姫川玲子(二階堂ふみ)は、ノンキャリアとしては異例の早さ、27歳で警部補に昇進し、殺人犯の主任警部補に。
直観力と飛躍した思考、行動力を持つ彼女ですが、身の毛もよだつ暗い過去があります。
当記事ではドラマ『ストロベリーナイト・サーガ』の姫川玲子の過去について、原作小説からネタバレしてまとめています。
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もくじ
『ストロベリーナイト・サーガ』原作とは?
ドラマ『ストロベリーナイト・サーガ』の原作は、誉田哲也氏によるベストセラー警察小説「姫川玲子シリーズ」。
「姫川玲子シリーズ」は、現在第8作(他に番外編1作)までが発売されており、累計400万部を突破。
かつて竹内結子さん主演でドラマ化(10年・12年)&映画化もされています。
ドラマ『ストロベリーナイト・サーガ』とは?
スタッフ&キャストを一新した今作は、第1作の「ストロベリーナイト」をはじめ改めて映像化される作品に、第6作の「ブルーマーダー」など初映像化となる最新エピソードを加えて、“姫川班”の物語を再編成。
姫川と菊田の繋がり、周囲の人間たちが織り成す群像劇を一から楽しむことができます。
『ストロベリーナイト・サーガ』姫川玲子とは?
姫川玲子は、ノンキャリアながら姫川班を率いる主任警部補。
姫川班とは、男社会の警察組織において、姫川が捜査一課で唯一の女性班長として率いる捜査班。
班員の菊田(亀梨和男)や石倉保(宍戸開)、湯田康平(中林大樹)、大塚真二(重岡大毅)と共に、犯人逮捕に向けて事件を追います。
『ストロベリーナイト・サーガ』姫川玲子の過去とは?
姫川玲子の過去を原作からネタバレしていきます。17才の玲子
大嫌いな夏。忌まわしき夜の記憶。
あの黒く塗り潰された、十七歳の夏。
それはかつての姫川玲子で、弱かった頃の記憶。
しかしここ数年はだいぶ楽になってきて、警部補になってからは負けなくなりました。
警察官であるという自覚、警部補であるという自覚が、今の玲子を支えているのです。
あの日、母の瑞江は家にいませんでした。
母の帰りが遅くなることがわかっていたから、東京に友達と遊びに来た玲子も、いつも通りの時間に帰る必要はないと考えました。
それが、全ての過ちのもと。
悪いのは母ではなく、両親が不在だから、少しぐらい遅くなってもいいと軽く考えた、17才の玲子。
事件の被害者に
あの日、玲子は夜の8時半頃、南浦和の駅に到着。
そしてなんの疑いもなく、あの公園を横切りました。
木の陰からふらりと人影が現れて、そのままだと行く手を塞がれるような気がしたので、玲子はなんの気なしに右に避けました。
しかしその動きより早く、影は玲子に体当たりするように抱き着いてきました・
「動くな」と脅され、玲子は公衆便所裏手の真っ暗な場所に連れ込まれ、そのまま地面に押し倒されました。
男は圧倒的な腕力と体重とで玲子の自由を奪い、顏に刃物を当てて脅しました。
抵抗らしい抵抗もできないまま、玲子は下着をはぎとられて、男をねじこまれました。
口は塞がれていたので声は出ませんでしたが、玲子は口の中で思い切り叫んでいました。
足の間が裂けるような激しい痛み、恐怖、未来を失うという絶望。
挙句、男は何の前触れもなく玲子の脇腹を刺しました。
刺しながら、さらに玲子を犯しました。
玲子は失われそうになる意識の中で、早くこの悪夢が終わることだけを願いました。
このとき「おい、そこ何をしてるッ」と白い光がパッとよぎり、玲子は警官に助けられました。
男は一瞬笑って逃亡して、玲子は当時浦和周辺で起こっていた“連続婦女暴行事件”の被害者に。
病室を何人もの刑事が訪れ、事件についていろいろ訊きましたが、玲子はひとこともしゃべりませんでした。
刑事ばかりではなく、看護師とも、医者とも、家族とも話せませんでした。
佐多倫子の存在
数日経過すると、病室を訪れる刑事の数はぐっと減りました。
残ったのは、小柄でぽっちゃりして、年下の玲子から見てもどこか可愛らしい感じの女性刑事・佐田倫子(さだ・みちこ/吉屋彩子)。
佐田は事件については一言も触れず、まるで友達か親戚のお姉さんのように玲子に話しかけました。
最初は玲子も戸惑っていましたが、あるとき佐田の失敗談を聞いて笑ってしまいました。
捕まえた犯人にではなく、自分の手首に手錠をかけてしまった話を聞いたとき、思わず吹き出してしまったのです。
それをきっかけに、言葉は少なかったのですが、佐田とは話すように。
