「テセウスの船」タイトルの意味と原作の結末がリンクする!衝撃のラストとは?

2020年1月スタートの日曜劇場は、東元俊哉さんの同名漫画が原作のドラマ『テセウスの船』。

主人公・田村心(竹内涼真)がタイムスリップして過去を変えていくのですが、そうなると未来の人間の運命も変化します。

ここで出てくる例えが「テセウスの船」で、物語の結末に深く関係します。

当記事では新ドラマ『テセウスの船』のタイトルの意味とドラマの結末の関係についてネタバレ考察してまとめています。

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2020年3月23日



『テセウスの船』って何?

まず最初に、ドラマのタイトルになっている『テセウスの船』とはどんな船なのでしょうか?

★テセウス:ギリシア神話に登場するアテナイの英雄。

★テセウスの船:テセウスがクレタ島の怪物ミノタウロスを倒した後、クレタ島から船でアテナイに凱旋したときに乗っていた船。

『テセウスの船』タイトルの意味とは?



原作漫画『テセウスの船』1巻の最初に「テセウスの船」についての説明文があります。

その昔、クレタ島から帰還した英雄・テセウスの船を後世に残すため、修復作業が行われた

古くなって朽ちた部品を徐々に新しい部品に交換していくうちに、当初の部品は全てなくなった

ここで矛盾(パラドックス)が生じる

この船は最初の船と同じと言えるのか

矛盾(パラドックス)とは、英語の「paradox」のことで、「逆説」「ジレンマ」「背反」「矛盾」を指す言葉です。

元々はギリシャ語が語源で、ギリシア語のpara(反、超)+doxa(意見、通念)の合成に由来しています。

哲学的な意味としては「間違っているように見えるけれど、実は正しい説」またはその逆で「正しいように見えるけれど、正しいと認識されない説」を指します。


この考え方を『テセウスの船』に当てはめると……

・「入れ替わった部品」に着目すれば違う船。

・「テセウスの船として記念に保存されている船」という部分に着目すれば同じ船。

つまり「同じ」をどう定義するかによって、その船が「同じ」と言えるかは変化するのです。


そしてこれが「船」ではなく「人間」だったらどうなるでしょうか?

主人公・田村心(竹内涼真)は「全てが入れ替わった人間が、最初と同じと言えるのかどうか?」と自問自答します。


ちなみに、人間の細胞が入れ替わっても別人とは言えません。

人の体の中では毎日3千億個の細胞が死に、そして生まれているという

これが数か月すると体のほとんどが入れ替わることになるが別人になるということにはならない


主人公・田村心(竹内涼真)は今の自分を作ったものが「経験」と「記憶」と「過去」であることに気付きます。

この後、田村心は予期せずタイムスリップして1989年に行き、父親・佐野文吾(鈴木亮平)の冤罪を晴らすために奔走することになります。


もし心が過去を変えて真犯人を捕まえることができれば、1989年に和子(榮倉奈々)のお腹にいる心は全く別の人生を歩むことになります。

父親は音臼小無差別毒殺事件の犯人にならず、心は平和そのものの家庭で育つことになるのです。

つまり「経験」と「記憶」と「過去」において、現在の心とは全く別人になるのです。

『テセウスの船』タイトルの意味と黒幕(犯人)の関係

ここからは「テセウスの船」「黒幕(犯人)」の関係についてネタバレします。

物語のあらすじのネタバレになりますので、ご注意ください。


『テセウスの船』の黒幕(犯人)は、加藤みきお(安藤政信)。

みきおの目的は、田村心の妹・鈴(幼少期・白鳥玉季/貫地谷しほり)を手に入れることでした。


そしてみきおは鈴を手に入れることに成功しますが、それは以前の鈴とは別人でした。

みきおが欲しかったのは純粋なままの鈴(=永遠)でしたが、殺人犯の娘として世間からつまはじきにされて育った鈴は顔を整形しただけでなく性格もすっかり変わってしまったのです。

みきおは、世の中に変化しないものなど存在しないことに絶望します。


つまり「鈴という人間」という意味では同一人物なのですが、「経験・記憶・過去」が鈴の中身を別人にしてしまったのです。

『テセウスの船』タイトルの意味と結末の関係

ここからは「テセウスの船」「物語の結末」の関係についてネタバレします。

物語のあらすじのネタバレになりますので、ご注意ください。


音臼小無差別毒殺事件の黒幕(犯人)は、佐野文吾(鈴木亮平)ではなく加藤(現在は木村)みきお(安藤政信)でした。

田村心(竹内涼真)は3度のタイムスリップ後に佐野をかばって木村みきおに刺されて、28年前(ドラマでは31年前)の平成元年の世界で死亡。

心が加藤みきおが犯人である証拠となる録音テープを提出したので、佐野ではなくみきおが逮捕されました。


心が身代わりに死んでまで佐野を守った理由は、心にはもう帰る場所がないから。

心の妻・由紀(上野樹里)は未来を産んだ後に死亡、心が過去を変えた後は心とは結婚せずに音臼小無差別毒殺事件を取材する記者になっていました。

心は自分とは違って帰る場所がある佐野を守ることで、家族の未来をも守ったのです。


28年後(ドラマでは31年後)。

佐野文吾は逮捕されなかったため、佐野一家は普通に幸せに暮らしています。

そして佐野心が誕生。


28年前(ドラマでは31年前では)の田村心が未来から来た息子だったという事実を知っているのは佐野文吾だけで、和子、鈴、慎吾は、田村心と佐野心は別人と認識しています。

佐野文吾はせめて心を由紀(上野樹里)と結婚させてやりたいと思いますが、佐野心は偶然にも同僚教師の由紀(上野樹里)と出会って結婚することになります。


佐野は逮捕されず、心は大好きな由紀と結婚できました。

めでたし、めでたし……ですが、現在の心が、28年前に父親の無実を晴らして犯人に刺殺された心と同じと言えるのか?

まさに記憶も過去も経験も何もかも別人です。

心という人間で見れば同一人物ですが、中身は全くの別人。


もちろん、心以外の人物の人生も大きく変化しました。
鈴(白鳥玉季/貫地谷しほり)は、顔を整形してみきおの内縁の妻になる結末から、別の人と結婚してその人の子供を妊娠している結末へ(もちろん、みきおとは関わりはない)。

和子(榮倉奈々)は、一家心中して死亡する結末から、平和に暮らす結末へ。

黒幕(犯人)の加藤みきお(安藤政信)は、音臼小無差別毒殺事件の被害者を装って鈴の内縁の夫になる結末から、元連続殺人事件の犯人の少年Aとしてマスコミに追われる結末へ。

人は、「経験」と「記憶」と「過去」がすっかり入れ替わることで(中身が)別人になるのです。

まとめ

『テセウスの船』のタイトルの意味と、物語の結末との関係についてネタバレしました。

深く考えさせられるタイトルだと思います。

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