『危険なビーナス』原作あらすじ結末をネタバレ!魅力的な義妹との恋の結末は?
16年ぶりのTBSドラマ主演となる妻夫木聡さん演じる主人公が、突然現れた美女・楓(吉高由里子)と失踪した弟の行方を追います。
弟・明人の失踪は、遺産相続でモメる矢神家の誰かの仕業なのか?
謎の美女・楓は本当に弟の妻なのか?
壮大な謎と人間のおぞましい欲望が渦巻く本格的ラブミステリーです。
もくじ
『危険なビーナス』原作とは?
『半沢直樹』に続く10月スタートの新日曜劇場『危険なビーナス』の原作は、東野圭吾さんの同名小説。
【簡単なあらすじ】
独身獣医師・伯郎(妻夫木聡)のもとにかかってきた1本の電話。
「初めましてお義兄様っ」
弟の明人(染谷将太)と最近結婚したというその女性・楓(吉高由里子)は明人が失踪したと言って、伯郎に助けを求める。
原因は、明人が相続する矢神家の莫大な遺産なのか。
調査を手伝う伯郎は、次第に楓に惹かれていくが……。
独身獣医師・伯郎(妻夫木聡)のもとにかかってきた1本の電話。
「初めましてお義兄様っ」
弟の明人(染谷将太)と最近結婚したというその女性・楓(吉高由里子)は明人が失踪したと言って、伯郎に助けを求める。
原因は、明人が相続する矢神家の莫大な遺産なのか。
調査を手伝う伯郎は、次第に楓に惹かれていくが……。
『危険なビーナス』主な登場人物
『危険なビーナス』の主な登場人物をご紹介します。・手塚伯郎(てしま・はくろう):妻夫木聡
主人公の獣医師。独身男。惚れっぽい。
幼少期に父親が亡くなって母親が矢神家の御曹司と再婚。矢神家の一員となったが、矢神の血を引く弟とは異なり、連れ子である伯朗は一族の中で肩身の狭い思いをして生きてきた。そのため、旧姓である手塚姓を名乗り、一族とも縁を切る選択をした。
突然現れた楓の魅力に惹かれつつ、消息を絶った明人の行方を追う。
・八神楓(やがみ・かえで):吉高由里子
伯郎の弟・明人の妻で元CA。
勇敢な性格で、肉感的な美女。
・八神明人(やがみ・あきと):染谷将太
伯朗にとって、母の禎子が矢神康治と再婚してから生まれた弟で異父兄弟。
矢神家の大切な跡取りだが、矢神病院を継がずにIT関連の仕事をしている。
シアトルから楓と帰国した後に置手紙をして行方不明に。
・八神康治(やがみ・やすはる)
明人の父で伯郎にとっては義理の父。
伯郎の母・禎子の再婚相手。
矢神家の御曹司で矢神病院の院長。
・八神康之介(やがみ・こうのすけ)
康治の父で名誉欲が強いエゴの塊。
・八神禎子(やがみ・さだこ)
伯郎と明人の母。
謎の変死を遂げた。
・八神勇磨(やがみ・ゆうま):ディーン・フジオカ
矢神家の養子で若手実業家。
昔から伯朗のことを見下している。
・陰山元美(かげやま・もとみ):中村アン
伯朗が副院長を務める池田動物病院の看護師で、前の職場はセクハラを受けて辞めた。
クールビューティーだが、言動は辛辣。
伯郎が以前自分のことを好きだったことを知っている。
『危険なビーナス』見どころ
『危険なビーナス』見どころです。➀主人公が惚れっぽい
伯郎は、弟の妻の楓(吉高由里子)にほぼ一目惚れ。
弟の妻と知りつつ、ぐいぐい惹かれていきます。
恋敵?の勇磨(ディーン・フジオカ)が現れてからは、2人が会っている時間は仕事も手につかない、その結果夜も眠れなくて仕事中に居眠りもする始末。
そう、まるで中学生が初恋に悶々としているような感じ。
やがて伯郎は自分は明人を心配しているのではなく、楓に惹かれたから動いているではないか?と思い始めます。
そこはちょっと酷い兄貴かも(笑)。
➁楓が魅力的だが怪しい
楓が、夫が失踪中とは思えないほど快活で魅力的。
その類まれな美貌とプロポーションは、伯郎だけでなく勇磨(ディーン・フジオカ)の目も引いてしまいます。
そして楓は「明人くんのことなら何でもわかっています。だってずっと一緒にいるんですから」と自信満々。
さりげなく明人が失踪した日の矢神家の人々のアリバイを調べるなど、抜け目がない。
遺産相続争いに目の色を変える矢神家の連中を相手に、嘘や駆け引きも行います。
そして信じられないほど力持ち?
どう考えてもタダモノではない彼女の正体は?
