刑事ゆがみ「ロイコ事件」原作のネタバレと考察。真犯人は横島なのか?

ドラマ「刑事ゆがみ」5話で寄生虫・ロイコクロリディウムをモチーフにした小説や事件について登場しました。

漫画原作でもロイコ事件が登場するのですが、ドラマではオリジナルキャラクターのヒズミが関係しているため、内容も大きく食い違ってくることが予想されます。

しかし、小説「ロイコ(原作ではロイコクロリディウム)」を書いた横島不二実(よこしまふじみ)の思想には共通点がありそうです。


当ページでは、ドラマ「刑事ゆがみ」のロイコ事件について原作を照らし合わせてネタバレと考察をまとめていきます。



ロイコクロリディウムとは?


ロイコクロリディウムはカタツムリの触角に寄生する寄生虫で、実在します。


ロイコクロリディウムが寄生したカタツムリの触角はイモムシのように膨れ上がります。

寄生されたカタツムリは普段は暗いところに隠れているにもかかわらず、ロイコクロリディウムに操られて明るいところに出て行ってしまい、イモムシと勘違いした鳥に捕食され…

捕食されたロイコクロリディウムは鳥の腹の中に卵を産み、鳥の糞を食べたカタツムリに再び寄生していくのです。


刑事ゆがみでは、ロイコクロリディウムの寄生方法になぞらえた殺人事件と犯人の殺人思想が描かれています。

刑事ゆがみの「ロイコ事件」のネタバレ


刑事ゆがみの「ロイコ事件」についてドラマ版と原作版の両面からネタバレしていきます。

ドラマ版のロイコ事件

7年前に花道署管内で一家が襲われて夫婦が殺害。

河合武、河合伊代が死亡。(「かわいいよ」という掛言葉が読み取れる)

生き残ったのは12歳の一人娘。


事件の状況は横島不二実の小説「ロイコ」に類似しており、事件の現場には目が膨れ上がった「カタツムリ」が血で描かれていた。

そして、その事件の犯人は横島不二実であり、小説「ロイコ」と同じ事件を実行し話題を大きくして自作自演の炎上商法を行ったとされた。

しかし、横島不二実は捕まる前に焼身自殺し、被疑者死亡にて書類送検。


弓神は横島不二実を追い詰めたことで県警本部長賞をもらっている。


「12歳の一人娘」はヒズミなのではないかとネット上でも話題となっています。


漫画原作版のロイコ事件

漫画原作では、ロイコ事件の内容が少し異なります。

事件が起こったのは17年前、弓神も若く現在のような適当な性格でなかったころの話。


廃墟で楽しんでいたカップルの女性の遺体が発見され、現場に「カタツムリ」の絵が描かれていたという猟奇的な事件が起こる。

横島不二実は、あからさまにその事件を元にした小説「ロイコクロリディウム」を出版し、批判を受けつつも大きな話題となりベストセラーとなる。

しかし、小説では「5人の若い女性が誰にも知られぬままに殺される」のだが、その小説とそっくりな事件が再び起こり、現場近くから横島不二実のDNAが残された手袋が見つかってしまう。


横島不二実は犯人と目をつけられて逮捕されそうになるが、逃亡して焼身自殺。

世間では犯人死亡で事件が解決したと受け入れられているが、実際は被疑者死亡で不起訴処分により未解決事件となっている。

一部の噂では、「横島不二実の焼死体は別人で、本人は現在も生きている」「裏に別の犯人がいる」と言われミステリーとなっている。


弓神は当時から「横島不二実は犯人ではない」と考えていた。

弓神の予想は、売れない小説家・横島不二実に近づいた真犯人が自らの殺人哲学を小説に描くように仕向け、お互いに利用しあったというもの。

最終的には真犯人によって横島不二実は裏切られ、濡れ衣を着せられたまま自殺に見せかけた焼死体にさせられたのではないか…と。


原作2巻ではロイコ事件から17年経った後の模倣犯が描かれているのですが、犯人の宇津巻精司は過去に小説「ロイコクロリディウム」を読んだことで思想を植え付けられた男でした。(ドラマ版5話ではまったく別の結末が描かれ方がしていましたね)

宇津巻精司は横島と同様、捕まる直前で焼身自殺してしまいます。

後味の悪い終わり方ながら一件落着かと思われましたが、菅能が宇津巻精司と接触した際に「宇津巻の背後に死んだはずの小説家・横島にそっくりな人影を見た」と弓神に言い残し物語は終わります。

