『半沢直樹』半沢の出向理由を徹底考察!大和田が銀行に残った理由も!

『半沢直樹』の待望の続編が、2020年4月からスタート。

前作の最終回は、中野渡頭取(北大路欣也)のピンチを救って銀行内の不祥事を暴いた半沢(堺雅人)がまさかの出向!

「ええ~!そりゃないよ!」な終わり方でしたよね。

1月のスペシャルドラマ『半沢直樹Ⅱ エピソードゼロ 狙われた半沢直樹のパスワード』では7年ぶりに半沢直樹が登場、納得のいかない出向後も変わらずポリシーを貫いているようです。

当記事では、半沢直樹の出向理由についてドラマと原作の両面から徹底考察してまとめています。



『半沢直樹』の主人公・半沢直樹とは?



ドラマ『半沢直樹』の主人公・半沢直樹(堺雅人)をご紹介します。

経歴
・1992年入行。

・2011年から東京中央銀行大阪西支店に融資課長として勤務。

・年間4パーセントの業績アップを実現し、業績不振だった当支店を2年で立て直す。

・朝野支店長が起こした5億の融資事故を見事に回収し、本部営業第二部へ栄転。

・東京中央の大得意先である伊勢志摩ホテルを再建、同ホテルに関する金融庁検査を乗り切り、大和田常務取締役(香川照之)の不正も暴く。

多大な功績を挙げたにも関わらず、中野渡頭取(北大路欣也)から東京セントラル証券(子会社)への出向を命じられる。

・現在は、東京セントラル証券の営業企画部長。

半沢直樹は、不正を許さない清廉な人物。

前作『半沢直樹』では、敏腕バンカーとして様々な功績を残す一方で、銀行員たちの不正も暴きました。


「やられたらやりかえす!倍返しだ!」が座右の銘で、人の善意は信じるがやられたら“鬼の仕返し”をする男。

前作『半沢直樹』では、上司である浅野支店長(石丸幹二)大和田常務(香川照之)の不正を暴いて土下座させました。

『半沢直樹』最終回で半沢が出向?



『半沢直樹』9話で東京中央銀行の大得意先・伊勢志摩ホテルを再建し、金融庁検査を乗り切ることで頭取のクビも救った半沢は、まさに時の英雄。

最終回では、大和田常務の不正も暴きました。


その数日後、頭取直々の呼び出しが半沢にありました。

二階級特進(次長から部長への昇進)かと思われましたが、頭取の辞令は「東京セントラル証券(子会社)への出向を命じる」というものでした。


半沢の苦い表情が忘れられません!

半沢に散々助けてもらっておいて、頭取って恩知らずなの?

出向とは?


ドラマ『半沢直樹』で、出向は以下のように語られています。

・出航は片道切符の島流しで、二度と銀行には戻れない。

・片道切符の出向を言い渡された銀行員は、3年が過ぎたころ、それまでよりはるかに低い出向先の給料に変更されてしまう。

・経済的にも深い傷を受け、そして何よりもバンカーとしてのプライドが引き裂かれる。

現実には出向は必ずしも悪いことではないのですが、ドラマ内では悲劇として描かれています。

『半沢直樹』ラスボス・大和田常務はのうのうと銀行に残る?



前作『半沢直樹』のラスボスは、常務取締役の大和田暁(おおわだ・あきら/香川照之)。

半沢と同じ※旧産業中央銀行出身で、旧東京第一銀行出身の中野渡謙(北大路欣也)が頭取の地位についていることを苦々しく思っていました。

※多額の不良債権を抱えた産業中央銀行は、生き残りを懸け2002年に東京第一銀行との合併を実行。その結果、世界第三位のメガバンク東京中央銀行が誕生したが、行内では旧産業と東京第一の派閥争いが激化。


頭取の失墜をもくろんだ大和田は、伊勢志摩ホテルが120億円の損失を出すと知っていながらその事実をもみ消し、200億円の融資を実行、頭取を崖っぷちまで追い詰めました。

さらに会社を私物化し、自分の妻の赤字会社に3000万円を迂回融資していました。


これらの大和田の不正を暴いたのが半沢で、おかげで頭取は首の皮一枚繋がったというわけです。

当然大和田の処分は「出向」と思われましたが、頭取が下した結論は『常務取締役』から『取締役』への降格。


原作小説では降格の後に出向なのですが、ドラマでは銀行にのうのうと残ります(『半沢直樹2』にも出演)。

しかも、大和田は態度を180度変えて今や中野渡頭取(北大路欣也)の忠実な部下になっているとのこと!


そんな大和田見たくない……とも思いますが、面白いかも。

『半沢直樹』頭取が大和田を銀行に残した理由は?



中野渡頭取は、なぜ自分を失脚させようとした大和田を銀行に残したのでしょうか?