しばらく経ったある日、佐田が「捜査に協力してほしい」と玲子に言いました。
佐田が事件について触れたのはこれが初めてで、まず、今までの被害者と作った似顔絵やモンタージュが、玲子を襲った犯人と似ているかどうか、それだけでも確かめてほしいと言いました。
玲子は拒否。
佐田は決して無理強いすることはなく、その後も手焼きのクッキーなどを持って病室に来てくれました。
佐田の殉職
玲子の中では、毎日少しずつ、変化が起こっていました。
事件に立ち向かってみよう、佐田に協力して、いや協力してもらって、この事件に向き合ってみようと思い始めていました。
そしてようやくモンタージュを見ようと決意した日、なぜか佐田は病室に姿を現しませんでした。
佐田が顔を見せなくなって3日目、最初に事情徴収に来た刑事がやってきて佐田が殉職したことを告げました。
刑事によると、玲子を襲った犯人は捕まったけれど、佐田が抵抗する犯人ともみ合って刺されたというのです。
すぐに病院に運びましたが、出血がひどくて死亡したとのこと。
玲子は、佐田の母親から、佐田が死ぬまでつけていた日記を渡されました。
そこには、事件捜査の経緯とともに、玲子のことが多く書かれていました。
具体的には、佐田の玲子への思い。
たとえばある日の日記には……
これは大きな前進だ。
あの子の心は動いてる。
主任は早く結果を出せと言うけれど、まだ駄目。
玲子ちゃんは私に任せてほしい。
これは刑事だからとか、事件だからとかじゃない。
私は、玲子ちゃんの友達だから。
同じ女だから、玲子ちゃんに立ち直ってほしい。
生きるために、一緒に戦おう。
いつの間にか、玲子の頬は濡れていました。
事件後、放心するばかりで、一度も涙することなんかなかったのに。
熱い雫が、次から次へと、両目から溢れ出てきます。
玲子は日記を閉じて「私戦います」と言いました。
長い戦いが始まりました。
事情聴取、供述、引き当たり捜査、そして首実験。
小さなガラス窓の向こうに5人の男がいて、玲子を襲った男もいました。
玲子は背後から巨大なタランチュラに襲われるような錯覚に陥り、そのまま走り出し、コンクリートの壁に激突して気を失ってしまいたい衝動に駆られました。
しかしそれをさせなかったのは、今も目を閉じれば思い出せる、佐田の優しい笑顔と、日記の言葉の数々でした。
玲子は「左から2番目の人を笑わせてください」と言って、その笑った顏は確かに“あの男”でした。
玲子が「この人です」と言って、刑事たちは「よしッ」と意気込みました。
警察官になりたい
しかしそれは、戦いのほんの始まりに過ぎませんでした。
考えてみれば当然のことですが、捜査の段階で周りにいた警察官は、みな玲子の仲間でした。
しかし裁判となると、そうはいきません。
犯人の前に立ち、自分はこの男に襲われたのだと何十人もの前で告白しなければなりません。
被告側の弁護士は、玲子にも落ち度はあったのではないか、不注意があったのではないか、必死で抵抗したわりには擦過傷が少ないけれど、実は合意の上での性交渉だったのではないか、そもそもあなたは処女だったのかと矢継ぎ早に質問してきます。
玲子が萎縮すると、弁護士は得意げに続けます。
「つまりあなたは、被告人にレイプされたのではなく、行為を迫られて、すぐに合意したのだと考えられる」
どうしてそんなことが言えるの?
玲子は激しく否定する一方で、頭の中になる事実は急速に歪み始めていました。
数十名の傍聴人の脳裏には、自分がこの男との性行為を受け入れた、その淫らな姿が描かれているのです。
玲子はその見えない圧力に圧倒され、押しつぶされそうになります。
その時、「違うでしょ。負けちゃ駄目。自分で戦って自分で勝ち取るの」という佐田の声が聞こえました。
玲子は心の中で佐田の小さな手を取り、弁護士を強くにらみつけます。
「擦過傷が少なかったら、どうして受け入れたことになるんですか。
暴れたらまた刺されるんじゃないか、殺されるんじゃないか、そう思って抵抗を諦めると、どうして行為を受け入れたことになるんですか。
つまりあなたの理屈でいえば、命を張ってその男を捕まえた佐田さんも殺される覚悟をしていたから、だから殺してもよかったんだと、合意の上で殺されたんだと、そういうことですかッ」
裁判官に何か注意された気もしましたが、玲子の耳には入ってきません。
「あなたの家族や奥さんが同じ目に遭っても、あなたは平気で合意の上だったんだろうとか言えるの?
