「砂の器2019』和賀が三木を殺害した理由をネタバレ考察!過去作をヒントに!

『砂の器2019』が、2019年3月28日(木)に放送されます(フジテレビ系列:後7:57~10:54)。

松本清張氏の不朽の名作が、大胆にも現代の渋谷を舞台に蘇るとあって、大きな話題を呼んでいます。

今西刑事役は東山紀之さん、和賀英良役は中島健人さんが演じます。

『砂の器』は1974年の映画化以来、何度も映像化されてきた人気作ですが、大きな見どころのひとつ・和賀がなぜ三木を殺害したのかが気になります。

当記事では、『砂の器2019』で和賀が三木を殺害した理由について、原作や1974年度の映画、2016年度の中居正広さんのドラマ版を参考にネタバレ考察してまとめています。


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『砂の器』原作と過去作品


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『砂の器2019』の原作は、松本清張氏の小説「砂の器」(新潮文庫 上・下刊)。

1960年から1961年に読売新聞の連載小説として発表され、天才音楽家・和賀英良の壮絶な過去と完全犯罪のもくろみ、それを追う今西刑事の心理戦が描かれました。

差別意識の象徴として“ハンセン病”が描かれたのも、大きな特徴。

この“ハンセン病”の部分は、映像化されるたびに“その時代の社会的負性”に改変されました。


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1974年の映画版


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1974年に初映像化。

原作との大きな違いは、原作ではほとんど無かった父子(本浦千代吉・秀夫)の放浪シーンが詳しく描かれたこと。

バックミュージックとして和賀が完成させた「宿命」の美しくも悲しい音色が響いて感動的な名シーンとなり、映画は大ヒットしました。


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2004年の連続ドラマ版(中居正広主演)


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2004年の連続ドラマ版が、中居正広さん主演で放送されました。

「ハンセン病」の部分は、「大畑事件」に改変。

「大畑事件」とは、村八分で生き地獄を味わった本浦千代吉が村民30人を焼き殺した事件。

いつの時代も人々の差別意識が、標的となった人物をいかに苦しめ、追い込んでいくかがわかります。


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『砂の器2019』簡単なあらすじ


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フジテレビ開局60周年ドラマとして、日本を代表する推理作家・松本清張氏の名作『砂の器』が、現代版にアレンジされて放送されることが決定しました。

2018年、ハロウィン当日の渋谷で、身元不明の撲殺体が発見されます。

事件の担当刑事・今西(東山紀之)は、被害者の男性が東北なまりで、“カメダ”という言葉を発したという目撃者の証言を得て、捜査を開始。


そんな中、天才作曲家・和賀英良(中島健人)が帰国後初のコンサートで、新作の協奏曲『宿命』を披露することを発表。

実はその和賀こそが、この事件の犯人でした。


そんな和賀は、昨夜の犯行を思い返し、計画は完璧だと自分に言い聞かせていました。

一方出雲地方の一部に東北弁の音韻に酷似した地域があることを知った今西は、島根県警に問い合わせ、被害者が行方不明の男性・三木謙一(高嶋政伸)であることを突き止めます。

2019年度版の大きな改変ポイントは、舞台を「現代」にして事件現場を「蒲田」から「渋谷」に変えたこと。

『砂の器2019』和賀が三木を殺害するシーンとは?


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『砂の器2019』は、和賀英良(中島健人)が三木謙一(高嶋政伸)を殺害するシーンから始まります。

ハロウィン当日の渋谷なので、返り血を浴びた和賀でも違和感なく逃げられたのでしょう。


ところで、和賀は三木謙一をどうして殺害したのか?