フツーなら、危険人物とみなして懲戒解雇してもおかしくありません。


頭取は大和田に、出向にしなかった理由として以下の発言をしています。

人の価値は金では推し量れない、銀行員は金ではなく人を見るべきだ。

そういうことだ。

私は、銀行員としての君を尊敬していたんだよ。

引用元:『半沢直樹』中野渡頭取のセリフより


この発言を信じる限りは、頭取が大和田のバンカーとしての手腕を高く評価していることになります。

失うのは惜しい戦力だから、銀行に残したということでしょうか?

確かに大和田は、旧産業中央出身の出世頭で、歴代最速最年少で常務取締役にまでのぼりつめた切れ者ですが……。


頭取は、半沢が大和田の不正の証拠を掴もうとしていた時に、以下の発言をしています。

(大和田は)黒だな。

しかし証明できなければただの紙屑だ。銀行員にとって最も必要なものは何だと思う、人を見る力だよ。

金勘定は二の次だ。私は君という男を見て伊勢志摩ホテルの全てを託した。そして生き延びることができた。

半沢、お前大和田常務の何を見てる。

メガバンクの常務という肩書を外せばあの男もきみと同じ一銀行員でありひとりの弱い人間なのかもしれない。

そこを見落とすと彼には勝てないんじゃないか。

引用元:『半沢直樹』中野渡頭取のセリフより


「人を見る力」「大和田も肩書きを外せば1人の弱い人間」あたりがキーワードのようですね。

筆者は、頭取の人を見る力とは人の弱さを利用することなのかな~と感じました。


事実、渡真利(及川光博)は以下のように分析しています。

中野渡頭取は、行内融和政策のために大和田を取り込み、第二、第三の大和田の存在を阻止して派閥争いの収束を図った。
原作の頭取は、とにかく行内融和を重んじる人物なのです。

そのための大和田懐柔策だとしたら、なかなか腹黒いですね~。

『半沢直樹』半沢が出向になった理由をネタバレ考察

次に、半沢直樹が出向になった理由をネタバレ考察します。

大和田が銀行に残れて半沢が出向とは、納得がいきませんよね。

半沢のやりすぎが原因?行内融和に反する


半沢は人の善意を信じる男ですが、一度裏切られたら「倍返し」を誓う男。

放っておいたら刑事告訴も辞さないやり方は親友の渡真利(及川光博)ですら、恐怖心を覚えます。


行内融和を重んじる頭取としては、半沢は優秀だけどやっかいな存在なのかも。

『半沢直樹』最終回で半沢がエグイやり方で大和田を追い詰めた時も、頭取は「そこまでだ、半沢」と何回も制していましたからね~。


ところが半沢は聞く耳持たずで、遂に大和田を公然で土下座させてしまいました。

いかに半沢が正しかったとしても、このやり方が頭取の目に『やりすぎ』と映ったことは間違いないでしょう。


実際に原作では、取締役会で大和田を糾弾した半沢に対して、頭取が怒りを感じている描写があります。

行内融和を全面に出しつつも、元来短気な中野渡の表情には、面倒を起こした半沢への怒りがすでに滲み出ており、もはや半沢がどう抗弁しようと形成は動かしがたいように見える。

引用元:「オレたち花のバブル組」より

頭取があの取締役会ですでに怒っていたとしたら、出向は仕方ないですね。


行内の批判をかわすため?


最初の理由と似ていますが、半沢はとにかく問題を起こすいわゆる“問題児”です。
【半沢の問題行動】

・裁量臨店の際に審査役の持ち物検査を半ば強制的に行い、小木曽忠生(緋田康人)の不正を暴いた。

・(欲しい情報を得るため)自ら5億円の融資事故をマスコミにリーク。

・東田の愛人(壇蜜)と結託して国税を騙す。

・金融庁検査での態度が悪く、黒崎(片岡愛之助)に問題次長呼ばわりされる。

・上司と言えども、不正を働いた輩のことは呼び捨てで怒鳴りつける。

原作では、大和田を土下座させた半沢がこのまま営業第二部次長として居座ることに拒否反応を示す役員が出ます。

半沢のやり方は強烈過ぎて保守的な役員たちには受けが悪いんですよね~(^_^;)

人事の伊藤は、半沢を出向させる理由はこれらの批判をかわすためだと説明します。


東京セントラル証券を立て直して欲しい?


半沢の出向先の東京セントラル証券は、業績がかんばしくありません。

頭取が半沢を出向させたのは、半沢なら東京セントラル証券を立て直せると思っての特命かもしれません。

そしてほとぼりが冷めて半沢が手柄をあげたころに、銀行に戻すつもりなのかも。

『半沢直樹Ⅱ エピソードゼロ 狙われた半沢直樹のパスワード』半沢のその後は?

『半沢直樹Ⅱ エピソードゼロ 狙われた半沢直樹のパスワード』で、半沢の「その後」が描かれました。

不条理な出向の後、半沢はどんな気持ちで過ごしていたのでしょうか?