『危険なビーナス』原作ネタバレ
『危険なビーナス』を原作ネタバレします。伯郎と異父弟・明人
主人公で獣医師・手島伯郎(妻夫木聡)は、幼い時に父・一清を脳腫瘍で亡くした。
母の禎子は家計を支えるために働き、伯郎は叔母の順子・叔父の憲三の家に預けられた。
伯郎が、父・一清について強烈に覚えているのが、死の間際に描いていた眩暈がするような幾何学模様の絵。
売れない絵描きだった父だが、その絵だけは作風が違って強烈だったのだ。
しばらくして伯郎の母・禎子が、矢神家の御曹司で医者の矢神康治と再婚。
その後、伯郎にとって9歳差の異父弟・明人(染谷将太)が生まれた。
矢神家の正当な血筋を受け継ぐ明人は、英才教育を施されて天才的能力を発揮した。
一方、矢神家と血の繋がりのない伯郎は、常に居場所がなかった。
伯郎は、大学進学を機に一人暮らしをして父の手島姓を名乗って獣医になった。
明人は医者になって矢神病院を継ぐかと思われたが、IT関連の仕事に就いた。
伯郎が大学4年生の時に、母の禎子が実家である小泉の家で変死した。
禎子の死の状況
・第一発見者は、禎子の妹の順子。
・浴槽の中で後頭部を強打した後に溺死(と警察は判断した)。
・浴槽の中で後頭部を強打した後に溺死(と警察は判断した)。
明人は、用心深い性格の禎子が玄関のチェーンを閉め忘れていたことから、他殺を疑っていた。
突然現れた義理の妹
「初めましてっ。お義兄さまっ」
伯郎(妻夫木聡)のところに、突然見知らぬ若い女性から電話がかかってきた。
彼女の名前は、矢神楓(吉高由里子)。
伯郎の弟・明人の妻ということだが、伯郎は明人が結婚していたことすら知らなかった。
実際会ってみると、楓はカーリヘアーに長いまつげの美女。
黒い革ジャンが鋭い光を放っている。
明人と楓は去年シアトルで2人だけで結婚式を挙げたが、明人の父・康治の容態が悪いので急遽帰国したという。
ところが明人は以下の書き置きを残して、もう何日も行方不明とのこと。
「ミッションがあるので出かけます。
もしかするとしばらく戻らないかもしれない。
その場合は父の見舞いは一人で行ってください。
明人」
伯郎は、楓に頼まれて康治のお見舞いに付き添う。
矢神家の連中も楓の存在を知らないのだから、仕方がない。
康治の病室には康治の妹・波恵が付き添っていて、意識朦朧の康治は「明人に、背負わなくていいと……」とだけ言った。
これは、矢神家を背負わなくていいという意味なのか?
明人の部屋の謎
その後、伯郎は楓に招かれて明人のマンションへ。
部屋には、禎子が風呂場で溺死した小泉の家の写真が写真立てに飾られて、裏側に鍵がセロハンテープで止められていた。
禎子の死は明人にとっていい思い出ではないのに、どうしてこんな物があるのか?
それに禎子の死後、小泉の家は取り壊されて更地の写真も送られてきたはず。
伯郎は、ディスクに入っていたCDの音楽を聴く。
単調なようで、複雑な旋律が組み込まれている不思議な曲だ。
楓は「この曲を作ったのは、康治氏の患者のサヴァン症候群の人です」と言った。
楓は明人から、康治がサヴァン症候群の権威だと聞いていた。
そして康治と禎子が知り合ったきっかけも、康治が一清が描いた絵を画廊で見たからということだった。
しかし伯郎が知る限り、一清は平凡な父だった。
POINT!・サヴァン症候群とは、自閉症者が言語や対人関係の能力で著しい障害がみられる一方で、芸術分野や知的分野で優れた才能を発揮すること。
・ダスティン・ホフマン主演の映画『レインマン』で広く世間に知られることになった。
・ダスティン・ホフマン主演の映画『レインマン』で広く世間に知られることになった。
遺産相続会議
矢神家の一族が集まって、遺産相続について話をすることに。
伯郎は部外者だが、明人の代理として楓と一緒に参加することに。
楓は「明人くんは仕事で忙しくて私だけ先に帰国しました。電話もあまり通じません」と大嘘をついてニッコリ。
楓は、明人の失踪には矢神家の連中が関わっていると睨んでいた。
その理由は、明人が彼らに不信感を持っていたから。
ここで矢神家の一族についてざっと簡単に紹介。
・矢神波恵 康治の妹。康治の看護を担当。
・支倉祥子 康治の次妹。矢神の家を出て支倉姓に。
・支倉隆司 祥子の夫。『八神園』を相続して経営。
・支倉百合華 康治の姪。祥子と隆司の娘。ブックデザイナー。
・矢神牧男 康治の弟。泰鵬大学医学部の偏屈な研究者。
・矢神佐代 先代である康之介の愛人で養子。高級クラブのママ。
・矢神勇磨 佐代の息子で養子。青年実業家。
・支倉祥子 康治の次妹。矢神の家を出て支倉姓に。
・支倉隆司 祥子の夫。『八神園』を相続して経営。
・支倉百合華 康治の姪。祥子と隆司の娘。ブックデザイナー。
・矢神牧男 康治の弟。泰鵬大学医学部の偏屈な研究者。
・矢神佐代 先代である康之介の愛人で養子。高級クラブのママ。
・矢神勇磨 佐代の息子で養子。青年実業家。
肝心の遺産だが、先代の康之介は全ての遺産を明人一人に譲るという遺言書を残していた。
それに「待った」をかけたのが康治で、遺留分など法律的に権限のある部分を一族で等分した。
この時点では当時まだ子供だった明人は何も受け取っておらず、明人がそれなりの年齢に達したら八神邸を相続する予定だった。
しかしこの場に明人はいないので、屋敷以外の物(康之介のコレクション)の財産分与を話し合うことに。
掛け軸や壺、絵画など100万円以上の値打ちものもあり、全部でざっと1億円以上。
これをどう分配するかは至難の業だ。
そんな中、変人・牧雄だけは、金目の物には目もくれずに康治の所有物に目を光らせた。
(康治のマンションを引き払ったため、ここには康之介の遺品以外に康治や禎子の荷物もある)
牧男は、以前康治と一緒にサヴァン症候群の研究をしていたからそれに関する資料や絵は自分に権利があると主張。
伯郎は、禎子の遺品を見る。
しかし父・一清が死の間際に描いた幾何学模様の絵はなく、一清の絵の写真を集めたアルバムからも剥がされていた。
しかし絵のタイトルが「寛恕の網」であることだけはわかった。
伯郎は禎子の遺品が入った段ボール箱ごと持ち帰ることにしたが、佐代が「その箱の中に禎子さんの遺品の全てが入っているとは限りませんよ。他のどこかに価値のある物があるかもしれません」と言った。
最後に楓が、明人の意見を代弁して皆に伝えた。
「亡き祖父の意思を継いで屋敷とそれに付随する全てを相続する。今までに不正がなかったか確認し、不正が判明した場合には返還を要求する」
これには、矢神家の連中は牧雄以外は全員「明人にすぐ電話しろ」と怒り狂った。
実は明人はこんなことを言っておらず、楓の完全オリジナル(つまり嘘)。
楓は、矢神家の連中を煽って本音を聞き出そうとしたのだ。
勇磨が楓に接近
勇磨(ディーン・フジオカ)が、楓をディナーに誘ってきた。
伯郎は「危険だ」と止めるが、楓は誘いに応じた。
楓は明人の行方を探るためなら何でもするつもりなのだ。
楓:「あの人は明人くんが失踪しているのを知っていて、何食わぬ顔で近づいてきたのかも」
伯郎:「単なる助平心かもしれんぞ」
勇磨とは?
