女子的生活 トランスジェンダー と性同一障害の違いは?原作からみきのネタバレも

2018年1月5日(金)からスタートするドラマ『女子的生活』は、志尊淳ふんする“トランスジェンダー女子”が恋に仕事に奮闘する姿が描かれます。

しかしここで思うのが、「トランスジェンダー」って一体何?

「おかま」や「ホモ」や「性同一障害」とどう違うの?……てこと。

この記事ではドラマ『女子的生活』の重要なキーワードである「トランスジェンダー」について他の似た言葉と区別しながら、わかりやすくまとめています。

また、原作『女子的生活』から「トランスジェンダー女子」であるみきについても詳しくまとめました。



「おかま」「ホモ」「性同一障害」って何?

おかま


おかまについて調べてみると、ウィキペディアに以下の記述がありました。

「オカマ」は元々は肛門を意味する江戸時代の俗語であり[1]、転じてア○ルセッ○スをする・される(おカマを掘る・掘られる)こともある女装をする男娼を指し[2]、1980年代頃から女性的な男性全般(非同性愛者含む)への名称(蔑称)になった。

引用元: おかま


ふむふむ……

最初は、女装男娼者の中のそれも肛門性交をよくするタイプへの蔑称だったのが、1980年からは女性的な男性全般(非同性愛者含む)への名称(蔑称)に使用範囲が拡大されたのですね。

どちらにしても“蔑称”に使用されているのが良くないですね……。


ちなみに、非女装の女性的なゲイにも「おかま」という言葉が使われだしたのは、1971年に東郷健が国政選挙に初立候補した時に「オカマの東郷健です」と演説したり、1975年におすぎとピーコが「私たちオカマです」と言ってお茶の間に拡散させたことが発端と考えられています。

「おかま」は名称そのものが差別的なのではなく、おかま=ゲイ(同性愛の人々、日本では特に男性同性愛者を指す場合が多い)という不正確な表現や認識が差別的であると理解できます。

実際、少し女性的な男子が「おかまみたい」と苛められるケースは少なくありません。

日本特有の「男性は、男性らしくなければならない」という性差別意識が背景にあることは否めない状態です。


ホモ


「ホモ」は“ホモセクシュアル(Homosexual)”の略語で、本来は同性愛者という意味で、「ゲイ」と同義語と考えることが出来ます。

しかし「ホモ」という言葉は、同性愛者への差別や侮蔑・中傷の意味合いで使われてきた背景があるため、「ゲイ」とは印象が異なる言い方です。

若い人は特に「ホモ」と呼ばれることを嫌う傾向にあります。


2017年のフジテレビ「とんねるずのみなさんのおかげでした。」30周年記念スペシャルで、名物キャラ・保毛尾田保毛男(石橋貴明ふんるホモの男)が復活したこともツイッターで大きな話題を呼びました。

このキャラは、明らかにゲイの人全般をバカにしていますからね。

自身のセクシャリティに悩んでいるゲイの人が、保毛尾田保毛男を見て絶望したという話もあるほどです。

このようなことからも、マイノリティである同性愛、両性愛の人は自己否定の道を歩み、自身を「笑いにする」か「隠す」しか方法はないと思い詰めたのでしょう。

全ては、メディアや社会が“同性愛は気持ち悪い”という印象を植え付けたからなんです。



トランスジェンダーと性同一障害(GID)の違い


多くの人が、「性同一障害」と「トランスジェンダー」の違いを理解しておらず、同義語だと思っている人も少なくありません。

しかし「性同一障害」と「トランスジェンダー」は同義語ではありません。


まずはウィキペディアの「性同一障害の説明文」を以下に抜粋します。

出生時に割り当てられた性別とは異なる性の自己意識(Gender identity、性同一性)を持つために、自らの身体的性別に持続的な違和感を持ち、自己意識に一致する性別を求め、時には身体的性別を己れの性別の自己意識に近づけるために医療を望むことさえある状態』をいう医学的な疾患名。

引用元: 性同一障害


ふむふむ……

「性同一障害」とは、“身体的性”と“心の性”が違う医学的な疾患名ってことですね。


次に「トランスジェンダーの説明文」を以下に抜粋します。

(英語 Transgender、ラテン語で「乗り越える」や「逆側に行く」を意味する「トランス」と、英語で「性」を意味する「ジェンダー」の合成語)とは、一般に (常にではない) 生まれたときからもっているとされる、伝統的に社会で認識されている役割と同様の規範的な性役割に収まらない傾向を含む、あらゆる個人および行動、グループに当てられる一般用語である。近年の国際的な人権に関する文書においては世界的に承認された普遍的定義はもたないものの、[1] 性同一性が出生時に割当てられた性別と対応しない状態を意味する言葉として用いられる。