あなたは佐田さんに、覚悟があったんだから、死んでも文句ないだろうなんて、面と向かって言えるの?
佐田さんの家族に、いえ警察の人全員に、死んでも文句ないだろうなんて、本気で言う覚悟があんたにあんのかって訊いてんのよッ」
玲子を取り押さえようと、左右から係員が飛び出してきましたが、彼らは背後の傍聴人席を見て立ち止まりました。
被害者遺族以外の傍聴席は警察官でびっしり埋まっていて、今その全員が立ち上がって玲子に敬礼していたのです。
おそらく彼らが敬礼したのは、玲子ではなく玲子の内に宿っていた佐田倫子の魂に向けてだったのでしょう。
玲子は、警察の結束に心打たれました。
「あたしも、あの中に入りたい」
この時、玲子は警察官になることを決意。
警察官になり、刑事になり、佐田と同じ本部の捜査一課に入り、警部補になることを目標にしました。
巡査だった佐田は、二階級特進し、最終回級は警部補に。
しかし死んでしまっては意味がありません。
玲子は生きて警部補になることを目指し、生きて捜査一課の主任警部補になることを目指したのです。
そして玲子はその目標を達成し、いまなお、佐田倫子とともに戦っています。
警部補になり、過去の呪縛から解き放たれ、ようやく生きているという実感を得られるようになってもまだ、戦いは続いています。
『ストロベリーナイト・サーガ』4話で姫川玲子が妹・瑞希に責められる
『ストロベリーナイト・サーガ』4話では、姫川玲子が妹・瑞希に激しく責められます。原作にも同じシーンがありますので、ネタバレします。
ある日、仕事を終えた姫川が帰宅すると、妹の瑞希が家に来ていました。
瑞希は生まれたばかりの春香を抱いたまま、姫川を罵倒します。
・瑞江はもうちょっと処置がおそかったら死んでいたかもしれなかった。
・瑞希は姫川の携帯にすぐ連絡したが、姫川は仕事でプライベートの携帯には出なかった。
・どうして電話に出なかったのか?
瑞希が言うには、瑞江が倒れたのは、横浜の叔母さんのせいだとのこと。
叔母は、姫川が結婚できないのは瑞江のせいで、あの事件の日に家にいなかったせいだと言ったのです。
それも一度や二度ではなく、姫川がお見合いをすっぽかすたびに言ったのです。
姫川は、この事を全く知りませんでした。
瑞江は瑞希には何度も電話してきて、電話口で泣いていたとのことです。
瑞希は、姫川への気持ちを洗いざらい話します。
・姫川が美人で勉強もできる人気者だったのに対して、瑞希は地味な存在だったから。
・姫川が被害に遭った時、ちょっとザマアミロと思った。
・春香を生んだ時、一番最初に思ったのは、これで姫川より偉くなれたと思った。
・しかし両親は、姫川が産んだ孫を抱きたがってる。
瑞希は「どうしてお母さんの具合が悪いの気が付かなかったの?あたしが憧れて憎んだお姉ちゃんは、苦しんでるお母さんほったらかしにして、電話切っちゃうような人じゃなかったでしょう?」と泣き崩れました。
姫川は瑞希に言われたことがショックでしたが、それよりも自分がだらしなかったと認めるほかありませんでした。
最もショックだったのは、母・瑞江があの事故のことを自分のせいだと思っていることでした。
あの日、悪かったのはまぎれもなく自分。
父も母も留守だから、ちょっとくらい遅くなってもいいと考えた、17歳の姫川なのです。
姫川は、あの事件で苦しんだのが自分ひとりとは思わないけれど、少なくとも最も苦しんだ自分が立ち直って納得できる生き方をみつけたのだから、そこはわかってほしいと思うのでした。
姫川は、佐田倫子と出会い、警察に入り、過去の呪縛から解き放たれ、ようやく生きているという実感が得られるようになっています。
やっぱり自分は間違っていない。
姫川は瑞江の見舞いに行き、「いつか私のことを丸ごと受け入れてくれる人が現れたら結婚する。姫川家の長女としては至らないかもしれないけど、ひとりの人間、姫川玲子としてはそんなに悪い方ではないと思うの。だからもうちょっと見守っていて。もうお母さんもあの事件のことで自分に責任があったなんて思わないで」と言いました。
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まとめ
新ドラマ『ストロベリーナイト・サーガ』姫川玲子の過去について、原作小説からネタバレしてまとめました。姫川玲子は強い女性ですが、それを支えた佐田倫子巡査も素晴らしい警察官だったのです。
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