・康之介の養子で実業家。
・矢神家を乗っ取ることを考えていて、伯郎とは昔から折り合いが悪い。
・従兄妹の百合華にもちょっかいを出すなどスケコマシ。
・矢神家を乗っ取ることを考えていて、伯郎とは昔から折り合いが悪い。
・従兄妹の百合華にもちょっかいを出すなどスケコマシ。
心配でたまらない伯郎は、その夜楓に電話。
なんと楓は食事の後に勇磨を部屋に上げていて、伯郎は急いで楓のマンションへ。
勇磨はちょうど帰るところだったが、伯郎にイヤミを言うなど相変わらず嫌な奴だ。
勇磨が帰った後、伯郎は楓に勇磨に何かされていないか問い詰める。
楓が「(明人くんのためなら)私は何でもする覚悟です」と言うと、伯郎はつい「キミは本当に明人が戻ってくると思っているのか。死んだ可能性も……」と言ってしまい、楓の強烈なビンタを食らうことに。
翌日、楓は「私は愛のないS〇〇はしません」と謝ってきた。
そして「お義兄さまは明人くんが言っていた通りの人ですね」とニッコリ。
意外にも、明人は伯郎のことを高く評価しているらしい。
兄貴の心は真っすぐなだけじゃなくてあたたかい。自分を犠牲にしてでもみんなに幸せになってもらいたいと考えるほど。
伯郎も明人の消息について無神経なことを言ったことを謝ったが、楓は既に覚悟ができているようだった。
昨日のデートで、勇磨は楓に明人のことをしきりに質問したらしい。
・明人が今の仕事を始めた時、資金はどこから調達したのか?
・母親から何か特別なものを譲り受けてないか?
(そう言えば、勇磨の母の佐代も禎子の遺品に価値のあるものがあるかもしれないと言っていた)
更地に家が残っていた!
伯郎は、小泉の家が取り壊されて更地になった後が不明であることに気付く。
(叔母の順子によると禎子名義なので、康治だけでなく伯郎や明人にも土地の相続権があるはず)
伯郎と楓が、小泉の家があった更地を見に行くと、そこは更地ではなく小泉の家がまだ残っていた!
矢神家で受け取った荷物の中に、小泉家に関するものがひとつもなかった理由が判明した。
小泉家がまだ取り壊されず残っていて、そこに保管されていたからだ。
管理人のおじいさんが現れて、康治から家の管理を任されて謝礼まで受け取っていると言った。
康治は、更地にした写真を捏造して皆に送ってまでしてなぜ嘘をついたのか?
そして、明人もこの家の存在を知っていて時々来ていた。
POINT!明人と康治だけが小泉の家が残っていることを知っていた。
楓は、勇磨が言っていた明人が受け継いだ高価なものとはこの家ではないかと言い出す。
「このボロ家が?」と驚く伯郎。
明人は母親の死に疑問を持っていた
明人がこの家を残したかった理由は、母親が殺された証拠物件として残したかったのではないか?
どちらにしてもこの家が残っていたことは大きな理由があるはずだ。誰にも話すわけにはいかない。
伯郎は、小泉の家からはアルバムだけ持ち帰った。
叔母の順子にすぐにも見せたいが、家が現存することは話せないからもう少し後になるだろう。
翌日伯郎は病院に行って、康治に面会。
小泉の家が壊されたと嘘をついた理由や禎子に何をあげたのか聞くが、康治の答えは「明人、恨むな」(質問の答えかどうかもわからない)だった。
明人が憎んでいる人物とは、禎子を殺した犯人か?