その正体は未だ分かっていません。

ドラマと原作の大きな違い

ドラマのロイコ事件は「小説ができあがる→ロイコ事件が起こる」という順序ですが、原作では「ロイコ事件が起こる→小説が描かれる→小説と似たロイコ事件が起こる」という順序です。

また、ドラマ版では「一家(夫婦)の殺害事件」であり、原作では「強姦からの殺人事件」であるという点で違いがあります。

原作側の方が、「猟奇的な欲望」を感じる表現がされています。

小説「ロイコ」の思想

原作にて、小説「ロイコクロリディウム」には現在でも根強いファンがおり、宇津巻精司を始め一部人間の思想に大きな影響を与えた作品です。

恐らく、この思想はドラマでも似たように扱われるのではないかと感じましたので、簡単に説明します。


ロイコの主人公は殺人を犯していくのですが、彼の思想はロイコクロリディウムになぞらえたものでした。

筆者が解釈して3行でまとめたロイコの思想

自分の欲望を満たすため、カタツムリの承認を得ずに無理やり体を支配するのは当然のことである。

生き物にはそもそも善悪などなく、生き残ったものが正義。

誰にも気づかれずにそれを成せば「神隠し」と称えられる。

つまり、人間誰しも「現実に実行すれば社会的に許されない欲望」を持っているが、ロイコで描かれる主人公はその欲望を止めきれない人間であるということ。

欲望を解き放って寄生するがごとく誰にも気づかれずに殺人を犯し、バレずに生き残る…それが快楽。

それをロイコクロリディウムになぞらえているということです。


恐ろしい思想ではありますが、世間で知られている「正義」の曖昧さを突いた考え方であり、人によっては「真理」とも感じうる思想です。

「本当の正義とはなんなのか?」を考えさせられる作品を作り続けている原作者・井浦秀夫らしいテーマとも言えるでしょう。

世の中に「社会のルール」がなければ、弱肉強食の中で生き残った者が正義なのか…いや、たとえルールがあったとしても…?

ドラマ版・ロイコ事件とヒズミの関係


ヒズミはドラマのオリジナルキャラクター。

事件との関わりは5話以降、少しずつ分かっていくでしょう。

5話終了時点でわかる点を整理すると…

  • 弓神はロイコ事件で横島不二実を追い詰めた功績者
  • ヒズミはカタツムリの絵に敏感・見覚えがある
  • ヒズミはロイコ事件について詳しくは知らない
  • 「ロイコの部屋」と呼ばれるサイトが存在し、ヒズミがそれを見る

ヒズミはロイコ事件で生き残った12歳の女の子だという予想が現在のところは濃厚ですね。

過去に弓神との深い因縁があり、過去に大きな事件により声を失ったとあるキャラクターですので、今後の展開に期待できますね。

ロイコ事件の真犯人はオダギリジョー?


第5話のラストシーンでチンピラに絡まれるヒズミを助け、手を差し伸べた長身の男がいました。

メガネとニット帽をかぶっていてわかりづらかったですが、声や表情からオダギリジョーではないかと話題になっています。

第5話のエンドロールでは浅野忠信の表記が「アサノタダノブ」となっていたことから、「オダギリジョー」がカタカナ表記であることになぞらえたのではないかという考察もあります。


オダギリジョーは筆者個人としても日本で有数の演技派だと思っていますので、大いに期待しています。

さてさて、この男は小説家・横島不二実本人なのか、それとも横島不二実を利用した真犯人なのか…まだ原作でも迎えていない結末が気になりますね。


■追記:2017年11月23日
「アサノタダノブ」のカタカナ表記は浅野忠信の遊び心溢れるアイデアだったようですね。

この「リンク」がSNSなどで話題となり、視聴者が多くの推測を寄せた。なお、このカタカナ表記のアイデアは、浅野本人と現場での談笑中に生まれた提案だった。

引用元: 座長・浅野忠信もアイデア提案、『刑事ゆがみ』こだわりのドラマ作り

上記記事はとても魅力的な記事ですので、リンク先にて全文楽しんでみてはいかがでしょうか。

まとめ

ドラマ「刑事ゆがみ」のロイコ事件について、原作からネタバレと考察をまとめました。

ドラマ版ではロイコの思想についてどこまで深堀りした内容になるかが個人的には見どころかと思っています。

地上波による放送なので、原作よりは生々しい描かれ方はしないかもしれませんが、重いテーマとなるのではないでしょうか。