引用元: トランスジェンダー


なるほど……

“身体的性”と“心の性”が違うという点ではトランスジェンダーと性同一障害は同じなのですが、性同一障害は“医学的な疾患名”であるのに対してトランスジェンダーはそうではないのですね。

さらに、性同一性障害の人は心と身体の性別を一致させたいと願っているのに対して、トランスジェンダーの人は必ずしもそう思っていないのも大きな違いです。

トランスジェンダーでも、自分の身体の手術を望まない人もいるのです(『女子的生活』の主人公・みきもこのタイプです)。


そして日本では、性別適合手術を受けたり戸籍の変更をするためには、性同一性障害と医師から診断を受けることが条件となっています。

ざっくり言うと、トランスジェンダーの中に性同一障害が含まれるというイメージですね。


トランスジェンダーは特定の性的指向を有していることを必要条件としていないことも特徴です。

つまり、トランスジェンダーの中には異性愛者もいれば、同性愛者、両性愛者、全性愛者あるいは無性愛者もいる可能性があるのです。


かなり難しい話になってくるのですが、トランスジェンダーの人の意識は従来の男性ないし女性の観念には明らかに一致していませんが、両者の間で組み合わさっていたり動いていたりするのです。

この世に誕生した時に性 (通常生まれたときに、彼らの性器に基づく) を与えられたけれども、“間違っている”あるいは“不完全である”と感じているのです。

ま~、複雑なんですよ(;^_^A

『女子的生活』主人公・みきの場合は……



さて、『トランスジェンダー』について基本知識を抑えた上で、『女子的生活』主人公・みき(志尊淳)の場合について見てみましょう。


『女子的生活』原作本の中で、みきは自身を『トランスジェンダー女子』と言っています。

「トランスジェンダー」に「女子」がくっついているわけですから、みきは女の子になりたいわけです。

だから毎日メイクに女装もします。


おっと……、この“女装”もみきにとっては“女装”という概念ではないのです。

なぜなら、女の子にとって女の子の服を着るのは単なる日常に過ぎないから。

みきは、ただやみくもに女装して嬉しいわけではないのです。


みきの恋愛は?


「生まれ変わったら女の子になりたい」

それがみきの嘘偽りない願いです。

だったら恋愛対象は当然男の子かな?と思うわけですが、違います。


みきは女の子になって女の子とカップルになりたいのです。

いわば心はレズビアン。


じゃあ、身体は?


心がレズビアンのみきですが、身体は男なんです。

ホルモン注射したり、手術したりは一切行っていません。

ただ、女装しているだけなんです。


そして女の子を見たらムラムラするし、生理的には放出したら気持ちいいとも感じます。

でも、女の子同士で身体をいじりあうような感覚で愛し合うのが一番興奮するのです。

男性器を憎んでいるというほどではなく、できれば女の子の方がいいなあ……というレベル。

もちろん理想は女の子になって女の子と愛し合うことなのですが……。


それに男性器があれば、好きになった女の子との間にいつか子供も作ることも出来ます。

普通の男の顔をして“偽装結婚”も出来ます。

友達の後藤(町田啓太)は「それ、傍から見たらフツーの結婚だろ。」とツッコミますが(笑)。


つまりみきはゲイやレズになりきれなくて、でもヘテロでもない半端者なのです。

お手本になる人間もいなければ、この先いつまで女装出来るかもわかりません。

なんとも先のわからない人生ですが、みきは「人生、楽しまなきゃ損!」と仕事に恋に勇敢に立ち向かっていくのです。

まとめ

「トランスジェンダー」と「性同一障害」の違い、「ホモ」や「おかま」についてまとめましたが、いかがでしたか?

「ホモ」や「おかま」はやはり差別用語と捉える人が多いですし、同性愛者、両性愛者の人の心を傷つける可能性が高いことが改めてよくわかりました。

そして「トランスジェンダー」の人がいかに繊細で複雑な状況にあるのかもまだ不十分ですが、少し理解出来たと思います。

今後は男とか女とかそういう単純なくくりではなく、全ての人が当たり前に認め合える社会が来ることを願わずにはいられません。

『女子的生活』の主人公・みきの勇敢な生き方は、きっと私たちにたくさんのメッセージを残してくれることでしょう。