「私たちはどうかしている(わたどう)」宗寿郎(佐野史郎)について原作ネタバレ!
高月家に潜入した七桜(浜辺美波)は、椿(横浜流星)と宗寿郎(佐野史郎)の確執に驚きます。
血が繋がっていないとしても、どうしてここまで?
鬼の祖父に見える宗寿郎にも、実はそれなりの深い理由がありました。
もくじ
『私たちはどうかしている』高月宗寿郎(佐野史郎)とは?
高月宗寿郎(佐野史郎)は、老舗和菓子屋「光月庵」の当主。
15年前に刺殺体で発見された樹(鈴木伸之)の父で、椿(横浜流星)の祖父。
樹の死後伏せがちで、椿に冷たい。
『私たちはどうかしている』高月宗寿郎(佐野史郎)原作ネタバレ
高月宗寿郎(佐野史郎)について原作漫画からネタバレします。孫の椿に冷たい
宗寿郎(佐野史郎)は、ちょっと異常なほど孫の椿(横浜流星)に冷ややか。
長谷屋の栞(岸井ゆきの)との結婚式をぶっ壊して七桜との結婚を発表した椿に「3ヶ月以内に(光月庵の跡取りとして)成果を出せなければその子(七桜)を連れて去れ」と言い渡します。
さらに、実の孫ではないからという理由で厨房を仕切る権限さえ与えません。
「椿は光月庵を継げん。わしの本当の孫じゃないからな」
そう、宗寿郎は血縁を何より大事にする考えなのです。
椿は、母の今日子が不倫して生んだ子供でした。
今日子と樹は我が子として椿を育てましたが、宗寿郎は椿が実の孫ではないことを見破っていました。
15年前に死んだ樹と宗寿郎の関係
話は過去に遡って、15年前に殺された樹(鈴木伸之)と宗寿郎の関係。
宗寿郎は、先祖代々血筋の者に光月庵を継がせるという教えを絶対的なものとしていました。
なので一人息子の樹は、自分が光月庵を継がなければならないというプレッシャーの中で生きていました。
しかし樹には実は恋人がいました。そう、七桜の亡き母・百合子(中村ゆり)です。
2人は泣く泣く分かれて、樹は宗寿郎が見初めた嫁・今日子(観月ありさ)と結婚。
ところがその後、百合子は娘の七桜を連れて光月庵で住み込みの職人として働き始めます。
実は七桜は樹の実の娘なのに、ずいぶん危険な行動ですよね。
そんな中、樹が刺殺される事件が発生。
椿が「さくらのお母さん(百合子)がお父さんと言い争っていた」と証言してナイフから百合子の指紋が出たため、百合子が逮捕。
しかし百合子は裁判中に死亡して真相は闇に葬られました。
宗寿郎は、外聞を気にして樹の死を病死として片づけてしまいました。
椿と宗寿郎の確執
宗寿郎(佐野史郎)は、その後1年間も臥せってしまいます。
幼い椿(横浜流星)はおじいさまを喜ばせようと御菓子を作りますが、宗寿郎が食べたがったのは使用人の娘・さくらが作った御菓子。
そんなある日、宗寿郎は椿が実は※嘘をついていたことを見破ります。
※椿が樹と百合子がキスした現場を目撃したのに、2人が口論していたと偽証したこと。
以前から椿が本当の孫ではないことに気付いていた宗寿郎は、椿を決して許しませんでした。
「この嘘つきが~!」
樹は「いつか完璧な菓子を作ればこの家の子供だと認めてくれる」と必死に菓子を作り続けます。
そんなある日、樹は落ちた落雁を拾おうとして線路の割れ目に指を挟まれて動けなくなります。
椿は必死で宗寿郎に助けを求めましたが、助けてくれませんでした。
この時椿は「一度失いかけたこの命を光月庵を継ぐことに使う」と決意します。
宗寿郎は「偽りの心を持った者が作った菓子など食べない」と10年間も椿の作った御菓子を食べませんでした。