佐代の正体
伯郎は、佐代がママを務める銀座のクラブへ。
佐代の「気を付けた方がいい。それが禎子さんの荷物遺品の全てとは限らない」の意味を問いただすためだ。
佐代の返事は、大した意味はなく、矢上家の財産は実はほとんと赤字状態で価値がないから、このドサクサに紛れて禎子の荷物で価値があるものを盗む人間もいるかもというものだった。
伯郎はいったん帰り出すが、何かを思い出して佐代の店へ戻る。
禎子の高校時代のアルバムに、佐代そっくりの女性が写っていたことを思い出したのだ。
伯郎が睨んだ通り、禎子と佐代は高校の同級生だった。
禎子と康治を引き合わせたのも佐代だった。
当時夫の一清が脳腫瘍で錯乱状態に陥ることで悩んでいた禎子が佐代に相談、佐代がそのことを何気なく康之介に相談すると、康之介が康治に相談してはどうかと禎子を康治に引き合わせたのだ。
こうして、一清は泰鵬大学で康治による特別な治療を受けることになった。
治療の効果はあったようで、一清が錯乱することはなくなった。
しかし見た目には快方に向かっているようで、実は脳腫瘍は悪化していた様子。
一清はその後間もなく死亡した。
康治たちはこの事実を隠した。
その理由は、この治療が正式に認められたものではない“人体実験”だったから。
この“人体実験”はそもそも康之介の名誉欲から始まった。
矢神家は先祖代々医学会に功績を残していて、康之介は脳の分野で画期的な発明をしようとした。
康治や牧推が脳の研究を始めたのは、康之介の影響。
その実験はその後どうなったのか。
2度と同じ過ちを繰り返したくないと思った康治は、人体実験をやめて動物実験に切り替えた。
CHECK!・幼い伯郎は、康治が猫の脳を露出させて動物実験をしているのを目撃。
・それ以降、猫の脳みそを連想するからという理由でカリフラワーが食べられない。
・現在の伯郎は猫を触っていると心底落ち着く。獣医になったのはあの時のトラウマかもしれない。
・それ以降、猫の脳みそを連想するからという理由でカリフラワーが食べられない。
・現在の伯郎は猫を触っていると心底落ち着く。獣医になったのはあの時のトラウマかもしれない。
佐代が伯郎に意味ありげに言った禎子の遺品とは、禎子が「貴重過ぎて手に余るほどのものを康治からもらった」と言った物のことだった。
佐代はそれを「幸せな家庭」と解釈したが、禎子はそれ以上説明しなかった。
明人と従兄妹・百合華の関係
百合華は、明人とは社会人になってからも何度も遊んだりしていたとのこと。
明人がシアトルに行く前にも2人きりでデートしていて、百合華の方は明人と従兄妹以上の関係になってもいいと考えていたという。
(しかしその頃には明人は楓と付き合っていたので、百合華はフラれたことになる)
百合華は、明人の結婚について共通の知人が誰も知らないことをおかしいと思っていた。
そして楓は明人のタイプではないと主張。
百合華は明人と電話が繋がらないことにも不信感を抱いていて、「本当に明人くんと電話で話しているんですか?」と伯郎に詰め寄る(明人は失踪しているので電話が繋がらないのは当然)。
助手の影山(中村アン)が「先生は数日前に弟さんと国際電話で話してました」と嘘の証言をしてくれて、伯郎は冷や汗ものでなんとか乗り切る。
しかし百合華が相当怪しんでいることは事実。
佐代も楓のことを「タダモノではない」と怪しんでいた。
伯郎は「いっそ明人の失踪を矢神家の連中に話したらどうか」と楓に提案するが、楓の返事は「それは出来ない」だった。
楓は明人の知り合いの誰にも紹介されていないと言うが、そんなことが有り得るのだろうか?
フラクタル図形と後天性サヴァン症候群
伯郎が矢神家で見た絵の写真を叔父の憲三に見せたところ、フラクタル図形であることが判明。
なんと楓がそれと全く同じ図形をネット上のブログで発見して、早速連絡。
CHECK!フラクタル図形とは、一部が全体と自己相似な構造を持っている図形。
ブログの主は、死んだ男性・伊勢藤次郎の娘・仁村香奈子だった。
香奈子の話
・藤次郎はある日事故で脳に損傷を負って入院、フラクタル図形を描くようになった。
・ある日康治が訪ねてきて、父のことを後天性サヴァン症候群と言った。
(後天性サヴァン症候群は、世界にほとんど知られていない症例で論文もないに等しい)
・康治はある出来事がきっかけでそうした症例の可能性に気付き、同様の患者を探しているのだと言った。
・ある出来事とは、康治が全く別の目的で一人の患者の治療をしたらそういう症状を示した。
・その人物は絵描きだったが、治療を始めてから全く違うタッチの絵を描くようになった(これは伯郎の父・一清のことで間違いない!)。
・その後矢神は、香奈子の父・藤次郎に検査を行った。
・藤次郎は、康治の世話になってから4年ほどで死亡。
・ある日康治が訪ねてきて、父のことを後天性サヴァン症候群と言った。
(後天性サヴァン症候群は、世界にほとんど知られていない症例で論文もないに等しい)
・康治はある出来事がきっかけでそうした症例の可能性に気付き、同様の患者を探しているのだと言った。
・ある出来事とは、康治が全く別の目的で一人の患者の治療をしたらそういう症状を示した。
・その人物は絵描きだったが、治療を始めてから全く違うタッチの絵を描くようになった(これは伯郎の父・一清のことで間違いない!)。
・その後矢神は、香奈子の父・藤次郎に検査を行った。
・藤次郎は、康治の世話になってから4年ほどで死亡。
