッセイ「ああ言えばこう食う」で語っていますが、これが面白いのです。一豊役の宅麻伸とその腹心の火野正平と檀ふみの3人が、ダイエットで賭けをしたそうです。
発端は、檀ふみが演じる山内千代は夫に尽くす賢婦人なので、イメージとして痩せていなければならないと考えてダイエットを決意したのですが、
今まで一人でダイエットに挑戦して成功したことが無かったので、共演している宅麻伸と火野正平を巻き込んで、芝居が終わったらダイエットに失敗した人が撮影所のある京都で一番美味しい店に行っておごるという条件で賭けをしたのだそうです。
その話を知ってか知らずか、檀ふみの“友人”が、断っているのに善意なのか悪意なのか大好きなケーキとウインナーコーヒーをクリームたっぷりめにして、撮影中何度も進めてくれたそうです。
その結果、ふくよか体系の山之内一豊の妻は、へそくりで夫に馬を買ったのではなく、京都の美味しいお店で夫や家臣を肥やしたそうです。
なお、その”友人”が阿川佐和子だとは檀ふみは書いていません。