宗寿郎はそもそも椿の菓子などどうでもよく、血の繋がりのある孫に光月庵を継承させたいだけだったのです。
さくら(=七桜)が自分の孫と薄々気付いていた宗寿郎は、残酷にも椿にさくらの行方を捜せと命じていました。
椿は「血の繋がりなど意味はない。大切なのは和菓子に対する情熱だ。意思だ」と宗寿郎にどんなに邪見にされても菓子作りに邁進してきました。
亡き父・樹の「椿。いずれこの店はお前のものだ」という言葉を胸に秘めて。
宗寿郎の苦悩
宗寿郎が、樹と百合子の関係が続いていたこと、百合子が職人として光月庵で働いていたことを知ったのは、椿の偽証を知った時でした。
宗寿郎は、自分が許してさえいれば2人は幸せに生きていたかもしれないと思いましたが、先祖代々受け継がれてきたこと(=跡取りは血縁者に限る)を今更変えることが出来ずに椿に辛くあたったのです。
今では古い伝統を重んじるなど馬鹿げていると考えられがちですが、宗寿郎はそれだけ当主としての責任感を持っていたとも言えます。
しかし血縁でなくても光月庵を繁栄させることが大事なのですから、そういう意味では宗寿郎は先祖代々の考えに呪われていたのかもしれません。
宗寿郎が椿の菓子を食べる
七桜は、10年間も椿の菓子を食べない宗寿郎に、なんとしても椿の菓子を食べさせたいと思います。
七桜は宗寿郎に椿の御菓子への純粋さを語り、その結果宗寿郎は10年ぶりに椿の菓子を口にしました。
七桜は宗寿郎を許さない
11巻では、宗寿郎が七桜(浜辺美波)が実の孫であることに気付きます。
宗寿郎は七桜に「すべての原因を作った私を許せるのか?」と質問。
宗寿郎の罪
- 樹と百合子の結婚に反対して引き裂いた。
- 樹に一度も触れてもらえなかった今日子を復讐鬼にしてしまった。
- 樹が殺され、百合子が犯人にされて死亡。
七桜は「許せない」と答えます。
もし宗寿郎が2人の結婚を認めていたら、百合子も樹も死なずにすんだかもしれないのだから。
宗寿郎が樹と七桜に菓子の勝負をさせる
宗寿郎は、血縁者が光月庵を継ぐのが本当に大事なことなのかどうか、疑問を抱き始めます。
そして大晦日に椿と七桜に菓子勝負をさせて、勝った方に光月庵を継がせることに決めます。
勝負の日。
七桜が作ったのは、柚子の上生菓子。
小さな菓子の中に密漬けにしたひめ柚子の皮を丸ごと入れた菓子です。
椿が作ったのは、つばき餅。
見た目は地味だが、亡き父・樹に教わった味。
宗寿郎は2人の菓子を食べて感動しますが、勝敗の行方を今日子にゆだねます。
今日子は椿の菓子を選ぶつもりが、間違って七桜の菓子を選んでしまいます。
こうして、光月庵の次期当主は七桜に決定。
宗寿郎が椿を解き放つ
実は宗寿郎は、椿の作った菓子を本当に美味しいと思っていました。
しかしそれでも椿の菓子をえらぶわけにはいきませんでした。
なぜなら、それは宗寿郎だけに向けられた菓子だったから。
その後発作で倒れた宗寿郎は、自分がいかに椿を縛って苦しめてきたかを思い知ります。
そして椿を解き放ちます。
「すまなかったな、椿。これからは自由にお前だけの菓子を作るんだ」
宗寿郎はこの言葉を最後に息を引き取りますが、椿はこの言葉を胸に嬉し涙を流すのでした。
感想
物語の冒頭と中盤では鬼にしか見えない宗寿郎ですが、最後には仏のようになります。孫の椿がいかに自分を求めていたかに気づいてあたたかい言葉をかけて亡くなるシーンは、感動します。