康治は、ほかにも藤次郎のような症状を示す人の作品を収集していたとのこと。
香奈子が最後に康治に会ったのは、藤次郎の葬儀の時。
康治は「おかげで自身の治療と後天的サヴァン症候群に関係があることが証明できた」と言っていた。
香奈子の話を聞いた伯郎と楓は、以下の結論に辿り着く。
・鍵は康治氏の研究=一清に施したという脳への電気刺激治療にあった。
・脳腫瘍による錯乱を防止するためにやったことだが、思わぬ副作用=後天性サヴァン症候群の発症があった。
・つまり人為的に天才脳が作り出せるという画期的な発見。
伯郎は「しかしそれを康治氏は発表していない。それどころか研究自体を辞めた。何故なのか」と首をかしげる。・脳腫瘍による錯乱を防止するためにやったことだが、思わぬ副作用=後天性サヴァン症候群の発症があった。
・つまり人為的に天才脳が作り出せるという画期的な発見。
ここで楓が「もしその研究記録が残っていたらすごい価値があるのではないでしょうか」と言う。
楓が勇磨と会ったきり連絡がつかなくなる
その夜、楓が勇磨に会いに行くと言ったきり電話もメールも繋がらなくなった。
伯郎は、楓が勇磨に酔い潰されてラブホテルへ連れ込まれたのではないかと不安になる。
楓から電話がかかったのは翌日の午後7時。
「ごめんなさーい。バッテリーが切れていることに気付かなかったです。それに色々やることがあって」
午後8時に楓は勇磨と一緒に病院に現れた。
なんと、勇磨は明人の失踪が嘘だということに気付いていた。
(海外に伝手がある勇磨は明人がシアトルから新妻と2人で帰国した事実を突きとめていたのだ。もちろん明人だけがシアトルに引き返したという事実もない)
勇磨に問い詰められた楓は、ほぼ全て勇磨に話して協力を仰いだのだった。
勇磨は「(明人が失踪中という)ヒミツは守る。俺は商売人だから」。
勇磨が提示した見返りは、後天性サヴァン症候群。
ノーベル賞には興味はないが、画期的な発見は金になるから。
康治の研究の全容
康治の研究の全容については、助手をしていた牧雄が教えてくれた。
以下、牧雄の話。
康治の元々の研究テーマは、脳への電気刺激による痛みの緩和、意識の覚醒。
そもそも当時の康治は、後天性サヴァン症候群の存在は知っていても、それが後天的に発症する可能性など想像もしていなかった。
そんな中、康治は康之介から一清のことを聞いたのだった。
康治が一清に行ったことは、あくまでも治療だった。
一清は脳腫瘍のせいで頻繁に錯乱状態を起こすようになっていたが、脳内のニューロンが誤った情報をやり取りしていることが原因と考えられた。
だから外部から電気刺激を与える治療を行った。
結果を言えば、一清は錯乱を起こさないようになって治療は成功したかに見えた。
しかし思わぬ副作用が現れた。
一清の頭の中に奇妙な図形が浮かんでは消えて、人間業とは思えない絵を描いたのだ。
康治は仮設を立てた。
脳腫瘍による脳の一部損傷と電気刺激によるニューロンの情報改変が、生まれつき脳に障害のあるサヴァン症候群と類似した症状を示したのではないか、と。
この仮説が正しいなら、理論的には意図的にサヴァン症候群(天才脳)を引き起こせることになる。
しかも生まれつきの患者は、代替として知的障害を抱えているが、後天的ならばそれを回避することも可能だ。
実に画期的な発見だが、康治はこの研究について誰にも話さなかった。
知っていたのは研究を手伝った牧雄だけで、誰にも言うなと口止めされた。
もし名誉欲に取り付かれた康之介に知られたら、研究にブレーキが効かなくなるからだ。
そんな矢先に一清が亡くなった。
康治はその原因が電気刺激治療にあるのではないかと疑った。
そこでその因果関係が明らかになるまで、人体への施術は一切見合わせることに。
代わりに動物実験を開始したが、動物が天才脳を取得したかはわかりにくかった。
そこで康治は全く別の発想でデータを収集することにした、後天性サヴァン症候群の実例を探し始めたのだ。
事故あるいは病気によって脳を損傷したせいで、それまではなかった特殊な才能を発揮した例が必ずあるはずだと考察してのことだ。
例のフラクタル図形を描いた仁村香奈子の父親も、その一人だ。
しかし康治は、ある日突然後天性サヴァン症候群の研究から一切手を引くと言い出した。
禎子と結婚する少し前のことだ。
牧雄は康治から「お前は何も知らなかったことにすればよい」と言われていた。
牧雄にとって康治の命令は絶対だから、逆らえなかった。
牧雄は、康治が倒れてからずっと研究データを探しているがみつからない。
康治が処分したのか?とも考えたが、研究者は自分の研究を捨てられないのが本能だ。
自分の手元に置いておけないとなれば、愛妻の禎子に託したのではないか?
牧雄の話は以上。
伯郎、楓、勇磨は、小泉家に行ってその研究データを探すことに決める。
しかし前回楓と伯郎は家の中をくまなく探して何もなかった、禎子がどこかに意図的に隠したということか。
伯郎はふと思いついて、叔母の兼岩順子の家へ。
アルバムが見つかったと言って順子に見せながら「小泉の家に秘密の隠し場所とか知らない?」と聞くが、順子は「知らない」。
もし小泉家に秘密の隠し部屋があるなら順子が知っているかもしれないという読みは外れてしまった。
伯郎が楓に愛の告白?
明日診察がある伯郎は、今夜のうちに小泉家に行って研究データを探そうと考える。
(明日楓と勇磨に任せてもいいが、2人きりにしたくない)
伯郎が楓のマンションにそのことを伝えに行くと、なんと勇磨がいた!