その理由を考察する前に、三木謙一について説明します。

三木謙一は若いころに島根県亀嵩(かめだけ)で巡査をしていて、その時に本浦千代吉、秀夫(後の和賀英良)に出会います。


ここからの展開は1976年の映画版と、2004年のドラマ版で展開が違います。

1976年:「ハンセン病」で迫害された千代吉は秀夫を連れて1年近くもさまよい、三木夫婦に助けられた。

2004年:「大畑事件」を起こした千代吉は秀夫を連れて1年近くも逃亡生活を送っていましたが、三木夫婦に助けられた。


三木は千代吉に入院(2004年は自首)するように説得して、千代吉は最後には承諾。

三木は彼を知る人が「仏」「神」と言うほど慈愛に満ちた正義感のかたまりのような人物だったので、秀夫を養子に迎えて自分が育て上げることを決意。

しかし秀夫は逃亡、和賀英良になりすまして現在に至ります。


和賀にとって恩人とも言うべき存在の三木なのに、どうして殺してしまったのか?

しかもその殺し方は、顏をつぶし、指紋をとりのぞき、身元がわかるものは全て持ち去るという残忍極まりない方法だったのです。

『砂の器2019』和賀が三木を殺害した理由をネタバレ考察

『砂の器2019』で、和賀が三木を殺害した理由をネタバレ考察します。

三木の熱意があだとなった


1974年度の映画版と2004年のドラマ版で、三木が和賀(秀夫)に会いに来た理由は、千代吉の余命がいくばくもなく一目秀夫に会わせてやりたかったから。

三木は幼い秀夫に逃げられたのは、自分のせいだとずっと自責の念を感じていました。

そして千代吉と文通をし、必ず秀夫に会わせるからそれまでは生きていてほしいと書き綴っていたのです。


そんな三木なので、秀夫が千代吉には会いたくないと言うと、首に縄付けてでも連れて帰ると脅迫まがいの言い方をしてしまいます(1974年)。

2004年のドラマ版の三木も熱い人間で、なんとしても秀夫を千代吉の元へ連れて行こうとします。

さらに秀夫が戸籍を偽造して和賀英良になりすましたことを知ると、それについても責めてしまいます。

もし三木がここまで押しつけがましくしなければ、和賀は三木殺害に及ばなかったかもしれません。


過去の全てを消したかった


原作「砂の器」では、千代吉はすでに死亡しています。

なので三木が和賀に会いにきた理由は、単に懐かしかったからと考えられます。

しかしそれでも和賀は三木を惨殺してしまうので、和賀にとって幼少期の出来事は跡形もなく消し去りたいほど辛い思い出だったことが想像できます。


2006年のドラマ版のラストシーンで、和賀が苦しい心中を語るシーンがあります。

「あなたの子供であることが嫌だった。本浦秀夫をこの世から消したかった」


和賀にとって、三木の出現は恐怖以外のなにものでもありませんでした。

父を思い出すたびに幼いころに受けた差別や苦痛が蘇り、その恐怖から逃れようともがき、あがき、そして最悪の事態を引き起こしてしまったのです。


『砂の器2019』の殺害動機は?


『砂の器2019』の殺害動機について考察します。

まず「ハンセン病」に変わる社会的負性ですが、「長男が起こした重大な事件で生活が一変」とあるので和賀の兄のせいで逃亡生活を余儀なくされたようです。


そして公式予告動画に「父の愛は存在を消すこと」とあります。



1994年度版も2004年度版も、千代吉は和賀を「そんな男は知らない」と言い張ります。

千代吉は自分の存在を消し去ることが、息子・和賀への愛情と確信しているのです。


和賀ですが、実は千代吉を愛しています。

本当は千代吉に会いたいけれど、「宿命は変えられる」と信じて生きてきました。


音楽家として成功をおさめますが、三木の出現で再び「宿命」に翻弄されることになりました。

三木が生きている限り、本浦秀夫を消し去れない。


2019年度の和賀の殺害動機も、三木への怨恨ではなく、本浦秀夫を消し去り宿命を変えるためだったと思われます。

そして和賀は「宿命」の作曲に入り、宿命に打ち勝てると思っていました。


しかし和賀が本浦秀夫だったことを捨て去ったままでは、「宿命」は完成しませんでした。

皮肉にも和賀が秀夫だったことを受け入れたとき、「宿命」は完成するのです。

まとめ

『砂の器2019』和賀英良が三木賢智を殺害した理由について、原作や過去作をヒントにネタバレ考察しました。

人はやはり「宿命」からは逃れられないのです。


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