クラシックなバーで、半沢直樹(堺雅人)と渡真利忍(及川光博)が待ち合わせ。

渡真利:「半沢、なんとかして銀行に戻って来られないのか」

半沢:「出向は片道切符の島流しだ、いまさら戻ろうなんて思っちゃいないよ」

渡真利:「本当にそれでいいのか?あの大和田は態度を180度変えて今や中野渡頭取(北大路欣也)の忠実な部下だ。

お前だけが出向の憂き目にあって、大和田はのうのうと役員として生き残ってるんだぞ。なんとも思わないのか。

やられたらやり返す!それが半沢直樹って男だろう?」

半沢:「渡真利、時代は変わったんだ。俺の立場も変わったんだ。

今の俺はメガバンクの銀行員ではなく、証券会社の一社員だ。

だけどな、だからってなにもしないわけじゃない。

セントラル証券にいる以上は、セントラルのルールの中で戦ってやるさ。

それが俺の流儀だ」

渡真利:「ふふっ、半沢」

半沢:「いつか俺はここでデカい仕事をやってみせる。銀行を見返してやるためにも」

半沢は銀行に戻ることはあきらめているけど、銀行を見返してやろうとは思っているのですね!

組織には屈しない


※原作小説『ロスジェネの逆襲』では、半沢の出向先の東京セントラル証券に来た仕事が親会社である東京中央銀行に横取りされる事態が発生。

半沢は「やられたら、倍返しだ」と反旗を翻します。


現実には子会社が親会社にかみつくというのはあまりないことなのですが、さすがは半沢直樹。

友人の渡真利は、そんな半沢に「あまり銀行を刺激しない方がいいんじゃないか?」とアドバイス。


なぜなら、半沢が出向になった理由の一つに敵を作り過ぎたことがあるから。

ところが半沢は「オレにはオレのスタイルってものがある。長年の銀行員生活で大切に守ってきたやり方みたいなもんだ。人事のためにそれを変えることは、組織に屈したことになる。組織に屈した人間に、決して組織は変えられない」と渡真利の助言を突っぱねます。


半沢の入行時の目標は、頭取になって銀行を変えること。

そのためには一度たりとも組織に屈してはならない……さすがは半沢、カッコイイ!

※4月からスタートする『半沢直樹2』の原作小説。

『銀翼のイカロス』から中野渡頭取の気持ちをネタバレ



半沢シリーズ第4作目『銀翼のイカロス』に、中野渡頭取の心情が細かく描かれているのでネタバレします。

ドラマのあらすじのネタバレになりますのでご注意ください。


10年前、旧産業中央銀行(旧S)と旧東京第一銀行(旧T)が合併。

対等合併の条件は、不良債権の処理でした。


旧Sは行内の膿を一掃しましたが、旧Tは結果として二千億円にも上る赤字に転落。

合併は、旧T救済の意味合いも持つことになりました。


中野渡は、これで東京中央銀行はトップパンクになれると信じていました。

ところが合併直後、旧Tの乱脈融資が発覚。


旧Tの役員たちは知らぬ存ぜぬを決め込み、信じていた融資先に裏切られたと言い張りました。

旧Tの牧野副頭取に説明責任があったが、自殺。


当時の中野渡は、牧野の死をどう捉えていいかわかりませんでした。

そして牧野の死を深く検討する余裕もないまま、銀行は社会的信用回復のために奔走。


7年前に、中野渡は頭取になりました。

最も心を砕いてきたのは、行内融和。

出身行にとらわれない、一つの銀行になることを目標としてきました。

旧Tと旧Sの派閥争いで無駄な労力を使わせず、相互不信から解き放ちたいと考えたからです。


しかし中野渡は、後悔していました。

牧野が自殺した時、もっと旧Tの問題貸し出しについて徹底的に調査すべきだったと。


中野渡が富岡に特命で調査させた結果、いまだに多くの旧Tの問題貸し出しが解消されぬまま隠蔽されていました。

つまり中野渡は、あの時牧野が抱えていた危機感を、10年の歳月を経てはじめて共有することになったのです。


牧野は、旧Tの問題貸し出しを隠蔽するために自殺したのでした。

中野渡は、けじめをつけるために頭取を辞職します。


感想

中野渡頭取は自身の全てを懸けて、行内融和の実現に奮闘してきたのですね。

つまりバンカーとして正しい判断と行内融和の挟間で、苦しんできたということです。


半沢は、そんな中野渡のことを実は尊敬しています。

銀行の頭取は、清廉潔白なだけでは到底つとまらないということです。

まとめ

前作『半沢直樹』の出向理由についてネタバレ考察してまとめました。

正しいけれど猪突猛進で手段を選ばないところがある半沢の、シーズン2のラストの人事が気になるところです。