伯郎はズカズカ部屋に上がり込んで「君は明人の妻なんだぞ!こんな時間に男と2人きりでいるなんて非常識だと思わないのか」と怒鳴った。
しかし2人は浮気していたわけではなく、明人が撮ったと思われる小泉家の内観と外観の写真を見ていただけだった。
3人は今から小泉の家に行くことに。
楓は、伯郎と勇磨のどちらの車に乗るか尋ねたら、伯郎を選んでくれた。
伯郎:「さっきはすまなかった」
楓:「私こそ勇磨さんはもう帰ったなんて嘘ついてごめんなさい」
伯郎:「君が謝ることはない。明人を見つけるために必死なんだろう。もし明人はもう戻らないと諦めなきゃいけない日がきたら、僕は君の力になりたいと思う」
楓:「ありがとうございます、心強いです。でもお義兄さまはもう十分力になってくれています」
伯郎:「礼なんかいらない。僕が君の力になりたいのは単なる善意からなんかじゃなく」
楓:「お義兄さま。今夜はそこまでにしておいていただけませんか。その続きを聞くのは今ではないと思いますので」
あなたの気持ちはとっくにわかっています、と見透かされた気がした。楓:「私こそ勇磨さんはもう帰ったなんて嘘ついてごめんなさい」
伯郎:「君が謝ることはない。明人を見つけるために必死なんだろう。もし明人はもう戻らないと諦めなきゃいけない日がきたら、僕は君の力になりたいと思う」
楓:「ありがとうございます、心強いです。でもお義兄さまはもう十分力になってくれています」
伯郎:「礼なんかいらない。僕が君の力になりたいのは単なる善意からなんかじゃなく」
楓:「お義兄さま。今夜はそこまでにしておいていただけませんか。その続きを聞くのは今ではないと思いますので」
これでは、告白する前から相手にバレバレだ。
「後天性サヴァン症候群の研究データ」が見つかる
小泉の家に到着した3人は、研究データ探しをスタート。
間もなく、勇磨が天井裏から「後天性サヴァン症候群の研究」と書かれた書類を発見。
しかし首をかしげる伯郎。
前回天井裏はくまなく探したはずなのに……。
3人は帰り始めるが、伯郎は何かを閃いて小泉家に戻る。
楓も「お義兄さまのそんな悲しそうな顔、初めてみました」と後を追いかける。
家に入ると、どこかで見たような革靴が脱いであった。
ソファに座っていたのは、兼岩憲三だった。
真犯人
天井裏に研究データを忍ばせた犯人は、伯郎の叔父で数学者の憲三だった。
伯郎がアルバムが見つかったと持ってきたことで、もしかして小泉家がまだ残っているのかもしれないと察した憲三は、小泉家に先回りして餌(研究書類)を置いたのだった。
餌を見つければ、伯郎たちはもう2度と家探ししないと思ったから。
憲三が誰にも渡したくなかった物とは、研究データではなく16年前に見つけられなかった一清の絵「寛恕の網」だった。
16年前と言えば、禎子が死んだ年だ。
憲三は一清と親しかった。
一清が脳腫瘍に苦しむ姿を見て心配していた。
そんなある日※『ウラムの螺旋』を見た一清は、興奮。
頭の中に現れては消えた図形がようやく形になったと喜び、それまでの彼の作風とは全く違う絵を描き始めた。
それが「寛恕の網」(ネーミングは一清のユーモア。ウラム、日本語の恨むの反意語として寛恕をつけたらしい)。
ウラムの螺旋とは
・精緻な図形のような不思議な絵。1963年に数学者のスタ二スワフ・ウラムによって発見された。
・康治の「明人、恨むな」はウラムの螺旋のことだった。
・康治の「明人、恨むな」はウラムの螺旋のことだった。
「寛恕の網」は「ウラムの螺旋」とは違い、曖昧なところが一切なく完璧な法則性を保っていた。
素数の分布に法則性があることを示すもので、これは数学界だけでなく人類にとって大変なことだった。
憲三は、絵が完成したらどうなるのか、怖いような楽しみなような気分で待っていた。
しかしある日、一清が絵を描くのをやめると言った。
理由を聞くと、恐ろしくなってきたということだった。
無我夢中で筆を動かしてきたが、不意に人間が踏み入れてはならない領域に足を踏み入れている気になってきたそうだ。
素数は無限にあるから「ウラムの螺旋」と同様、「寛恕の網」も元々永遠に完成しないものだった。
いずれはどこかで辞めるしかない。
そんな中、一清死亡。
そして「寛恕の網」もどこかへ消えてしまった。
それから十数年が経過。
もう絵のことを忘れかけていた憲三を刺激したのは、明人が持ってきた写真。
それはあの「寛恕の網」の写真で、明人は禎子のアルバムから剥がしてきたと言った。
禎子の死の真相
憲三は、ひょっとしてあの絵はまだ存在しているのではないか?と思うようになった。
禎子が意図的に隠したとしたら、小泉の家しかない。
鍵は順子のがあったので、憲三は小泉家に侵入して絵を探すことにした。
しかし見つからなかった。
代わりに研究報告書が見つかった。
その後も探し続けていると、遂に禎子に見つかった。
禎子は「順子に知らせる」と電話をかけようとした。
そして「順子に憲三を引き渡した後、絵を始末する」と言った。
憲三は「あれは人類の宝だ。それだけはやめてくれ」と懇願したが、禎子は聞き入れなかった。
2人はもみ合い、禎子は床で頭を打って倒れた。
禎子はかすかに息があったが、憲三が真っ先に考えたのはこのまま禎子を置いて逃げること。
しかしもし禎子が目を覚ませば、自分は破滅する。
憲三が出した結論は、人として許されないものだった。
禎子を湯船に寝かせて完全に水を張ったのだ。
犯人の動機
憲三がこの家にいた理由は、伯郎の推理通り。
憲三は、伯郎たちが研究データを見つけて帰ったと思い、「寛恕の網」を探すためにやって来たのだ。
伯郎は「そこまでしてあの絵がほしかったのですか」と聞く。
すると憲三はうっとりとした表情で話す。
「あの絵には真理が描かれている。あの絵を解析すれば、素数とは何かという数学最大の謎が解かれ、長年の難問であるリーマン予想にさえ決着がつけられるかもしれんのだよ」
楓:「だから明人くんから横取りしようとしたのですか、彼を監禁して」
伯郎:「明人を監禁したのですか」
憲三:「心配いらん。手荒なことはするなと言ってある」
伯郎:「あいつの失踪には矢神家がからんでいると思ったのにまさかおじさんとは」
憲三は、小泉の家が更地になったなら、絵は康治が持っていると思っていた。
康治が亡くなれば、遺産は全て明人君のところにいく。
明人は数学だけでなくコンピューターの才能もあるから、「寛恕の網」を見たらそこに隠されている秘密に気付くのではないかと思った。
それを防ぐ方法はただ一つ。
明人より早く「寛恕の網」を見つけることだった。
見つけさえすれば明人の手に入るのを阻止できる。
なぜなら「寛恕の網」の正当な継承者は一清の息子である伯郎だから。
失礼ながら、伯郎にあの絵の価値がわかるとは思えない。
それに一清の絵は全て兼岩家で保管しているから、「寛恕の網」も来ると思った。
しかし誤算が次々に出てきた。
明人の嫁が現れるし、康治はなかなか死なない。
極めつけはこの家の存在。
憲三は「今夜絵を見つけられなければこうするつもりだった」とガソリンをまいてライターで火をつけた。
「早く逃げなさい、僕はここで死ぬ」と言ったが、楓は体重50㎏の憲三をやすやすと担いで外へ連れ出した。
(楓の息は少しも乱れておらず、アナウンサーのような口調で119番に通報)
ふと思いついた伯郎は再び燃えさかる家に戻り、襖の中から「寛恕の網」を発見。
そんな伯郎の手を掴んで「絵なんかどうでもいいじゃないか。早く逃げるんだ」と言ったのは、明人だった。
明人失踪の真相
明人は、仕事の関係で昨年の夏からシアトルにいた。
康治の病気は心配だったけどやむを得なかった。
最近になって波恵から、父さんの具合いが悪いと聞いて急いで帰国した。
成田空港につくと、警察官2人が待ち構えていた。
そして思いがけないことを言った、明人を拉致して監禁しようとしている「コーディネータ」と名乗る人物がいると。
警察が考えたのは、明人を実際に拉致監禁したフリをして相手の出方を探る作戦。
明人は母親の死の真相を調べてもらうことを条件に、警察に協力。
偽の書き置きを残して姿を消したのだった。
楓の正体
楓の正体は、警察官で潜入捜査官。
つまり明人と楓は、何の関係もなかったのだ。
しかし勇磨がシアトルで調査して、明人と楓が帰国した事実を掴んだと言っていた件はどうなのか。
真実は、勇磨は現地調査で明人が独身であることを掴んで楓に詰問してきたのだった。
楓は勇磨に全てを打ち明け、協力を求めた。
もちろん勇磨が「コーディネータ」である可能性も含めての決断だった。
驚くべきことに、勇磨は「明人のために一肌脱ぐ」と快くOKしたとのこと。
昨夜は明人、楓、勇磨の3人で今後の対策を練っていたのだった。
そこへ伯郎がやってきたから大慌て。明人はシューズインクローゼットの中に隠れたというわけだ。
楓の蛇の結婚指輪はキャラクターつくりの小道具だった。
伯郎は、今までどれだけこの指輪に惑わされたことか。
伯郎は楓に聞きたいことが山ほどあったが、彼女にとっては任務だったのだ。
「よくわかった。お勤め、ご苦労様でした」
皮肉ではなくそう言った。大変な仕事だったのだと思った。
小泉の家が残っていた理由
小泉の家を残してくれと康治に頼んだのは、明人だった。
理由は、いつか禎子の殺人の立証に役立つかもしれないから。
しかし康治の理由は違った。
あの家には禎子の大切なもの=「寛恕の網」があるから。
更地の写真をわざわざ送ったのは、犯人を油断させるため。
でも伯郎が家の存在を知らないままでは捜査は進行しない、だから楓に誘導してもらった
捜査を進めるうえで、明人が知っていることを全て伯郎に知ってもらう必要があったから。
エピローグ
その2日後、明人が見守る中、康治が死亡。
明人は、たとえ康治が死んでも監禁の狂言に付き合う覚悟だった。
母親の死の謎を解ける最後のチャンスだったから。
明人:「兄さんにとっては罪な作戦だったみたいだけどね。(楓は)美人だし肉感的で兄さんのタイプだ」
伯郎:「何を言ってる。お前なんかに俺の好みが」
百合華が現れて明人に手を絡めたが、明人もまんざらでもなさそう。
サヴァン症候群の研究報告書だが、明人は勇磨にビジネスに使うのはやめてもらった。
今は明人が責任を持って保管している。
報告書の最後に以下の文章が書かれていた。
「天才が幸せをもたらすとは限らない。不幸な天才を産むより、幸せな凡人を増やす努力をしたい」
明人はこれを父親からの遺言だと思うことにした。
一清は「寛恕の網」を書いたことを後悔した。
人間には踏み込んではならない領域があると気付いたからだ。
禎子と交際するようになってこの話を聞いた康治も、自分の研究に疑問を感じたのだと思われる。
だから報告書を禎子に託したのだ。
となれば、迂闊に人目にさらすことはできない。
それに価値の高さで言うと「研究報告書」よりも「寛恕の網」の方がずっと上だ。
明人は禎子が康治からもらった「貴重過ぎて手に余るもの」とは「寛恕の網」だと解釈。
絵を描いたのは一清だけど、書かせたのは康治だから
鎮火後に調べたところ、寛恕の網は跡形もなく焼失していた。
伯郎:「憲三さんは、お前ならあの絵の謎を解明できるんじゃないかと言っていたが」
明人:「それはどうかな。僕は幻想だったんじゃないかと思ってる。絵なんて所詮2次元の情報に過ぎない。素数の謎がそんな単純なものとは到底思えない。人間が簡単に太刀打ちできる代物ではないはずだ」
伯郎:「じゃあ、あの絵には何の価値もなかったってことになるじゃないか」
明人:「そうじゃない。価値がなかったなんてことは断じてない。病院で父さんが“明人、背負わなくていい”と言ったそうだね。それはやっぱりあの絵のことだと思う。あの絵には人の心を惑わせる魔力があることに父さんは気付いていたんじゃないかな。そう考えれば、確かに重い。重すぎるよ」
それに明人には他にやるべきことがあった。
勇磨と一緒に落ちぶれかけている矢神家を建て直そうとしているのだ。
その後、カーリーヘアの楓が「チャオ」と伯郎の動物病院にやって来た。
胸の谷間が見えていて、スカートは今までで一番短い。
伯郎:「パンツ見えそうだぞ」
楓:「見えません、ちゃんと計算しています」
楓が連れてきたのは、ピンクのミニブタだった。
「お店の人からかかりつけの獣医をみつけておいた方がいいですよって言われたんです。だからこれからながーい付き合いになると思います。よろしくね、伯ちゃん」
楓は長いまつげでウインクして、肉感的な足を組み替えた。
確かにパンツは見えなかった。
(エンド)
『危険なビーナス』まとめ
・明人は失踪したのではなく、警察が「コーディネータ」を逮捕する計画に協力していた。
・明人を誘拐しようとした「コーディネータ」の正体は、伯郎の叔父で数学者の憲三。動機は一清の遺作「寛恕の網」を手に入れるため。
・伯郎と明人の母・禎子を殺した犯人も憲三。
・楓の正体は、潜入捜査官。
・楓のミッションは「コーディネータ」の正体と禎子の死の真相を突きとめること。
・康治の研究テーマは「後天性サヴァン症候群」で、伯郎の父・一清はその実例だった。
・一清が死の間際に描いた「寛恕の網」は、禎子によって小泉家の襖の中に隠されていた。
・憲三は「寛恕の網」は素数の謎やリーマン予想を決着できる人類の宝だと思っていたが、明人は「幻想だ」と言った。
・勇磨は、楓にちょっかいをかけて後天性サヴァン症候群の研究データを狙っている野心家と見せかけて、明人と楓の協力者だった。
・明人を誘拐しようとした「コーディネータ」の正体は、伯郎の叔父で数学者の憲三。動機は一清の遺作「寛恕の網」を手に入れるため。
・伯郎と明人の母・禎子を殺した犯人も憲三。
・楓の正体は、潜入捜査官。
・楓のミッションは「コーディネータ」の正体と禎子の死の真相を突きとめること。
・康治の研究テーマは「後天性サヴァン症候群」で、伯郎の父・一清はその実例だった。
・一清が死の間際に描いた「寛恕の網」は、禎子によって小泉家の襖の中に隠されていた。
・憲三は「寛恕の網」は素数の謎やリーマン予想を決着できる人類の宝だと思っていたが、明人は「幻想だ」と言った。
・勇磨は、楓にちょっかいをかけて後天性サヴァン症候群の研究データを狙っている野心家と見せかけて、明人と楓の協力者だった。
『危険なビーナス』作中のキーワードを解明
小説『危険なビーナス』に出てくる意味不明なキーワードの意味をネタバレします。- 「明人、背負わなくていい」:伯郎は「矢神家」のことかと思ったが「寛恕の網」のことだった。
- 「明人、恨むな」:「恨むな」ではなく「ウラムの螺旋」の意味。一清が「寛恕の網」を描く際にインスピレーションをもらった絵。
- 「貴重過ぎて手に余る物」:禎子が佐代に康治からもらったものを指して言った言葉。これは亡き夫・一清が描いた「寛恕の網」。
『危険なビーナス』感想
「後天性サヴァン症候群」という聞きなれないワードがテーマですが、意図的に天才脳が作れるならまさに神への冒涜ですよね。ちょっと想像するだけで、怖い世界です。
そして「寛恕の網」が見てみたい。
素数の謎やリーマン予想を決着させるなんて……どんな絵なんだろ?
しかし明人は「しょせん幻想だ」と一刀両断していましたね。
でも憲三や牧雄の心を惑わすには十分な魔性の絵だったことは確かです。
このようにけっこう難しいテーマなのですが、主軸になっているのは主人公と弟の嫁の一風変わった恋模様です。
フツー弟の嫁に一目惚れはしないと思うのですが(^_^;)
楓の服装が毎回違うのが魅力的だし、それを見てイチイチ中学生男子みたく反応する伯郎が面白い。
伯郎が、弟の行方を心配しつつ楓を手に入れたいから戻ってきてほしくないとジレンマに陥るのも面白かったですね。
ラストが、伯郎と楓が今後も密に付き合っていくことを予想させるもので良かったです。
明るくてしたたかな楓と、本質的にいい人だけど実は勘が鋭い伯郎は、お似合いだと思います。
『危険なビーナス』原作とドラマの違い
『危険なビーナス』の原作とドラマの違いは以下の2点。➀遺産30億円
原作の矢神家も大金持ちですが、実情は赤字経済。
ドラマでは遺産30億円となかなか具体的に凄いですが、果たして実情は?
➁楓のルックス
原作の楓は、胸の大きな美女。
吉高由里子さんは、スレンダー美女なのでちょっとイメージが違います。
しかし「はじめましてっ。お義兄さまっ」と言いそうなキャラですよね(笑)。